DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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いつもと違う感じのシリアスめいた勇者視点
Never too late(ちょっと前に書いたネガティブスコールのSS)とちょっとだけ対になってるけど読まなくても問題ないです
Never too late(ちょっと前に書いたネガティブスコールのSS)とちょっとだけ対になってるけど読まなくても問題ないです
寒い夜、あたたかな体を抱いて横たわっていた。
冷たい空気を取り入れる度、体が冷えていく心地がして、もう少しと抱き寄せる。
経歴ゆえか人一倍警戒心の強いはずの彼が、腕の中で穏やかに眠っている。吐息で髪を揺らされても目覚めない。たったそれだけのことが、ひどく嬉しくて、苦しくて。
しあわせ、の単語が胸に浮かぶ。
そして同時に、常にその顔に憂いを浮かべる女神へと懺悔する。
この世界で、戦い続けなければならない世界で、いずれ離れなければならない世界で。
しあわせを知ってしまったから。
知らず強めてしまった腕の力を緩め、詰まる息を吐き出したところで、彼が目を開けていたことに気付いた。
目覚めたばかりの彼にこちらの表情は分かるまいと安堵したのに、反してぼんやりとした眼のままの彼は、痛いものを見るように眉を寄せた。
月の渓谷に浮かぶ星月の灯は、少々明るすぎたのだ。
ひどいかおしてる。
寝起きの舌足らずな口調でそう告げては、そっと頬に触れてくる。
何でもない、と返すことは出来る。そうしないのは、それで納得してくれる彼でないのを知っているからこそ。そして、それよりも伝えたいことがあったから。
ゆっくり、首を振って、小さく微笑んでみせた。
しあわせだったから。
そう答えて髪を撫でれば、彼は安心したように眉根を解いて静かに目を閉じた。
しあわせ、その言葉が甘辛いものであることを彼は知っている。だから、納得してくれたのだろう。
冷えた頬は指先に温められた。苦しげな言葉は胸を埋めて、向けられた視線に浮上した。
だから、彼に向けた微笑みが嘘になるはずもなかったのだ。
髪を梳いてやる内に聞こえてきた寝息に、また息が詰まりそうになる。
流したことのない涙が、気を緩めたら溢れてしまいそうだと思った。
戦士でしかないはずの自分にこんな感情があるとは知らなかったし、許されるものでもなかったと思っていた。
なのに得てしまってからはまるで形振り構っていられず、どうして咎めを与えてくれないのか、と女神に八つ当たりめいたことすらも考えた。
静観か、諦観か、傍観か、自分には分からない。分からないから、ただ黙したままの崇高なる女神へ懺悔を捧げていた。
―――わたしは、かれをあいしました。
貴女から賜った光を失うことだけはしないから。
勇者として先へ進むことに迷いはないから。
戦士として振るう剣を惑わせはしないから。
貴女の忠実な駒であることを悔いはしないから、どうか。
彼へ向ける想いを赦してください。
彼の為に苦しむことを赦してください。
彼の為に命を惜しむことを赦してください。
しあわせ、を感じてしまうこの心を赦してください。
許諾されようとされまいと、留まれない自分を知りながら。
夢で望むのが女神のものではなく、彼の笑みであることを知りながら。
目を閉じて、しあわせのさなかで祈り続ける。
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顧みて立ち止まるのがスコールなら背徳を抱えても進むのが勇者
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