DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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過ぎちゃいましたがねこねこの日でウォルスコ 一応けもみみ注意です
続きものっぽいですが…続けられたら続けます、くらいで
続きものっぽいですが…続けられたら続けます、くらいで
目覚めたら、腕の中に猫がいました。
「…え?」
ちょっとやそっとでは驚かないはずの勇者は、自身が常になく間抜けな声を発したことにも気付かないまま、ゆっくりと瞬きを繰り返した。
猫がいる。正しくは、猫のようなスコールというべきか。すやすやと邪気のない顔で眠るスコールの頭には、どこかで見たような三角の耳が着いていて、今はぺたんとシーツに落ちている。隠れてはいるが、この分では尻尾も生えていることだろう。スコールのその気まぐれな気性は猫にも似ているとは思っていたが、だからといって猫耳や猫の尾が生えるはずもあるまい。
記憶の一切を失っている勇者にも、今のスコールの状態が非常識であることくらいは分かる。本物なのか、とつい猫耳へ手を伸ばしてしまうのも、当然の好奇心のはずだ。そう、わざわざ自己弁護してしまうほどには、寝起きの勇者は動揺してしまっていた。その動揺が伝わったのか、勇者が触れる前に猫耳が震え、小さく唸ってから、やがて眠れる猫が瞼を開けた。
「…ウォル。おはよ…」
普段なら、寝起きゆえの舌足らずさを愛らしいと思い、口元を綻ばせながら挨拶を返すのだろうが、生憎今の勇者には微笑むだけの余裕はなかった。それでも傍から見ればあまり変わっていない表情を上目に見、スコールは様子のおかしい勇者に首を傾げようとして―――目を見開いた。
「あんた、それ…」
「スコール、それは…」
「え?」
「ん?」
互いが互いの頭を見つめながらの問いかけが被り、戸惑いの声が重なる。
「君の頭に…」
「耳が………っ!?」
はっとしたスコールが片手を勇者の、もう片方を自身の頭へと遣る。スコールの両手で得た感触はまったく同じ。すなわち、勇者の頭に着いているものと同じものが自分の頭にも着いているということ。
触られて初めて、スコールに着いている猫耳が自分にもあることに気付いた勇者は、ようやく上体を起こして二人を覆っていたシーツを捲った。そうして見たのは、ズボンを押し下げて飛び出た二本の尻尾だった。
「な、なんだよ、これ…!」
「猫の尾だな」
「それは分かってる! じゃなくて、なんでこんなものが生えてるんだ!?」
スコールはがばりと起き上がると、むぎゅりと自身の尻尾を掴んだ。途端に息を詰まらせ、すぐに手を放したのを見て、勇者は自分の尻尾を軽く握った。
「感覚がある…直に生えてしまっているのだな」
「…なんで落ちついてられるんだ、あんた」
「いや、驚いているのだが」
だったらそれらしく顔に出してくれ、とは言わず。スコールは眉根を寄せたまま、自分の尾の付け根まで視線を滑らせる。―――まさしく、生えている。そう自分の目でも確認すれば、深い深いため息を吐かざるを得なかった。驚いたと自称した勇者といえば、物珍しそうに自身の尻尾を弄っている。
「どうするんだ、これ…」
「君にも心当たりはないのだろう。ここで私たちが考えていても分からないなら、皆に聞いてみる他あるまい」
「それはそうだが…」
でも、と懸念するのはずり下がったズボン。ティナだっているのだ、こんな姿を晒すわけにはいかないだろう。しかし、勇者の言うように、いつまでもベッドの上であれこれと考えているわけにもいかない。
そうスコールが思案しているのを余所に、さっさとベッドを下りた勇者は部屋着から普段の鎧へ着替え始める。そういえば、鎧のおかげで勇者にはスコールの抱えるような問題はないのだった。それを八つ当たりのように悔しく思うも、生えた尻尾がズボンの中に収まる長さになるわけでもない。
髪と同じ色をした耳と尾を揺らし、着替え終えた勇者がスコールへと向き直ると、軽く首を傾げた。どうした、と言外に問う仕草に、スコールは眉根を寄せたまま睨み上げる。
「…隠すものがない」
ぼそりと呟けば、勇者はスコールを一通り眺めて、ぱちりと瞬いてから再び視線を合わせてくる。しばらく薄氷に海色をかち合わせていると、不意に勇者が目許を綻ばせた。そうだな、と頷いたまではいいが、それが微笑み混じりなのがスコールには気に食わない。その上、子供にするようにぽんぽんと頭を叩かれてしまっては、尚更。
「なんだよ」
「いや。…私のマントでは大きすぎるか。君がいつも着けている、黒い布はどうだ?」
「黒い布? ああ、あれか」
それなら丁度いいかもしれない、と尻尾を揺らめかせて黒い腰布を探すスコールを待ちながら、勇者は一度だけ耳を震わせてくすりと声を立てた。
睨み上げていた目は不安そうに揺れていたこと。置いていかないでほしい、と耳と尻尾を垂らせていたこと。それに気付いていなかったのは、スコール本人だけだろう。しかし、スコールが黒い腰布を巻いてずり下がった分を隠すまでの間、眺めていた勇者が楽しげに耳と尾を揺らしていたことは、スコールどころか勇者本人も気付いていなかった。
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続く、はず
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