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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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有翼パロディ、設定はこちら 前回(3)はこっち

今回はスコール側ーライト側はのちのち加筆予定








「…なぁ、半年前って何かあったか」

夕食の席にて、唐突にそんなことを尋ねてきたスコールに、三人は瞬いてから揃って首を傾げた。

「半年前? いきなり、どうしたんだ?」
「いや……あんまり思い出せなくて」
「僕が仕事に連れて行ってもらえなくなった頃だよ」

G.Fのせいか、とフリオニールが表情を心配げなそれに変える前に、ルーネスが払拭するように声を上げる。元々ルーネスは、修行と称してスコールの魔物退治の仕事に同行していた。しかし大量発生が見られるようになってからというもの、危険だからという理由で連れていってもらえなくなったのだ。
それはルーネスにとって不満ではあるが、実際は逃げるにしてもスコール一人の方が身軽であり、その分危険が抑えられることも十分承知しているため、今は町の(というよりティナの)防衛要員ということで納得している。

「ああ、そうだったな…ティナは、何かあったか?」
「私? えっと……あ、」

ぽん、と手を叩いたティナに、スコールはそうとは分からない程度に反応する。半年前の記憶を思い出したいのはライトに関係しているためで、同じ有翼人であるティナには、密かに期待を寄せていたのだ。

「ティーダと初めて会ったのが、半年くらい前だったわ」
「……そうだったか」
「ええ。またお話したいな」

にこにこと心底楽しそうに言うティナに、申し訳なく思いながらもスコールは内心落胆した。そもそも、彼女に彼らと直接の接点など無いのだから、期待する方がおかしいのだった。
一方、スコールに代わって反応を見せたのはフリオニールで、そういえばと呟くと、少し離れた引き出しの中から小さな紙のようなものを数枚取り出した。青色を基調とした長方形の紙がちょうど四人分、食卓の空いた場所へと並べられる。

「なにそれ…チケット?」
「今日クラウドから届いたんだ。ティーダの出場する試合の招待チケット」
「わあ! 出場、決まったのね!」

一枚取ってみれば、なるほど『ブリッツボール』の文字。送り主は間違いなく、くだんのティーダだろう。
開催は一週間後のルカスタジアム、そこでティーダは念願の初公式試合出場を果たすらしい。
ブリッツボール界きってのスター選手、ジェクトの息子であるティーダは、天性の才能に加えて(ブリッツボールに関しては)努力家でもある。スター選手の息子という肩書に見合った、あるいはそれ以上の期待の新星としてファン人気も高く、その初出場の試合のチケットとなれば競争率も高い。
そんな中で、しっかりと友人である自分たちに届けてくれたのが、四人には純粋に嬉しかった。

「一週間後か。ちょっと急だけど、店は問題ないな」
「でも、私は…」
「羽なんていくらでも隠せるよ。それに、歩けなくなったら僕が支えてあげるから!」
「…うん!」
「スコールも、仕事入れないでよ?」

分かってる、と返せば興奮した面持ちのルーネスが嬉しそうに笑った。
結局、それから夕食が終わるまではティーダとブリッツボールの話題に終始してしまい、スコールが再び半年前のことを聞くことは出来なかったが、落胆は長く続かなかった。食事の片づけを終えて、フリオニールとルーネスが各々の部屋へ入ったところで、スコールはティナに呼びとめられていた。

「あのね、言っておかなきゃいけないと思って」

ティーダとの出会いを思い出した時の微笑みも、夕食時の興奮もなく、声を潜めた神妙な様子に、スコールは一瞬戸惑うもすぐに頷いた。

「半年前からなの。少し、あなたに近寄り難くなったのは」
「近寄り難く…?」
「あ、変な意味じゃなくてね? たぶん、G.Fの力が強くなったんじゃないかなって…こういうこと言うと彼らにもっと嫌われちゃいそうだけど」

そこで、フリオニールとルーネスがいない時を見計らったのは、G.Fが関わっているからかと納得する。彼らはG.Fによって記憶を失うことを恐れており、G.Fの話題には少々敏感なきらいがあった。
しかし、G.Fの力が強まったという方には、スコールには思い当たるものがない。わずかに目を見開いたスコールに、ティナは不安げな色を表情に乗せた。

「モンスターが増えたから、そうしてるのかと思ってたけど…違うのね?」
「たぶん、俺の意思じゃない…」
「そう…。もっと早く言えればよかったんだけど…」
「いや、……ありがとう」

いつであるかなど関係なく、少なくとも今は十分な手がかりになった。スコールが礼を言えば、ティナは安堵したように小さく微笑って部屋へ戻っていった。
有翼人であるティナが反発を感じたというのなら、それは彼女の言うようにG.Fの干渉には違いないだろう。しかし、本人曰くのわずかな魔力でも感じたということは、それほど増加したということなのか。半年前と比べて、G.Fの能力に差はあっただろうか――思い出せない。
大量発生前と比べて、魔物が強くなったという噂を聞いたことがある。スコールはそれを実感していなかったが、G.Fの能力の増加によってスコール自身が強化されていたとしたら、どうだろうか。ただし、そうと意識して強化を行ったつもりは、スコールにはなかった。

(…どういうことだ)

無意識に眉間に皺を寄せながら、机に転がったままのペンダントを手に取った。
浮遊する意識に念じる、するといくつかの意思が浮かぶのを感じた。

「なにか、理由があるのか」
“マスターのため、です。マスターが望んだから”

スコールの思考を読んだ女性の、シヴァの答えに、スコールは思わずペンダントを見つめた。理由と原因が一度に明らかになったが、それでもスコールには、やはり原因に覚えがない。というよりは、ありすぎた。
G.Fの力を得る目的は、自身の強化でしかない。記憶の消滅というリスクを伴い、さらに体質的な相性が良いこともあってか、効果は絶大でもある。自分の望みなど、自覚するまでもなく明らかだった。

“スコールは気付いてなかったかもしれないけど…そうだね、確かに半年前くらいだと思うよ。『強くなりたい』って思い始めたの”
「俺は、いつだって思ってた…はずだ」
“でも、おいらたちがはっきり感じたのはその時だった”

カーバンクルの言葉に首を振って返すも、すぐに否定される。それでも、とスコールは思う。今の家族であるフリオニールたちと生きるために、魔物を倒すことをも仕事としている以上、力は当然必要になる。強くならなければ自分が殺される、そういう仕事なのだから。
“そういう仕事”でさえなければ、力を欲しはしなかった。そういう仕事だから力が欲しい、強くなりたいのだと思っているにすぎない。

―――本当に?

え、とまるで水を掛けられたように、体が強張る。問うてきたのは誰だ、と思うも誰もおらず、G.Fの声でもない。

“それより前のことは俺様たちも分かんねぇ。スコールだけの記憶は、スコールが忘れちまったら俺様たちも知らないままだからな”
「………ああ」
“……?”

イフリートへの反応も鈍いスコールに、きゅ、とケツァクアトルの心配そうな鳴き声が遠く掛けられる。はっとして、自然と落ちていた視線を媒介のペンダントに戻せば、薄れていたG.Fたちの意識が近くに戻ってきた。
こちらが念を閉ざしてしまえば、G.Fたちの意思も遠くなってしまう。謝罪を込めた指先で、ペンダントの輪郭をなぞった。

“…主が望むならば、我らは喜んで力を与えよう。しかし、同時に主自身を蝕むものであることも、ゆめゆめ忘れぬよう”
“こうして話しているだけでも、マスターの記憶は失われていくのですから…”
「分かってる…分かった」

己が力を行使されることを喜ぶくせに、伴うリスクを思い出させて、こちらのことを気遣ってみせる矛盾。G.Fの生態などよくは知らないが、ずいぶんと人間味のある連中だ。つい照れくささも感じてしまうのは、フリオニールたちのそれに良く似ていると思ってしまうからかもしれない。なんだかおかしくなって、少し嬉しくもなって、スコールは苦笑混じりに軽く微笑んでみせた。

認められようと認められまいと、半年前に自分の意思が何らかの変化を見せたのは確かだろう。憶測でしかないが、そのきっかけがライトに繋がるのではないか。もしかしたら、ライトへ一種の憧れを抱いたのかもしれない。
そう思えば一応の納得はできた。それでもなにかが引っかかるような違和感を、G.Fたちとの接続を切ってからも、スコールは拭うことができなかった。その違和感は、夜が深まりベッドに入るころには薄れていたものの、結局ライトが自分を守ろうとする理由は分からないままだということに気付き、悶々とする羽目になっていた。
ライトの語らぬ理由ならば、初めて出会った頃に生まれたのだと考えるのが自然ではないのか。冷静になってみれば、既に知り合っていたらしい半年前に、突然できたものだとは思えない。やはり本人に聞いてみるしかないのか、しかしそうするには、未だにはっきりと思い出されるライトの悲しげな表情が邪魔をする。
何が何でも聞き出してしまいたいのに、彼が表情を歪めるのを見るのは嫌だと思うのはなぜか。どうしたら半年前よりも過去に繋がるだろう、どうしてあんな表情を浮かべるのだろう、自分は彼のことを何も知らない――。

ぐるぐると考えている内に、スコールはそのまま眠りに就いていた。あまり深くない眠りの内、いくつかの夢の中ではっきりと分かったのは、いつもの崩壊した村と幼い自分と、白い羽の夢。
しかしその日の夢では、白い羽の向こうに今まではなかった黒い羽が映っていた。





朝食を済ませ、朝会の前にとひとり鍛練をしていたライトのもとにやってきたのはバッツだった。聞けば、昨夜討伐から戻ってきたカインが呼んでいるのだという。
バッツから伝えられた場所は、研究所の近くにある休憩室のひとつ。先日のグールに関する件だろうか、と見当をつけながら向かった先で、騎士服のカインはテーブルの上にある何かを前に佇んでいた。

「来たか。休めと言っておきながら、呼び出してすまんな」
「構わない。それで、何かあったのか」
「昨日の奇妙なグールだが、確かに異常な再生力を有していた。そもそも腐った死体が再生すること自体が異常だが…研究員の見立てでは、原因はこいつだ」

そうカインが指したテーブルの上には、見た事のない生き物が入れられたケースがあった。頭頂部に生えた植物、まん丸の白い目に、これまた丸っこい二頭身の茶色い体。申し訳なさげについた小さな手足をぺたりと下げ、暴れるでもなくじっとライトを見上げる様では、その生き物はカインの言うような原因にはとても見えなかった。

「このモンスターが?」
「いや、こいつはG.Fらしい。こいつの能力が、グールどもの再生力を高めていたそうだ」

有翼人に魔力があるように人間はG.Fを持つが、その本質は精霊に近く、また理性を持つものと持たぬものに分かれている。古来では召喚獣と呼ばれ、召喚士に使役されていた個体もあったという。
生まれてから現在も使役されずにいる、いわゆる“野生の”G.Fも存在しており、その数は未だ判明していない。今回捕らえた個体は、カインが言うには生まれたての赤ん坊のようなもので、グールに味方する形になっていたのは偶然だったらしい。
どちらにせよ、その力が反発する有翼人にとっては、相容れない存在には変わらない。ある程度の力はあるようだが無力化している上、何に利用できるわけでもないG.Fを飼う必要もなく、処分しておけと発見者のカインに返されたのは少し前のことだった。

「それで、だ。こいつをお前に預かってもらおうかと」
「これを?」
「ある人間の少年へのプレゼント…では駄目か」

にやり、と口端を上げてみせるカインを、ライトは戸惑いつつ見つめた。人間の少年と言われてライトが思い出すのはスコールしかおらず、カインが指すのも彼に違いないだろうが、なぜカインがその存在を知っているのか。
無反応、無表情が常のライトが間抜け面を晒しているのが心底楽しいのか、カインは喉の奥で一度笑った。

「バッツやジタンから聞き出すくらいどうということはない。安心しろ、言いふらしたりなどせん」
「…なるほど。ああ、それは疑っていないが、なぜプレゼントなどと」
「どうせ消滅させるなら、だ。それに、ジタンがお前のことを心配していてな……色々と」

不思議そうながら頷いただけのライトに、覚えたおかしさも忘れ内心溜め息が尽きないカインである。果たして、言葉の含みに気付いていて知らぬふりをしているのか、本当に気付いていないのか。恐らくどころか確実に後者だろうが。うちのリーダーは鈍感で困る、とジタンがぼやいていたのを思い出す。
つい苦笑を浮かべてしまったところで、ちょうどそのジタンが部屋に入ってきた。

「わりーわりー、遅くなっちまった」
「どうせバッツと遊んでいたんだろう? 予想通りだ」
「なんだよそれ…って、リーダーもいたのか。なんかあったのか? それになんだ、それ」

ライトを指し、机上のG.Fを指しと疑問符ばかりのジタンに、カインは手短に経緯を説明する。そしてG.Fをライトの自室まで持っていく手伝いを頼みたいと続け、なるほどとジタンは納得してから了承した。処分されるはずのG.Fをライトが預かることが知れたら、少々面倒になるだろうことは目に見えているのだ。
ちなみにライトが預かるということ自体には本人の了承が得られていなかったが、そのライトは異議を申し立てる気もなさそうということで、勝手に許可されたものとなっていた。
それじゃあ、とジタンはG.Fの入ったケースに向かってしばらく呪文を呟いたと思うと、確かにあったケースはすっかり姿を消した。

「魔力が反発するG.Fを隠すとはさすがだな」
「元盗賊をなめてもらっちゃあ困る。先祖代々伝わる特別な迷彩魔法だぜ」
「そうなのか」

素直に驚嘆を口にしたライトに、ジタンはへへんと得意げに笑ってみせる。
それからケースを持ったジタンに続き、部屋を出て行こうとしたライトをカインは引きとめた。

「ああ待て、もう少し話すことがある」
「え、でもこれ、そんなに長く続かないぞ」

もう一回迷彩掛けるのめんどくさいんだけど、と軽く見えないケースを掲げたジタンに、カインは首を振った。

「なに、大した話でもない。先に部屋に行って、後でライトから話してもらうでも構わん」
「…ふーん。じゃあオレはお先に失礼しますよーだ」

どこか拗ねたように唇を尖らせながら出て行ったジタンを不思議に思いつつ、ライトはカインへと向き直る。大した話ではないと言っておきながら、カインの表情は先程に比べて真剣なものとなっていた。それに不穏なものを感じ、自然とライトは唇を引き結ぶ。

「パラボカの町長だが、人間の長直々に囚われたそうだ」
「ガーランドか」

グール退治の条件として森を譲渡したことが、有翼人に屈したとガーランドの怒りを買ったらしい。譲渡された森は未だ手つかずに近いが、人間界に対する重要な拠点として有翼人側は利用するだろう。
首都コーネリアから遠いとはいえ、貿易港として盛んであるパラボカを潰すことができれば、人間には相当な痛手となる。そして今回の件で、パラボカの武力は有翼人に遠く及ばないことが証明された。
今後、人間側がくだんの森を取り返そうとしてくることも十分考えられ、それゆえにパラボカに武力を集中させるだろう。
近すぎる拠点、集中する武力、長の怒り。魔物の異常増殖と、種族の領域が分かたれていたことでなんとか回避されていた戦いが、それらをきっかけに勃発するのではないか。その懸念は、話を聞いたばかりのライトにも容易に浮かんだ。

「…俺は隊長だ、何者だろうと容赦はせん。だがライト、お前はどうだ? 人間を斬れるか? 命じられて、殺せるのか?」

人間の少年を守るというお前が、同じ人間を傷付けることができるのか?
カインの眸が鋭くライトへと向けられる。真意を測ろうとするかのようなそれに、ライトは真直ぐに視線をぶつけながら迷いなく口を開いた。

「傷付ける方法と同じように、殺さない方法はいくらでもある」

はっきりと言い切ったライトの双眸を、カインはしばらく睨み――笑んだ。

「そうか。それが睨まれる原因だというのにお前は…まぁ、せいぜい貫いてみるんだな」
「ああ、そうしよう」

生真面目に頷いてから、騎士服を翻して部屋を出て行ったライトを見送り、やれやれと溜め息を吐く。傷付けることを覚悟しながら、殺しはしないと決意しているのが、なんとも彼らしい。呆れと、それ以上の安堵が混じったそれを、カイン自身が不思議に思うことはなかった。



どん、と突然襲ってきた背後からの衝撃に、ライトはわずかに目を見開いた。

「あ、ごめん! 急いでるんだ」

確か、諜報部員の者だっただろうか。そうライトが所属を思い出している内に、青空色の羽の少年は再び走りだしていた。
ごめんなー! と二度目の謝罪がドップラー効果を伴いながら叩きつけられ、ライトは一度瞬いてから、再び自室へと向かう廊下を歩き出した。









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半年前とG.Fたち
ティーダは家族ぐるみの友人でブリッツボール選手ですん
あとG.Fはあれです、マンドラゴラ そして青空色の羽の子はすぐに出てくる予定

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