ほい、＋４の続き　今回はnot会話文のSSS形式
３→６が前提になってるので注意ですよ

なんだかジタンにバレてから芋づる式にバレまくってますね…

「…もう、やだ！」
「オニオン!?」

ティナが自分を呼ぶが、駆け出した足は止まらなかった。

バッツはジタンと遊んでいればいいのに、ティーダだってそうだ、ジタンも…元はといえば、僕は、ティナと二人で来たかったのに！
でもティナはみんながいた方が嬉しいだろうし、現に嬉しそうに笑ってたし…見てられない。

そうして暫く走って、月の渓谷まで来たところでようやく頭が冷えてきた。
そして、自分がいかに子供かを思い知らされる。

「…はぁ…駄目だなぁ…」

早く大人になりたいよ、そうすればあんな癇癪も起こさずに済むのに。
座り込んで大きな月を見上げたところで、何かの気配が駆けてくるのに気付く。
敵か味方か、後者だったとして、もしティナだったりしたら…慌てて岩陰に隠れて見れば、それは予想のどれでもないスコールだったことに驚いた。
あんなに急いでどうしたんだろう、それにあの量の皿洗いをもう終わらせたんだろうか、と疑問に思ったところで、彼が走っていく先を見て、また驚いた。

(あれは…ウォル？き、気付かなかった…)

今後の打ち合わせでもする約束でもあったのだろうか。自分の過失で約束に遅れて、更に相手があの厳格なリーダーとくれば、スコールだって慌てるだろう。
それにしても、あの二人はさほど仲は良くなかったと思っていたけれどそうでもなかったのか、とそこまで考えて。

スコールがウォルに抱きついた瞬間、思考がぶっ飛んだ。

(…っへ？ええっ!?)

こちとら目ん玉まで出るんじゃないか、とか何かの見間違いか、とか混乱する先で、ウォルもしっかとスコールを抱きとめているではないか。じゃなきゃ夢か、そう頬をつねって、ああ、うん、現実だ。岩も冷たいし。
腕の中で俯くスコールの頭を撫でるウォルは、小さく苦笑しながら何事かを話している。そこに、スコールを咎めるような様子はまったくなかった。
思ったより仲が悪くなかったどころか、とっても良かったらしい。抱擁を終えた二人が去っていくのを見送って、もう一度岩陰に座り込んだ。
去る直前、頬を染めたスコールがちょっと微笑ったのが見えて、それにウォルも苦味を消して微笑み返したのを見た。どちらも初めて見た表情だ。

「…もったいない、よね」

ぽつり、と呟いたのは何に対してか。
こんなところで、二人しかいないところでしかその表情を見せ合えないだなんて。だって、自分はつい先ほどまであの二人の仲は悪い、と思いこんでたのだし。
きっとお互いにしか見せない表情なんだろうけれど、だからそれをこちらに向けてくれという気もないのだけれど。こんな風に隠れなきゃいけないと思いこんでいるのが、もったいない。
まぁ目の前で始終いちゃつかれても正直困るが、少しくらいは出してもいいじゃない、と思うほどには上手く隠してしまうのだ、あの二人は。

それに比べれば、自分はまだ恵まれているのだろう。あの二人のように両想いになるには…まだ色々と足りないのは仕方ないのだけれど。
そう、自分は子供だから。背伸びも出来るし、逆に子供らしく甘えられるんじゃないか。
だから、もったいない。もっと、今使えるものを利用せずにいつ使うというのか。
そうと決まれば、一時の癇癪で離れている時間も惜しい。早く、彼女の元へ戻って、ついでにあの三人を追っ払って、そして彼女を独占するのだ。

そうして、いつか、あの二人のような表情で彼女と向き合えたら、なんて。









----------

なぜか会話文にならなかったたまねぎ視点　いや、オニティナも書きたかったからなんだけど
"もうちょっと出してくれたっていいじゃない"とか言ってますが、子供だから気付けなかったというのもあります
とりあえずうちの１８に目の前でいちゃつくこと許可したらいけません…バカップルだから