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スコ誕名目でのお話 誕生日自体はあまり関係ないです というよりただのばかっぷる
文字はすごく久しぶりなのでかなり書き辛かったで……す……
・パロなので呼び名はライト
・ナチュラルに同棲
文字はすごく久しぶりなのでかなり書き辛かったで……す……
・パロなので呼び名はライト
・ナチュラルに同棲
髪の隙間に手を差し込み、白い頬を撫でる。髪と同じ色をした意外と長い睫を爪弾いても、彫像めいた瞼を閉じた表情はぴくりともしない。それを見て、不意に沸いた悪戯な心地で通った鼻梁を軽くつまめば、やっとわずかに眉が寄った。
誕生日のプレゼントにと、スコールがライトに要求したのは、“ライトを一日好きにする権利”というもの。ライトが購入したアクセサリは知らず用意されていたが、それとは別にと希望を聞かれたところで、少しの間逡巡したスコールが呟くように返したのが、これだった。
普段スコールがなかなかわがままらしいものを口にしないのは、ライトに遠慮しているというより、単に甘え下手なだけといえる。それを引き出すのに、誕生日という名目は非常に機能した。免罪符を手にしてようやく口にできるわがままは、スコールの子供じみた不器用さを愛しくもいじらしくも思うライトにとっては、嬉しいものでしかないらしい。戸惑わせるかと思った要望は、一瞬の驚きだけを挟んであっさりと承諾されていた。
「具体的に何をするか言ったわけじゃないのに……いいのか、それで。少しは不安に思ったりとかしないのか?」
「君のすることに不安など、覚えようがないな。むしろ、君が何をするのか興味がある」
「……ああ、あんたはそういうやつだったな」
スコールの方が戸惑ってしまいそうなほど、相変わらず真っ直ぐに見つめてくる薄氷の双眸には、本人が言った通りの興味と楽しげな色が浮かんでいる。それを認めれば、妙な納得に溜め息が零れるばかり。別に今日でなくとも、それこそ一日に限らなくともライトは「構わない」と言ってしまいそうだ。
それなら、好きにさせてもらおうじゃないか。そうはっきりと心に決めたものの、具体的にどうするかがすぐに浮かぶわけでもない。一緒に昼食を作ってみたり、平日の街に繰り出してカフェや本屋に入ってみたりしたものの、平日ということとスコールが先導しているという点を除けば、普段となんら変わっていないことに気付いたのは、帰路に着いた頃だった。
次はどうしようかと迷う様子を、ライトが面白いものを見るように眺めてくるのが、スコールには気恥ずかしくて悔しくて仕方がない。そうして少しだけ拗ねてしまったのを宥めるように、部屋に戻って頭を撫でられてしまったところで、ふと思いついたことがあった。
「……ソファ、座ってくれ」
「座るだけか?」
「ああ。夕飯にはまだ時間があるだろ」
四時前を指す時計を確認し、頷いてソファに腰掛けたライトの前に立つ。こちらの動向を伺うように見上げてくる目を、手のひらで覆い隠した。ぱちりと瞬いたのか、手のひらを睫が擦ってくすぐったい。小さく笑ってから、スコールは次の“お願い”をした。
「俺がいいと言うまで目を閉じてろ。あ、触るのもだめだからな」
「……分かった」
さっそくと覆う手を掴もうとしてくるのを制すれば、少々不満げな声ながらも了承が返ってくる。ライトの手がソファの上で落ち着いて、睫の動きで瞼が下りたのを確認してから、スコールも目を覆うのを止めて、代わりに頬へと滑らせた。
一見ストイックと思われるライトだが、触れてくることは意外に多い。スコールが気付く間もなく手を取られていたり、髪を梳かれていたり、頭や頬を撫でられたり、抱き締められたり。一方で、スコールの方からライトに触れることは、ライトの方からに比べてずっと少ないといえた。先程宥められたときに、その事を思い出したのだ。
――さんざん顔をいじってやって、軽く鼻をつまんだところで、少々無理な体勢に疲れを覚えたスコールは、ライトの膝の上へと乗り上げた。薄氷を隠す瞼が震えたが、“お願い”を思い出したのか閉じられたままだった。その律儀さに感心しつつ、吐息が触れるほど間近で顔を見つめる。目を閉じていても視線は感じるのか、不思議そうに首をわずかに傾けたライトに、なぜかスコールは吹き出すように笑ってしまった。
「あんたが時々俺を見つめる理由が、分かった気がする。こうしているの、何だか面白いな」
自分の口から出てくる声が楽しげなものでも、スコールは厭わない。普段はあまり表情を変えず、涼しげな風体が目立つライトでも、ふたりきりのふとした時には、驚くほど優しげな色を見せることを知っていたが。こうして間近で見つめてみれば、微細な変化はきちんと表れていて、それらは予想よりもライトの印象を和らげていた。ともすれば、“かわいい”とでも口走ってしまいそうなほどに。
新たな発見をした心地で微笑うスコールが気になったのか、これまでしっかりと閉じられていた瞼が、思わずといった風でかすかに上がる。しかし、それを見逃すスコールでもなく。ライトの目がこちらを捉える前に、素早くその頭を抱え込んで視界を塞いだ。
「まだいいって言ってないだろ。さすが律儀だって感心してたのに、前言撤回だ」
「スコール」
名前を呼ぶ胸元からのくぐもった声が、どこか焦燥を含んでいるようにも聞こえて、くすりと笑い声を零してから腕を解いた。ライトの目を再び手で塞ぎつつ、顔を上げさせる。
「仕方ないな。ほら、目開けていいぞ」
手をどかせば、閉じ直されていた両目がゆっくりと開かれた。部屋の電気が眩しいのか、細めた目の隙間から焦点の合わない眸が覗く。何度かぱちぱちと瞬きを繰り返してようやく、ライトの視線がはっきりとスコールへと向けられた。
幾度と見ても見慣れない目の前の薄氷色に、スコールは一瞬見惚れていた。その一瞬の内に、触れることを許されていなかった手が動き出していた。声を上げる間すらなく、細い体はライトの腕によって抱き締められ、その勢いのせいでスコールは肩口に縋り付くような形になってしまう。
「っ、ラ、イト! 触るのはだめだと……!」
「『いい』、とは言っただろう」
なんだそれ、そんなの屁理屈じゃないか! と訴えるも、当然のように効果はなく、腕が解かれることもなかった。こうなってしまえば、抵抗してみたところで通らないことを今までの経験で思い知っているスコールは、息を吐いてライトの髪へと顔を埋めた。
「すまない」
抵抗を諦めたと判断したのか、謝罪を挟んで腕の力がようやく弱められる。もう一度だけ溜め息を吐いてから、スコールは顔の向きを変えて、髪に隠れた耳に口を近づけた。
「あんた、思ったより堪え性ないんだな」
「そうだな、想像以上に辛いものだった。傍に君がいて、私に触れているのに、私からは顔も見られず触れもできないのは」
「……ああ、むしろ、あんたはそういうやつだった」
二度目の納得に呆れるもつかの間、スコールの口元が描くのは弧だった。
ライトの顔を見つめて好き勝手に触るのも、その反応を見るのも確かに楽しかったのだが、それでもライトが瞼を開けたとき、双眸に見惚れてしまっていた。だめだと言ったはずなのに抱き締められても、簡単に諦めて、こうして身を預けてしまっている。自分こそ“そういうやつ”ではないか。
とはいえ、それを認めたからといって、まだ今日は終わったわけでもなければ“権利”がなくなったわけでもない。肩口から面を上げ、ぺし、とライトの頭を軽く叩いて少し体を離させた。
「おい。もう夕食の用意する時間だろ」
そう指摘して時計へ気が向けられた隙に、腕と膝の上から逃げ出す。彼らしくもなく、あ、と小さく声を上げたライトに、スコールは悪戯な笑みを見せつけてやった。もっと触れていたいのはお互い様だが、今のスコールには、もう少しライトを翻弄してみたい気持ちもあったのだ。
そんな思惑を知ってか知らずか、ライトは苦笑を浮かべるとソファから立ち上がり、キッチンへ向かうスコールを追いかけた。その足が少しばかり早足だったのをスコールが知ったのは、腕を取られ、振り向いた先にライトの顔があったときで。その上口付けられたことに気付いたのは、唇が離れた後だった。
「あとは自重するから、これだけは許してくれないか」
「……してから言うなよ」
悪びれもなしに言われては唇が尖る思いだが、されてしまったものを訴えても仕方がない。なにより、頬が熱いまま言ったところで説得力など皆無だろう。ならば、とスコールは背伸びをすると、先程自分のものを掠めていった唇の、その端に口付けた。不意打ちだっただけに、捕まえようとしてきた手は遅く、逃げきるのも容易い。
「これだけ、だろ? ……『いい』と言うまで、キスはだめだからな」
覗きこんで挑発的に言えば、ライトは数回瞬いて――頷いた。
さて、次に音を上げるのはどちらか。仕掛けられた勝負の刻限は、スコールの誕生日が終わるまで。
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スコールからべたべたさせようと思ったら普段とあんまり変わらなかった
当然ながらライトさんは有給もぎ取り済
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