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記念絵とは別で、2/22(実際は2/23)の日のSSS(これ)の続き
加筆でもよかったんですがなんかもう少し続きそうなので新規記事で
クジャジタっぽい前提がちょびっとあります

拍手ありがとございます! 返信はもちょい後で…すいません 花粉滅亡しろ








「おはようござ……います」

早朝からの見張りであったセシルが、勇者とスコールの二人に起こった異変を目にして、一度挨拶を詰まらせる。それでもどうにかこうにか言いきれたのは、セシルが仲間内でも比較的落ちついていられる気性であることと、もう一つ理由があった。

「お、お二人さんおはよ…あー、それ…」

二人が挨拶を返そうとしたところで、セシルと同じ見張りだったジタンが飲み物を手にして現れた。その頭には、二人が散々動揺させられてしまった猫耳が生えていた。セシルがあまり戸惑わずにいられたのは、ジタンという前例を先に目にしていたためである。
自分のみならず勇者とスコールにまで生えていたことを驚くでもなく、「やっぱり」とでも言いたげな苦笑を浮かべるジタンに、二人は顔を見合わせてから、スコールが訝しげに問いかけた。

「…何か知ってるんだな」
「知ってるってーか、これ、原因がクジャとケフカなんだよ」

いともあっさりと明かされた原因に、呆気に取られそうになるものの、飲み物を用意してくれているセシルの「とりあえず座ったらどうですか」という提案に従った。二人が椅子代わりの倒木に腰かけるのを眺めながら、ずずず、と一口茶を啜ったジタンは、途端に肩を跳ねさせると同時に、まるで“気を付け”でもするように耳と尾をぴんっと立たせた。
あっと声を上げたセシルと熱い熱いと騒ぎ立てるジタンを見て、スコールが慌てて湯気立ち昇るカップの中に息を吹きかけている隣で、勇者は不思議そうにしながらいつも通りに茶を口にして…むせた。

「っ!?」
「猫舌を考えてなかったね…」
「おい、あんた、大丈夫か?」
「…これが“猫舌”なのか」
「うー、いてぇ…」

セシルとスコールに宥められつつ、二人が落ちついたところで、現状で唯一猫舌でないセシルが未だ熱い茶を一口飲んでから話の続きを促した。茶の代わりに水を入れたコップを膝に置いて、ジタンが頷く。

「昨日さ、オレとリーダーとスコールで組んで、ガレキの塔に行ったろ? そこに、ケフカが薬を撒いてたんだと」
「薬? …まさか、この耳としっぽが?」

そう、と頷くジタンが更に話すことには。変化が起きたのはほんの数時間前で、その時セシルと離れて見張りを行っていた彼のもとにタイミングよくクジャが現れたらしい。突然生えた耳とこれまた突然現れたクジャに驚きつつも、駆けつけたセシルと共に軽くボコった際に、洗いざらいご説明いただいたそう。曰く、単に猫耳を生やしたジタンが見たかったというそれだけの理由で、クジャはノってきたケフカとガレキの塔にて計画を実行した、とのことだった。つまり昨日ジタンと一緒に行動していた勇者とスコールは、完全な巻き添えでしかなかったのだ。

「く、下らない…」
「だよな……わりぃ、オレのバカ兄のせいで二人まで…」

思わず口をついて出てしまったスコールの呟きに、ジタンが項垂れる。すっかり垂れてしまったジタンの猫耳と自前の尾を見て、勇者はゆるりと首を振った。

「ジタン、君が気にすることではない。それに、これらが生えた以外の異常は見られないしな」
「ええ。身体に大きく支障をきたすようなものは、製薬に協力したシャントット博士が許さなかったそうです」
「…協力はしてるんだな」

あくまで狭間に位置するシャントットは、自らの力で秩序と混沌の均衡を崩すことを良しとしない、らしい。とはいえ、興味本位でばかり動いてもらった結果がこれでは、被害者にとって迷惑には違いないのだが。ジタンに非がないとは、シャントットの行為に対して呆れた声を出したスコールも同意であるため、溜め息を最小限に抑えておくことにする。面を上げたジタンは、勇者の声とスコールの様子に安堵の表情を浮かべた。
とりあえず、これで原因は分かった。その次に気になるのは、薬の効果時間だろう。

「これ、なくなるんだよな?」
「半日程度だとさ。あんだけボコったんだ、ウソじゃないと思うぜ」
「ということは、昼ごろまでか…」

他の打開策が浮かばない以上、それまでは、ずり下がったズボンを隠す腰布を、巻きっぱなしでいなくてはならないというわけだ。勇者も、猫耳など生えていては兜は被れないだろう。そして、今でこそ平和だが、他の仲間たちが起床してきた暁には騒がれる、もとい弄られることが目に見えている。中途半端な不便さと、起こるだろう騒動に、スコールは少々憂鬱になった。
そんな内心を表に出すつもりはなかったものの、耳と尾はしっかりと表現してしまっていたらしい。垂れてしまったスコールの耳と尾を目にした勇者は、先程のジタンの時のように声をかけるよりも先に、その頭を宥めるように撫でていた。まるで毛並みを整えるような手付きに、セシルとジタンがいることも忘れたのか、とろんとスコールの目が細まる。が、それも一瞬。

「(…はっ)う、ウォル!」

逃げるように距離を空ければ、それ以上勇者の手が追い掛けてくることはなかった。しかし、一連を見逃さなかったジタンは、威嚇するように耳と尾を立てているスコールを横目に、にこやかに勇者へと話しかける。

「リーダー、猫は顎の下を撫でた方が気持ちいいんだぜ」
「そうなのか」
「俺は人間だ!」

スコールの抗議も余所に、猫の扱い方を教授しようとするジタンと大真面目に聞いている勇者。喚く声も、顎の下に入り込んだ勇者の手に引っ込み、そして我に返って再び上がるスコールの声とジタンのおかしげな笑い声。
セシルはだいぶ温くなった茶を口に運びながら、三匹の猫が騒ぐ様を楽しそうに眺めていた。









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続きそうで続い…たらいいな

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