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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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ちょっと前に呟いた海のお話
なんだか前半にセシルが出張っておりますがウォルスコです つーか後半バカップルです
こんなに長くするつもりはなかったんだけどなぁ…むしろ会話文にしようと思ってた
そして自重しない20歳児 それと自分はもうちょっとクラウドを出すべきだと思うの

ああああウォルスコ好きだ!!









開かれた視界、埋め尽くすのは青、水、空、雲。
星の体内から抜けた場所は、今までに見たことのない景色で覆われていた。先の見えない海、ところどころに立つ岩々、広い砂浜、それよりも更に広大な草原、ぐるりと見回してもそれしかなく、どうやら孤島に出たらしい。一応どこかへ続く浅瀬はあるので、行き止まりというわけでもないようなのだが。
しかし、気分まで晴らしてくれそうな、快晴の空はそれだけで珍しいというのに、それに青い海まで附属していれば、先へ進むことを考えるより先に高揚してしまうのが、少なくとも三人はいる。

「海!海っス!!オレ泳ぎたい!!」

その筆頭、ティーダが宣言するや否や海まで走っていってしまったのを、目にティーダのそれと同じ色を浮かべたバッツとジタンが追いかける。それも、リーダーであるウォーリア・オブ・ライトが何も言えなかったほどの速さで。
どんな世界と知れないのに。そんな勇者の懸念も、オニオンとティナのわくわくきらきらとした期待の込もった眼差しを受けてしまっては、口から出せるはずもなく。

「…俺達が見張っていれば大丈夫だろう」

まずはしゃぐ三人、次にはしゃぎたそうな二人、そして最後に勇者へと目を向けたクラウドが静かに言って、逡巡していた勇者は、諦めたように小さく息を吐いた。

「…あまり気は抜かないように」
「遠くに行っちゃだめだよ?」
「はーい!行こうティナ!」
「うん!」

セシルの言葉に良い子の返事をして、ようやくリーダーの了承を得られた二人は、早速と了承も聞こえていないだろう三人とは少し離れたところへ走り出す。
それを見送って、残った面々の内の一人、フリオニールは苦笑して口を開いた。

「今日はここでキャンプかもな」
「あいつらのことだ。どうせ疲れ果てるまで遊び倒すに決まってる」
「だね」

やれやれ、とフリオニールの言葉に返した呆れたようなスコールの言葉に、セシルも苦笑して同意する。それは勇者も分かっていたようで、少し間を開けてから、表情は変えないままテントの設置を決めた。
クラウドが見張りに立ち、海から距離を取った草原で設営を進める。戦闘続きの毎日(日にちの感覚こそ気薄だが)の内、こんな敵の気配も何もなく思い切り遊べるような時間、というものは貴重である。五人が設営が始まっていることにも気付かず、遊んでいることに憤るよりも、その楽しそうな様子を微笑ましく思ってしまうのは、皆がそれを分かっているから。特にブリッツボールを取り出しているティーダなどは、勇者が咎める気も失せてしまうほど楽しそうだ。
設営を終えて、勇者とクラウドが見張りを交替したところで、セシルは砂浜に座って遊ぶ様子を眺めているスコールの隣に座り込み、話しかけた。

「スコールはいいの?」
「…俺が、あれに混じって遊ぶように見えるか?」

見えないね、と笑ってから、セシルは少し残念そうに息を吐いた。出来れば混じって欲しかったんだけどな、とは言わず、内心にしまいこんで。

「見張りは、多い方がいいだろう」
「ここは見通しがいいから、少なくても大丈夫だよ?」
「…分かってる」

ぽつりと呟いたスコールの目が、一瞬勇者へ向いたことを、セシルは見逃さなかった。しかしそれには言及せず、笑みを崩さないまま遊ぶ五人へと視線を向ける。いつの間にか三人がオニオンとティナを巻き込んで、それにオニオンが複雑な表情をしているのに、セシルの笑みは一層深まった。

「まぁ、バッツたちが君を放っておくとも思えないしね」

ティーダによってブリッツボールを盛大にぶつけられたフリオニールを見ながらのセシルの予想は、スコールも同じらしい。スコールが漏らした笑みをセシルが見ることはなかったが、何も言わないことで同意を見取ったセシルは、五人に一人を巻き込んだ騒がしい波がやってくるまで、スコールと眺めることにした。

それから少し経って、セシルの予想通りスコールはバッツたちによって海へと引き摺りこまれていたが、すぐに逃げてきてしまったことは予想外だった。どうして、と尋ねてもスコールは無言で首を振るだけで、自主的な見張りへ向かってしまったのを、セシルは止めることが出来なかった。
ほとんど無意識に視線を向けた先では、同様に逃げてきたらしいフリオニールと、相変わらず見張りを続行しているらしい勇者の姿がある。フリオニールの表情が困ったようなものの一方で、勇者はいつも通りの無表情なのに、セシルは思わず苦笑しながら二人へと歩を進める。途中ですれ違ったクラウドが、やれやれとばかりに肩を竦めていた。

「ちゃんと見張ってるし、あなたもたまには息を抜いても…」
「そういう訳にもいかないだろう」
「でも…」

勇者の言い分は正しい。ティーダたちがああして無邪気に遊んでいられるのも、こうしてリーダーたる勇者が気を抜かないでいてくれるからなのを、フリオニールもよく分かっている。そして、そうであるからこそ、勇者は自分に気を抜くことを許そうとしないのだ。だからこそフリオニールは言い淀んでしまうわけで、だからスコールは…。

「フリオニール、それじゃだめだよ」
「え?」

気付けばセシルが横に立っていて、フリオニールは目を見開いた。

「あのですね。スコールを海に引っ張ってあげて欲しいんです」
「スコールを?」
「彼、自分が遊ぶわけにはいかないって思ってるんですよ。僕たち…いや、あなたが見張っているのにって」
「……」

勇者が眉を僅かに顰めたのを見て、セシルは苦笑から苦味を消して微笑んだ。
勇者とてスコールのことが気にならなかったわけではないが、元々物静かな気性であることと、そして自分が何もしなくともバッツたちが引きこんでくれるだろうと思っていたからこそ、見張りに従じていたのだ。結局すぐに抜け出してしまっても、気分に合わなかっただけのことだろうと思って、深くは考えなかった。
だから、原因が自分だと聞かされて、勇者は少なからず動揺していた。フリオニールが自分に休めと言っているのも、スコールのことに気付いていたからだったのか。そう思うと、自分の不甲斐なさに苛立ちすら浮かぶ。

「あいつらだって夜まで遊んでいるわけじゃないさ」

これまたいつの間にか近くにいたクラウドが、空を見上げて呟いたのにあわせて空を仰げば、太陽の位置がずいぶんと低い位置にあることに気付いた。どうやら、この世界は昼夜があるらしい。
あと数時間もすれば空を赤く染め、そして夜がやってくるだろう。

「イミテーションの気配も、カオス側のやつらの気配もないし、これなら大丈夫だな」
「そうだね。それに、あっちの方はテントから見えないし。そんなに遠くないから、僕たちもすぐ気付けるしね」
「五人は遊び疲れてるだろうけどな」

空から視線を下ろし、三人で会話しているようで、さりげなく勇者へ向けられている彼らの言うところが何を指しているか、気付けないほど勇者は愚鈍ではなく。いや、確実に鈍い方ではあるが、それを見越して彼らは言っていて、なにより勇者自身の意識が向いているのだから、気付けないはずもなかった。
つまり、夜にスコールを連れ出してあげてくれと。テントから遠すぎない、岩に隠れて見えない場所に。
それまで口を閉ざしていた勇者が、ふと頬を綻ばせて目を伏せた。それを見た三人は、ようやく安心したようにそれぞれの持ち場まで戻ったのだった。



幾人が予期した通り、遊び疲れた三人によるいびきの三重奏は、いくら傭兵といえど耳に厳しいものがある。というか、人間である以上こんな騒音の中で眠れるものか、とスコールは睡魔の追い出された頭を一度振って、苛々と立ち上がった。
少し時間が経てばいびきも収まっているかもしれない、と散歩でもするつもりでテントを出たところで、ある人が立っていたことでスコールは思わず動きを止めた。

「…ウォル?」

見回りでもしていたのかと思うには、勇者はスコールをまっすぐ見つめていて、テントから出てくるのを待っていたようにも見えた。なにより、常にその体を覆っている重厚な鎧は下半身のみに少しだけ纏われていて、上半身は薄手の服で、いつもの兜も無かったものだから、余計に装備の簡素さを印象付けている。
どうしたのかと問う前に、勇者は踵を返して歩き始めた。疑問ばかりが先立って追いかけることも出来ずに、立ち竦んでいるスコールから数メートル離れたところで、勇者は振り向くと、小さく微笑んでみせた。水の色をした髪が、蒼い海を背に潮風と靡いて、目を奪われる。

―――おいで、と。音として聞こえはしなかったが、確かにそう言ったように思えた。

「…やっと行ったかぁ」

いびきの“ものまね”も結構大変だぜ、と呟いて、バッツは改めて目を閉じる。ジタンとティーダによる騒音もなんのその、すぐにやってきた睡魔はバッツを静かな眠りへ誘っていった。
一方、ティナとオニオンが眠るテントを挟んで、二人から遠い場所に立っていたクラウドとセシルは、勇者の後を追いかけて足を進めるスコールを見て、そっと笑い合ったのだった。


「…セシルが言っていた」
「え?」

歩きながらぽつりと話し始めた勇者に、スコールは首を傾げて聞き返すが、続いた言葉はスコールの疑問に答えるものではなかった。

「フリオニールも、クラウドも。気付かなかったのは私だけだったようだ」
「…何を?」

ようやく足を止めた勇者に倣い、立ち止まったスコールの靴に波が被る。
ちらりと辺りを見回してみるに、ずいぶんと海の近くまで連れ出されたらしい。テントの方を向いても、岩に阻まれて見えそうにない。あの騒がしいいびき達も聞こえなくて、静かな波音ばかりに埋められている。
そこで、ぐいと腕を引っ張られて、突然のことにたたらを踏んで水を跳ねさせたところで、抱きすくめられていたことにスコールは瞠目した。

「すまなかった」

なに、と抵抗する前に静かな勇者の謝罪が落ちてきて、動きを止める。

「皆に…君に、気を遣わせてしまっていたのだな」
「……」

そういえば昼にセシルに色々言われた気がする。ああ、だから、それは昼のことなのか。フリオニールがちらちらとこちらを見ていたことは気付いていたし、クラウドも何かもの言いたげではあった。
そんな、勇者が気を遣われたと言うのなら、自分こそよっぽど彼らに心配されてしまっていたんじゃないか。もう、隠した“つもり”が通じる相手ではないらしい。勇者にあるのは、その戸惑いばかりではないようだが。スコールはその腕の中で小さく微笑った。
自分のことを想ってくれた、それだけで。

「俺がそうしたくてやってたことだ。それに、あんたは連れてきてくれただろ」

髪に顔を埋めると、冷やかな感触がした。ぴしゃり、と足もとで水が跳ねる。
風に混じる潮の匂いは、確かに海であることを教えてくれる。たとえこの場所が、本来自分には存在し得ない世界であったとしても、海であることには変わりない。変わりないということに、ひどく安心する。

「気付かなくたっていいんだ、あんたはあんたで在ってくれれば」
「…それでは、私が悔しいのだが」

勇者の苦言には何も返さず、スコールは腕から抜け出すと、海へと歩き始める。靴が埋もれてしまうまで進んでから、振り返った。苦言の割には笑み混じりである勇者の表情に、そっと息を吐く。
その揺るぎなさ、確かさは何よりも礎になるのだけれど、不要だろうそんな感情を自分を原因として得てくれるのなら、こんなにも嬉しいことはない。
もう少し、もう少しと海の中へ進む内に、海面は胸より少し下辺りまで上がっていて、そして勇者にもいつの間にか追いつかれていた。白い腰布がたゆたう様子は、孤島であるがゆえの孤独感と星月明かりに相まって、どこか神秘的にも見える。

「スコール」

名前を呼ばれて、素直に向いた途端、びしゃっと掛けられた海水。驚いて貼り付く前髪を除けるのも忘れて見遣る先では、珍しい悪戯げな笑みを見せる勇者がいた。

「“水も滴る…”、なんだったか」
「…“いい男”だろ。というか、なんでそんなこと…」
「以前バッツとジタンが言っていたのだが、私は見たことがなかったからな」

記憶がない分余計なことばかり覚えていやしないか、などと思いつつ、仕返しとばかりにスコールが海水を多めにぶっかけてやったものの。目を丸くした勇者を笑う前に見惚れてしまって、スコールは内心舌打ちした。こちらがことわざを確かめさせられてどうする。
そんなだから、一瞬勇者があの悪戯げな笑みを、その表情に戻したことにも気付かないままで。
再び腕を引かれて、我に返った時には、体は海の中。先に沈んでいた勇者の手が、頭を引き寄せるのを感じたのを最後に、唇に触れた熱に任せてスコールは目を閉じた。









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ジタンとティーダはホントにいびきかいてました
まぁ二人でも十分うるさいけど、三人なら耐えられないだろうさすがに…
ところで、水中空気交換って萌えません?


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