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ひさしぶりに218
フリオニールの料理の腕はDFF世界一ィィィ!みたいな
フリオニールの料理の腕はDFF世界一ィィィ!みたいな
暗い森の中でのキャンプ中、近くなった光の気配に、ちょうど形を整え終えた生地から顔を上げた。
「…ウォル」
俺より少し遅れて気付いていたらしい、スコールが水汲みから戻ってきたウォルへ寄っていくのを横目に、焚火の上に敷いた鉄板の空いた箇所に、先程までこねくり回していた生地を置いた。少し前に置いたものは、あとちょっとで焼き上がるといったところだろうか。
本日の夕食は、我ながらなかなか上手く出来そうだ。ほっとしたように息をついてから、視線を二人へと向ければウォルが汲んできてくれた水をスコールが持ってくるところだった。どうしてウォルが持ってこないのか、とは敢えて考えることでもないだろう。
「ありがとう。夕飯ももう少しだから、待ってて下さい」
「そうか」
分かった、と頷いたウォルは装備を緩めるためにテントへ入るのかと思いきや、予想と反してスコールへと向き直った。相変わらず真っ直ぐなその目に、容器を置いてきたスコールは視線を合わせようとしない。以前こそ『眩しいやつ』と称して避けていたが、今は物怖じもなく見返していられたはずなのに。
「スコール、具合でも悪いのか?」
「えっ?」
「少し、ぼんやりしていたように見えたのだが」
まさかと思いつつ見遣るも、スコールはどこか気まずそうに視線を泳がせている。俺が夕飯を作っている間、スコールは待ちがてら辺りを見張ってくれていたはずだ。そういう役割があるのに別事に気を飛ばしてしまうのは、なによりスコール自身が許さないだろうに。
誰よりもスコールをよく見ているだろうウォルが言うのだから、本当に具合が悪いのかもしれない。なにより、ウォルが戻ってきた時はいつも最初に気付くスコールが、さっきは俺に遅れを取っていたじゃないか。
いよいよ心配になってきて、軽く俯いた顔を覗き込む。
「大丈夫なのか?」
「別に…」
「スコール」
聞き慣れた口癖に続くようにウォルが呼んだ名前は、咎めるような響きが混じっていた。そのウォルの表情も、僅かに眉根を寄せていたものの、そうさせているのは怒りからではなく心配からだと分かる。
俺は表情を目にしないと分からないが、スコールなら声だけでもちゃんと聞き取れていることだろう。
しばらく逡巡してから、スコールはやっとぽつりぽつりと話し始めた。
「…その…夕飯の」
夕飯の?
「……匂いが」
匂いが?
「………すごく、美味しそう…だったから…」
ごにょごにょごにょ。
最後には蚊の鳴くような大きさだったが、炎の弾ける音しかない静かな森の中で、俺もウォルも黙っていたのだから聞き逃す方が難しく。そして、その内容にぽかんと間抜けにも口が半開きになった。
つまり、あんまり良い匂いだったからつい気が逸れてしまったのだと。言外に料理の腕を褒められたことを嬉しく思ったり照れたりするより先に、スコールにしては意外すぎる理由に驚いてしまった。
そしてそれはウォルも同様らしい、非常に珍しく唖然とした顔をしていた。
「で、でも、少しだけだったんだ、本当に!」
「っあ、ああ、そういえば作ったばっかの時はちゃんと見張っててくれてたな」
かわいそうなほど顔を真っ赤にしながら、必死で言い募ってくるスコールがあんまり可愛くて、助け舟のような証言を口にする。とはいえ俺の証言も嘘ではなく、そしてスコールも言い訳のつもりで言っている訳ではないだろう。それをウォルも分かっているのか、スコールの失態を咎めるつもりは無いように見えた。
それどころか、呆気に取られて緩んでいた口元が弧を描いた時には、思わずスコール共々言葉を飲み込んでしまった。
「…そうだな、確かに良い匂いだ」
生真面目、清廉潔白もかくやといったウォルのこと、たとえスコールをかばうためだとしても嘘を口にすることはないだろう。ということは、スコールへの同意はウォルの正直な感想に等しい訳で。
くすりと微笑みながらの言葉に俺は再び自失させられるが、俺よりも見慣れているスコールはすぐに我に返ったらしい。
「だっだから、別に具合とか悪いわけじゃないんだ」
「ああ、そのようだな」
安心したように口元を綻ばせたままのウォルが、赤くなりっぱなしのスコールの頬を撫でる。それに宥められたスコールは、ようやくウォルをまっすぐ見返せるようになったようだ。
「次は気を付けるから……フリオニール?」
「!あ、いや、えっと…そろそろ焼き上がるころかな!!」
無意識に褒めてくれるんだから心臓に悪い、天然って怖い。でも、すごく嬉しい。スコールに訝し気に呼ばれたところでやっと我に返って、俺は跳ねまくる心臓を抱えながら慌てて焚火の方へと逃げ出した。不思議そうな二人分の視線を背中に感じつつ、料理が好きで良かったなぁなんて、しみじみ思ってみたり。
そして目にしてしまった、焼き過ぎてしまった夕食のパンもどきを、どう二人から隠そうか頭を悩ませることとなったのだった。
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二人とも褒めようという意図で褒めたわけじゃないんです
天然なんですこのばかっぷる
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