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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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○薬は捻らずあのお薬です 淑女に元凶になってもらいつつ書きなぐった割に妙に長くなった
ウォルさんにも葛藤してもらいたかったとか そして二人とも盛大に勘違いしてるといい

年齢制限はアリマセン なのでぇろとかじゃないですー

試験的に字下げしてみた どうだろう?










「あ、あら? 私としたことが失敗しましたわ! …いや、でもこの効能は…試す価値はありますわね」
  とある狭間、小さな魔法使いはにやりと笑うと、どこかへ転移していった。



  秩序の聖域に設けられた屋敷の中。暫くの自由時間ののち、見張りに立つ者以外が眠りに就く頃。
  その中で、スコールは自室に入り武器の手入れをしていたが、ふと室内の温度が高くなったように感じて眉根を寄せた。
(暖房? つけた覚えはないが…)
  聖域には昼夜の変化があり、気温の変動もあるとはいえ、多少でしかなく基本的に過ごしやすい環境である。そんな立地内の屋敷には、冷房や暖房といったものは無かったはずなのに、ついそうと考えてしまうのは元の世界の記憶の所為だろうか。
  暑さに上着を脱いだところで、さて涼しくなるかと思いきや、効果はあまり無く。なんとなくぺたりと頬に手を遣ってから、増したのは室温ではなくスコール自身の体温であることに気付いた。自覚してからというもの、余計に体の火照りを感じてしまって、原因不明の事態に内心慌て始める。
(なんなんだ、これ。風邪? 熱?)
  手入れどころではなくなってしまった武器を手早く片付けつつ、その手が微かに震えているのが、スコールを更に動揺させた。
  足を寄せ、ぎゅうと体を抱き締め、丸くなってベッドに転がる。目を閉じれば、鼓動の音が聞こえるほど高なっていた。心なしか呼吸も早く、重度の風邪なのだろうか、と霞み始めた思考で考えた、その時。
「体調は如何かしら、子猫ちゃん」
「…シャン、トット…」
  傍らから高飛車そうな声が聞こえて、スコールは瞼を上げた。自分以外の何者もいなかったはずの部屋になぜ彼女がいるのか、それ自体はスコールにとっては別段不思議でもなんでもない。最凶との呼び声も高いらしい、稀代の魔法使いである彼女のこと、転移など朝飯前なのだろう。それより気になるのは、なぜ彼女がわざわざ自分の前に現れたのか、ということだった。
「暑い、いえ、熱いでしょう?」
「……」
「それはあなた一人ではどうにもならなくてよ。解放されたいのなら、誰かの手を借りなくてはなりませんわね」
「はぁ…?」
  どういう意味だ、と問い返した時には、彼女の姿は消えていて。どうにも回らない思考では考えても無駄か、と早々に諦めると、スコールはゆったりと起きて立ち上がった。妙にふらつく視界と足に、やはり体調を崩したのかと不安になりながら、部屋を後にした。
  淑女は決して名指しはしなかったが、スコールが“誰か”と聞いて即座にある人物を浮かべて、しかもそれに疑問を持たなかったのは、それほど熱に浮かされていたからであって、そしてスコール自身がそれに気付くことはなかった。



  戸が叩かれた、というよりは何かがぶつかったような音に、勇者は装備の確認の為に下ろしていた視線を上げた。扉の向こうの気配はよく知っているどころか、いわゆる恋人にあたる者のものであることはすぐに分かったが、しかし、このような少々乱暴な訪問は今までになかったはずだ。何か急を要する事態でも起こっただろうか、と危惧しながら勇者がやや足早に扉へ向かい、開いたと同時に倒れ込んできたものを反射的に抱きとめて、それがスコール自身であったことに瞠目した。
  夜も深まり就寝している仲間も多いのを思い出し、名前を叫びそうになるのを抑えて、勇者はスコールの体を抱える。一見では怪我もなく、辺りに敵の気配も無かったが、抱えた体がひどく熱いことに、勇者は僅かに眉を寄せた。
  ひとまずベッドに寝かせて改めて見ると、体全体が上気しており、呼吸も早い。果たしてケアルやポーションで回復出来るだろうか、と考えているとスコールがゆっくりと瞼を開けて勇者を見上げた。その目がいつになく潤んで、表情が切なげなのも加えて、勇者は思わず目を逸らしそうになる。
(病人を前に何を考えているのだ、私は…!)
  熱が移りそうな自分を叱咤しつつ、勇者は汗の浮かぶスコールの額に貼り付く前髪を退けてやる。その指先で熱を測り、その高さに、一瞬覚えた劣情も忘れてそれと分かるほど眉を寄せてしまう。
「…ウォル…」
「スコール?」
  はぁ、と熱い息を吐きながら、呼吸の合間に必死で言葉を紡ごうとするスコールに、勇者の声は自然と静かなものになる。
「なんか、わかんないんだ…あつくて…さっき、シャントットがきて…あんたの、ところにいけって」
「シャントットが…?」
  シャントットの目的も、自分のところに来いと言った意図も分からないが、ただスコールの熱は彼女の仕業だろうとは、なんとなく勇者にも予想がついた。
――― 無意識にスコールの脳内で“誰か”が勇者に変換されているのも、おそらく淑女の計算の内だろうが、それは今の二人には知る由もないのでともかくとして。
  勇者としては今すぐに彼女を捕まえたいところだが、神出鬼没を体現したような彼女は、こちらからは見付けることすら出来そうにない。更に言えば唯我独尊を形にしたような気性と、それを実現する実力が相手では、望む情報を引き出すことも出来ないだろう。
  スコールの身に何が起こっているのかは分からないが、とりあえず熱を軽減させるための氷くらいは用意出来る。
「氷を持ってくる。辛いだろうが、まずは眠った方がいい」
  頭痛がしそうなのを抑えつつ、勇者は小さな口で呼吸で繰り返すスコールの頭を撫でてから、部屋を出ようとして。病人にしては強い力で腕を掴まれて、勇者は離れるのを中断した。戸惑いつつ見遣る先で、スコールは視線を彷徨わせながらも腕を放そうとしない。手の微弱な震えが、腕から伝わってくる。
「氷を取ったらすぐ戻るから」
「…が……だ…」
「スコール?」
  掴まれた腕の方の手で熱い頬を撫でれば、それに反応したようにきゅうと眉が寄せられ、なのに擦り寄ってきて。彷徨っていた、溢れそうなほど涙が溜まった目は縋るように勇者を見つめて、唇が小さく動いた。
「あんたが、いなきゃ…いやだ」
  びくりと体が強張るのをどこか他人事のように思いつつ、勇者は鼓動が跳ねるのに必死で知らないふりを決め込むことにした。そうでもしないと、手が衝動に任せて動いてしまいそうで、そしてその結果がスコールの病状を悪化させてしまうことが、目に見えていたからだ。滅多なことでは表情筋が動かない質であることを、これほど救いに思ったこともあるまい。
  スコールに艶すら見出してしまうのも、己に修練が足りないせいだと言い聞かせつつ、勇者は目を伏せて息を吐いた。頼むから、自分も男なのだから、と訴えようにもスコールに非はまったくないのだ。スコールを仲間というより、恋人として見すぎているせいなのだろうが。
「…スコール」
  溜め息をスコールへ向けたものではないと証明するために、瞼へ軽く口付けを落としてから、次は宥めるために唇へ触れた。
「戻ったら、傍にいる。君が眠っても離れないから…安心してくれないか」
「……」
  ようやく腕が放されて、勇者は微笑むと再び頭を撫でた。今度は引きとめられることもなく、静かに部屋を出ると、扉を背にして額に手の甲を当てる。元凶はともかく、原因不明の熱とあってはスコールも不安だろうに、自分は果たして何を考えていたのか。そんな浅ましさと自己嫌悪に、勇者の表情は自然と険しいものになる。一方で、鼓動は早く顔も熱いのだから、もう。
「…心臓に悪いな」
「私はつまらないですわ」
「!」
  呟きに返すような言葉の方へ向けば、小さな影が立っていた。勇者と真向かい、元凶と目星をつけていた伝説の淑女シャントットは、ふんと鼻を鳴らして言葉通りのつまらなそうな表情を浮かべている。
「スコールに何をした?」
「お薬ですけど? 熱くなる、ね」
「薬…?」
「自制心が強いのは結構ですけど、ちょっとは感情的…いいえ本能的に動いてもよろしいんじゃなくて?」
  つまらないと言っていた表情が一転、嘲笑に似た笑みに変わったところで、勇者は自然と淑女を睨みつけてしまう。元々目つきが良い方ではけっしてないが、少々怒りを覚えていたのも確かで、視線が厳しいものになってしまうのもそれゆえのことだった。
  スコールの体調不良の元凶であることをあっさりと認める言葉に、こちらへの助言ともとれる言葉は、今の勇者にとっては余計なお世話であって。それでも相手を糾弾出来ないのは、先程覚えたばかりの自己嫌悪のせいに他ならない。
「…あれが貴女のせいというならば、それを治す方法も知っているのだろう?」
「ええ、勿論。それは貴方」
「……は?」
「だから、“貴方”」
  耳が遠いのかしら、と嫌味を言われたところで、勇者の耳には入っていない。自分は病気の治療法を聞いたはずで、なのに返ってきた答えは到底想像出来るものではなくて。そもそも熱とはいえどんな病気であるかも知らないのだから、治療法が予想出来るようなものとは限らないのは、当然かもしれない。なにより、仕掛けたのがシャントットである。病状が予想出来ないものだとしても、おかしくない。
  だからといって、言うに事欠いて“貴方”とはどういう事なんだ。シャントットを睨んでもそれ以上の言葉はなく、相変わらず嘲笑を浮かべているだけだった。
「そんなに分からなければ子猫ちゃんに訊いてみなさいな。あまり放置するのもかわいそうですわよ」
「待…!」
  にやり、とこの上なく不遜な笑みを浮かべて、勇者が引きとめるのも聞かずに淑女は消えてしまった。結局からかわれただけなのか、どちらにせよ彼女がいない今確かめる術はなく、そして治療法も分からず仕舞いに終わってしまった、と勇者は判断した。
  そこで思った以上に時間が経っていることを思い出し、慌てて氷を用意して部屋に戻れば、スコールはシーツを頭から被って蹲っていた。
「スコール!?」
  病状が悪化したのだろうか、と氷を置いて蹲るスコールにシーツ越しに触れた途端、大げさと思えるほどに体が跳ねて、思わず手を離してしまう。もう一度、今度は静かに呼びかけながら触れると、シーツの中の体は小刻みに震えていることが分かった。驚かせないように出来るだけそっとシーツを退けると、枕に押しつけられていた顔がゆるゆると上げられて、そして勇者は思わず息を飲んだ。
「…っく…ウォル…」
  暑い、熱い、あつい!
  部屋を出る前は溜めていた涙を、ぼろぼろと零してしゃくり上げながら見上げてくるスコールが、そう訴えてくる。触れた額も頬も熱く、そして触れる度にスコールの体はもはや反射的に跳ねているように見えた。
「わからない、わかんないんだっ…!」
  ぐいと手を引かれ、そうして引き倒された勇者の薄手の服を掴み、胸元で嫌々と駄々をこねるように小さく首を振るスコールに、勇者は半ば呆然としてされるがままとなっている。
―――これは、この症状は、あの淑女が言った意味は、彼女が使ったという薬は、まさか。
  導きだした予想に、呼吸が止まりそうになる。しかしそれを認めることは、自分に有利な都合を押しつけることにならないだろうか、そんな予感が勇者の動きを止める。それをどう思ったのか、それとも籠るばかりの熱で何も考えられないのか、スコールは泣きじゃくりながら勇者を見上げて、濡れた唇を開いた。
「…たすけて…」
  何かが焼き切れたような音が聞こえたのを最後に、それからの記憶は、どちらも曖昧だったのだ。



「…素直になればよろしいですのに。理性的すぎるのも考えものですわね」
  盗み見する趣味などない、と早々に戻ってきた狭間で、薬の調合を進めながら淑女は呟いた。









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勿論ホントの風邪とかだったらウォルさんも云々考えず看病に徹するんですが、薬ゆえの無意識の色香っていうか、そういうのに煽られたと…とりあえずウォルさんがわたわたする辺りとスコールがえぐえぐする辺りがとても楽しかった
淑女が性格悪すぎる…か?これでも自分は淑女嫌いじゃないどころかすごくいいキャラしてると思ってます
ドSには違いないでしょうが


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