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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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このらくがきの小ネタの続き
タイトル通りとはいっても2→18と5→18要素は前提程度であまりないです
行動に移せるバッツvsなかなか動けないフリオ ファイッ





「針の穴はここだ。ここに糸通すんだ」
「む……こんな小さなところに通すのか」
 針を持ち、破れたマントを挟んだ勇者とスコールはただいま裁縫中。勇者の方は裁縫が初めてらしく、スコールの手ほどきを受けていた。糸通しから苦戦する微笑ましい様子に、フリオニールは自分の装備の修繕を進めつつも頬を緩めてしまう。
 クリスタルを求める旅路ではモーグリに頼んだと聞かされて、大いに呆れていたスコールも、裁縫には慣れていないようだった。勇者に教えてくれと言われた際にも、一度は上手くないからと断ろうとしていたのだ。しかし、勇者の希望に押し切られて結局引き受けてしまっているのは、惚れた弱みというやつなのだろう。あの強い眼差しで、「君がいい」などと言われてしまっては、断れるはずもない。
「……で、こうして……違う、そうじゃない。そんなところ持ってると指を刺……っつ!」
 小さく息を詰めた音にそちらを向けば、勇者の方に気を取られてしまったのか、スコール自身がうっかり針で刺してしまったようだ。心配そうな勇者の声が聞こえてくる。
 ずいぶんと悪戦苦闘しているようだ、とフリオニールはこっそり苦笑した。タイミングを見て手助けした方がいいのかもしれない。刺してしまった指を挟んでふたりが何事か話しているのを耳に入れつつ、修繕道具を簡単に片づけたところで、不意に小さな悲鳴が聞こえた。何かと思い慌てて顔を上げれば、視界に飛び込んできたのは、ちょうど勇者がスコールの指を口に含んでいるところだった。
「……思ったより血が出るものだな」
「い、いや、というか離せよ、自分でやる!」
「どちらでも同じだろう」
「全然違うっ」
 頬を染めたスコールと、楽しそうに目を細めた勇者を見た限り、今手伝いを申し出てはお邪魔虫にしかならなさそうだ。
 フリオニールは熱くなった頬を掻きながら、上げかけた腰をそっと下ろすと、ふたりの様子……もとい眼福の観察を再開した。その時、テントの幕が上がった。ちょうど勇者と向かい合っていたところだったためか、びくりとスコールが肩を跳ね上げる。
「おーい、果物見つけたから食べ……お?」
 入ってきたのがバッツだと分かった途端、スコールの肩は安堵したように落とされた。一連の反応が見えていたかは定かではないが、バッツは三人を順番に見、そして勇者とスコールの手に持たれたものを見て、子供のように目を輝かせた。
「なんだなんだ、なにやってんだ? 裁縫?」
「ああ。スコールに教えてもらっていた」
 傍に寄ってきたバッツに、勇者は持ったままの針を掲げて見せる。それでおおよそ理解して、バッツはなるほどと頷いた。
「んで、なんでスコールは真っ赤になってるんだ?」
「それは……もご」
 言いかけたその口を塞ぐスコールの速度たるや相当なものだったが、色も引かないまま勇者を睨みつけていれば、原因がどこにあるかの予想はついてしまうというもの。臆面もなく言おうとする勇者も勇者だが、普段の気性を考えれば仕方のないことだろう。
 実際、余計なことを言うな、と無言の圧力をかけられながらも勇者は不思議そうに瞬いている。おかしそうに笑いを耐えるバッツと、照れ笑いに似た苦笑を浮かべるフリオニールが目に入ったのか、スコールは気まずそうに眉間にしわを寄せながら手を離した。
「それで、上手くいって……なさそうだな」
 マントを見てみれば、勇者側はおろか、スコール側すら未だ数センチも縫えていない。スコールへ視線を移せば、その表情が無言を守りつつも拗ねたようなものに変わり、とうとうバッツが噴出した。
「……なんだよ」
「あれだろ、スコールあんま裁縫得意じゃないんだ?」
「それは……」
「私が無理を言ってしまったのだ」
 手を取られ、針で刺してしまった箇所を指先で撫でられながら、すまないと謝罪されて、スコールははっとしたように勇者へ向くと、慌てて首を振った。
「俺がいいと思ったからだ、あんたのせいじゃない」
「しかし、こうして怪我をさせてしまっている」
「こんなの、怪我に入らないだろ」
 そうスコールが指す傷は、すでに血を止めている。確かに小さな刺し傷にしかすぎないそれでも、勇者はスコールの手を離さない。
「それでも、君に無理に慣れないことをさせたことには変わらない。これ以上の怪我になってしまったかもしれない」
「なんでそうなるんだよ、これは俺の――」
 ふたりの声が大きくなり、言い合いになるかと傍から見ていたフリオニールが危惧したところで、スコールが口を噤む。眉根を寄せたままの表情は、“こんなつもりではなかった”と後悔しているものに見えて、フリオニールはどうフォローするかも考え付かないまま、思わず腰を上げようとしていた。それを妨げたのは、バッツがぱんっと両手を叩いた音だった。
「はいストップ! それじゃ、おれも一緒に教えるってことで、どうだ? ジョブマスター☆☆☆が二人とも面倒見ちゃうぜ!」
「バッツ?」
「おれが裁縫できるのは知ってるだろ? まあ特別なことはなんもないけど、コツはちゃんとあるからなー」
 呆気にとられたように視線を向けてくる二人に、バッツはばちんとウインクしてみせた。
 不意を突かれて固まってしまったフリオニールをよそに、勇者とスコールは何度か瞬いて、互いの顔を見合わせる。それから進んでいない針を見て、小さく苦笑を落としたのは勇者だった。
「そうだな、手助けが必要かもしれない」
「……これじゃいつまで経っても縫い終わらなそうだしな」
 ふう、と溜め息を吐いたのはスコールで、バッツに毒気を抜かれたのか、その眉間は少々緩んでいた。それに安堵したように表情を和らげた勇者は、バッツへ道具を手渡した。
「すまないな」
「いーえ。これ終わったら採ってきたの食べようぜ!」
 バッツが二人にそう笑いかけたかと思いきや、すぐにちらりと覗かせた、勝ち誇ったようなそれは、出遅れてしまったフリオニールへと向けられて。途端に、体が固まっていたのを忘れたように、思い切り身を乗り出していた。
「お、俺もっ! 手伝う!」
 二対の驚いたような視線や、自棄に顔が熱くなっているのにも構わず、フリオニールは自分の道具を持って近づいた。ちょうど対面になったバッツがにっと笑ったのに、負けるものかと挑むように笑い返してみせる。
「そうこなくちゃな!」

「……何だか、大事になってしまった気がするのだが」
「俺もそう思う……」









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バッツとフリオが何でも屋のようになってきた

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