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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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相変わらずの突発SSS
いつもの書き殴りなので推敲なしですよ

なんというか、やっぱり、甘いんだろう…ねー

因みに書いてる私は見事な花粉症です 家の中でもマスクは必須とかひどいよね


▽まとめにうpついでに少し手直ししました








ぱちり、と目を開ければ銀が視界の端を過ぎった。
ここはどこ?いまはいつ?
それを確かめるより先に、過ぎったものを追って天井から目線をずらして、驚いた。

「…っ」

隣に座るその人の名前を呼ぼうとして、唐突に襲ってきた喉の痛みによって声は出せなかった。
眉を潜めて喉に手をやったところで、手が握られて再び驚かされることになる。
仄かな灯りしかない中で、薄氷(うすらい)色の瞳がこちらを見つめていた。

(ウォル)

唇だけで名前を呼べば、彼は正しく察したらしい。小さく頷いて、握ってきたその指で額に触れてくる…その前に、何かを退けてから。
その指の冷たさが心地よくて、目を細めて狭まった視界の中で、彼は軽く眉を寄せた。

「…なかなか引かないものだな」
「…?」

ぽつりと呟いて引っ込めてしまった手を目で追いながら、何が、と考える。
彼が取り出したのは白いタオルで、それが額に乗せられて、そしてそれが痛い程冷たく濡れていることで、ようやく思い出した。
引かないのは、たぶん熱のこと。おそらく、自分は体調を崩した。声が出せない程の喉の痛みも、きっとそのせい。

(俺は、)
「君は、倒れたんだ。セシルは疲労からくるものだろうと言っていた」

ああ、やっぱり。
通りで、だるい体に籠る熱と、それなのに背筋に走る悪寒がなんとも不快であるわけだ。
重い頭に回らない脳。ふ、と吐いた息も熱くて、苛立ちしか起きそうにない状態で。
それでも、彼の存在が、声が、目が、それを中和してくれている。
そう自覚しているからこそ、苛立ちと安心をより上回る罪悪感に襲われる。

(こんな時に、みんなの…アンタの足を止めてしまった)

残り多いとは言えないこの時に、彼の手を煩わせた。戦士のくせに傭兵のくせに、こんな、熱なんかで。
情けない―――そんな自責の念に駆られて、目頭が痛くなる。
泣きたいんじゃない、でも泣きそうだ。
それは熱のせい?それとも彼が彼であるせいなのか。彼でなければ、こんな。

「スコール…」

頬を撫でてくれるてのひらの冷たさに、無意識に頬と、それまでの意識すら寄せてしまう。

「どうか、今は…今くらいは、休んでくれないか」

懇願するような声に、落ちていた視線を彼の顔へ戻せば、声と同じ色が目に浮かんでいた。

「君は、進むことしか出来ない私の隣に立ってくれる。私も…それを愛しく思う」

だが、と彼は一息吐いて。

「…"進むことしか出来ない"、だから、気付けずに…すまない」
「…っ!」

アンタのせいじゃない!

伏せた目に、伝わってくる彼の深い自責に、そう叫びたくなる。
これは不調に気付けなかった自分のせいで、彼についていくのに無茶を要する自分のせいで、すべて、すべて自分のせいなのに。彼は、なにもわるくない。
何も言わせてくれないこの喉の痛みだって、彼の後悔すら、全部!

(俺のせいじゃないか…っ!)

なんでアンタはアンタのせいだと思うんだ。それならいっそ、"お前のせいだ"と責めてくれた方が良かった。
なんなんだ、いつも真っ直ぐ前を向いていて、ついて来なきゃ置いていくぞみたいな顔してるくせに。俺だって、そんなアンタが好きだから無茶したってついていくのに。
こんなの、勝手にアンタが好きで仕方がなくなってる俺のせいなのに。

全部言えれば彼の後悔を払拭出来ただろうか、しかし喉の痛みはそれを許さない。
だから緩く首を振りはするが、果たしてそれだけで伝わるとは、到底思えない。
あんまりだ、思わず唇だけでそう呟いて、触れられていない方の頬をシーツに押しつければ、視界が翳って何かが目尻に触れた。それが彼の唇であることを知ったのは、押しつけたシーツが濡れていることに気付いてからだった。
涙線が緩いのは熱のせい、そう思わないと情けなさに押しつぶされそうだ。一方で、そんな風に宥められるのをどこかで喜ぶ自分がいる。

「…スコール」

名前を呼ぶその一言で、泣かないでくれ、と言外に請われているのが分かる。だからといって、それで収まるほど簡単なものではないのだ、この心は。

(…アンタがその後悔をやめたら、止まるかもな)

そんなことを思いながら、流れる涙を掬ってくれる手を取って、てのひらに唇を押しつける。
どうか後悔しないで、その目を翳らせないで。
でも、きっと、そう言ったところでやめてはくれないのだろう。そして、その後悔もぜんぶ彼が彼であるせいで。

(嫌い、そんなアンタは、だいきらいだ)

自分なんかのせいで、そんな表情(かお)をする彼は嫌だ、嬉しい、腹立たしい。
―――もっと、愛しい。
体がもっと自由に動くなら、起き上がって抱き締めることも、抱き締められることも出来た。その唇をもっと欲することも出来ただろう。

声さえ出せたなら、“だいすき”と言えたのに。
そうしたら、微笑んでくれるだろうか。









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きらいで、もっとだいすき

ということを書きたかった…はず

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