DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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6月中には終わらなかったコレ
次の加筆で最後になると思います 割とすぐ書ける…と思いたい
続きものなので前の読んでない方はまとめページの『月長夜』からどうぞです
▽ 次の記事にも書いたけど終わった!終わった!
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記憶を失くしたのでなければ、おそらく自失していたのだろう。それでも、頬から離れた手に、髪をかき上げるように触れられたのは、なんとなく分かる。
"惹かれた"…本当なら混乱ばかり生まれそうなものを、その言葉は驚くほどすとんと胸に落ちてきた。
(―――そういう、ことだった、のか)
尊敬して、憧れて、それらすべての理由が、その感情だったんだ。
そう理解してからの、今までの熱、鼓動、詰まる呼吸の理由を悟ってみれば、すべてが繋がっていた。思えば、何かにつけて水の色は翻っていたし、どこかはいつも眩しくて、心は薄氷に跳ねていたのだ。それも、ひとつの宝石に過ぎってしまうほど。
目許へ動く手を捕まえて、ぎゅうと握りしめた。硬い手のひらを髪から離したかったわけでも、そして擦りよりたかったわけでもなく、確かめたくて。
「……恐ろしい…」
戻ってきた呼吸を喉に絡む呟きにして、じっと勇者の双眸を見つめる。
その感情の連鎖には、覚えがあった。それはいつ、どこで、そう感じたのかは思い出せないが、確かに自分はその連鎖を知っている。思い出そうとすれば胸が詰まりそうになるが、胸を埋めようとしてくるものが恐怖であると分かるのに、それはどこか甘辛い。
惹かれた存在だから、失くすことが恐ろしい。彼が自分に対して得ているというそれと、自分が隠された記憶の中で得たそれはきっと同じで、なら今自分が彼に抱くのも、きっと同じなのだろう。それは、さきほど確信できない未来を恐れたことと、彼と並ぶこの時を失くしたくないと考えたことの理由でもある。そう思えば、ずっと納得出来た。
そうして繋がる感覚に高揚する一方で、握りしめた手が握り返してくれる力は、さっき腕を掴んだものと同じ手とは思えないほど弱い。
「…ただ、同時に、君の足枷にしかならないだろうとも思ったのだ」
ひたすらに孤高であろうとする、その足を止めてはなるまいと。しかしその願いとは裏腹に、願う度に募っていって。再会して、止まらなくなったのだと。
本当は伝えるつもりもなくて、それでも伝えずにいられなくなって、そんな衝動の結果だと、次いで勇者は続けた。
「だから、もし君が嫌なら…迷惑だったなら、どうか逃げて欲しい。そうしたら、諦められる」
勇者の口から紡がれた独白は、想いを自覚した今となっては嬉しかったはずなのに。続いた苦味に、高揚が一旦冷えて、また別の方向へ増していく。
どうして、苦しいのか。おぼろげな過去は恐ろしくも甘いのに、甘いはずの今がなぜひたすら痛いのか。抱いて落ちてきた感情をようやく掴んで、浮かれていた自分の前で、彼の表情はどうして沈んでいる?
自身の衝動を後悔しているかのような様子に、腹が立ったのかもしれない。
「迷惑、だと…?」
ただ見つめていただけのそれを強く睨め付ければ、薄氷色の双眸が戸惑いに揺れた。
「そんなの勝手だ、あんたの勝手だ。勝手なこと言って、そんなの…っ」
視界がぶれて、霞む。それでも頭に上った熱のせいで、そんなことに気を遣る余裕などない。ただ彼の瞳を逃さないように睨む、ひたすら強く。
散々振り回しておいて、今更勝手な仮定を打ち立てて今更逃げてくれだなんて。自分自身では諦めるための理由も見付けられなかったのに、勝手にこちらを言い訳にして諦めようだなんて。
「あんたが諦めたら、そしたら…俺は、どうすればいいんだ…!」
彼に非はないのに、それなのに口から飛び出すのは身勝手な言葉ばかりだった。勝手なのは自分の方だと、分かっているのに。知らず葛藤していた彼に比べたら、自分など自身の感情すら知らずに惑うばかりで、ずっと気楽なものだったろうに。責められてもおかしくないのに。
それでも彼は優しすぎる、その優しさが今はひたすら憎かった。
手は握り締めたまま、もう片方の手で胸倉を掴む代わりに鎧飾りに爪を立てて、いっぱいいっぱいに見上げた先の双眸は見開かれていた。未だ戸惑いしか見せない優しさへの罵倒が形を変えて、まるで突き動かされているように溢れ出てくる。
「やっと、やっと分かったんだ」
彼を苦手に思っていたのは間違いなかったが、それは意識することと同義でもあって、その意識が変化したのは、おそらく剣を交えた時だったのだろうと思う。そこで初めて、光を湛えた水の色を知ったのだ。押しつけられた羽を手に語った思いを認めてくれて、送り出してくれた時の静かで柔らかな彼の眼差しと表情を、今でも覚えている。ずっと、離れなかった。
彼のどこかで獅子が揺れていたように、自分も胸に光を抱えて焦がれていたのだ。
「あんただけじゃない、俺、だって…!」
―――あんたを失くしたくない、そうはっきり言える。そう願える。
だからもう、逃げろなんて、諦めるなんて、どうか言わないで。迷惑だなんて、思うはずもないから。
この感情を知らない内ですら、触れられて嬉しいと自覚してしまったほどなのだから。
本当は、もっと言いたいことはたくさんあったのだ。それなのになぜか声は詰まってしまって、それ以上続けることが出来なくなった。自覚してからは堰を切ったように溢れているというのに、唇は震えるばかりでまるで動こうとしない。
それでも視線だけは外したくなくて必死で見上げる先で、見開いていた双眸が一旦伏せられ、そして開かれる。再びまっすぐ交わってきた月色混じりの薄氷色に、先程苛立たされた優しさはなく、戸惑いすらなかった。やっと強く握り返してくれた手に、何かが込み上げてくる感覚がして、視界が滲んだ。
「また、言ってもいいだろうか」
「…ま、た…?」
「必ずクリスタルを手に入れ、君の元へ帰ってこよう。その時に、また」
緩い風に冷やされた頬を、拭うように手のひらで温められながら、一度彼の言葉を反芻して、頷いた。続きは口にされなかったが、それが不満でもなければ恐ろしくもなかった。その時には、もう悲しい仮定もなされないだろう。
彼が必ず帰ると言うのならそれは確約された未来になるだろう、今の自分ならそう信じられる。きっと同じ言葉で以て想いを掲げることができると、信じられる。自分も、約束を果たすためなら何が何でも未来に在ってやろうと、そんな気になってしまう。まるで呪いのよう、しかしその呪いは苦しくも甘美なものだ。ただひたすらに嬉しいのだから。
そして頬の手が背に回って抱き寄せられても、握り合った手が放されないことも、また。
昼夜が存在し、その周期が体内時計と一致する世界は珍しく、ありがたいものである。
目覚めた体が朝を少し過ぎたと判断する一方で、脳の方はぼんやりとどこか夢見心地だった。というのも、あの湖からどうやって帰ってきたのか覚えておらず、あの後勇者と何を話したのかも覚えていない。ぷっつりと途切れて、今このテントの中から開始されているのだ。
まさか夢だった、なんてことはないだろうか。もしそうだとしたら、と恐ろしい仮定を考え始める前に、幕を上げて入ってきたのは勇者その人で、ぼんやりした思考が飛んだついでに目も綺麗に覚めた。兜はないがいつもの鎧は着けていて、自分より少し前に起きたのだろう。
「おはよう」
「お、おは、よう…」
上体を起こし、挨拶を返して、視線が泳ぐ。なぜなら勇者の様子はあまりにもいつも通りで、本当にあれは夢だったのかという疑いが深まると共に、なんとも恥ずかしい、何より彼に申し訳ない夢を見たものだ、という気まずさがあったからだ。記憶が途切れるまでを思い出してみれば鮮明で、自分の一挙一動も思い出せてしまったものだから。あれが夢であったなら一時の気恥ずかしさからは救われるが、同時にひどく落胆するのだろう。
その時毛布が泳ぐ視界に入って、それがまた勇者のマントであったものだから、加えて驚くことになった。
「な、なんで、マント?」
その疑問に勇者が答えたことで、同時に別の疑問も晴れることになった。
「あの後眠ってしまった君をここに運んで、毛布を取りに一度出たのだが、戻ってきた時にはそれを掴んでいたのだ」
マントを放すこともなく、あまり寒くもなかったから更に毛布をかけても暑いだけだと思い、結局そのマントを代わりすることにした。そう勇者は続けるが、あまり頭に入ってこない。
どうやらあれは夢ではなく、記憶がないのはあのまま眠ってしまったため、そしてまた世話を掛けて、しかもマントは放さなかったのだと。疑問が一気に解けた代わりに、安堵すると共に盛大に恥ずかしい思いをする羽目になってしまった。ああ、もう、顔が熱い。
慌ててマントを返そうとして、しかしそれがすっかり皺だらけになってしまっていて、また慌てていると、くすりと笑い声が落ちてきて弾かれたように顔を上げた。
「まず、落ちつきなさい」
「っ…」
微笑みに見惚れているのに気付いているのかいないのか、それを落ちついたと勘違いでもしているのか、無言の自分に勇者は頷くと、跪いて視線を合わせてきた。その双眸には、昨晩とは違い月の色こそ混じらないが、相変わらず綺麗な水の色を湛えている。
落ちつけない原因はあんただ、と言ってやりたいが、ぐっと我慢する。
「マントは気にしなくていい。それと、これを返そう」
「これ…って」
腰に下げたポーチから取り出されたものを受け取りつつ見れば、それはあの宝石で。そういえば取り落としたきり、すっかり忘れてしまっていた。
素手で触れるそれに、昨日は冷たく感じた温度もなく、幻想的だった彩はなりを潜めているが、透明な青と仄かな白は変わらない。ただの宝石、という認識しかなかったはずなのに、こうして触れているとなんだか落ち着くのは、忘れていた割に所有の意識を持ってしまったからなのか。単純に気に入ってしまったのかどうかは、定かではないが。
髪に触れるように頭に手が置かれて、見上げた先の勇者が何事か言おうとしたところで、外から二人分の騒がしい声が聞こえてきた。
「あれは…バッツとジタン?」
同じように声の方向を向いた勇者も頷いたことから、あの二人で間違いないようだ。何かクポクポ聞こえるのが気になるが、ようやく合流出来たのだと思うとほっとする。昨晩を越えてこの勇者と二人きりで過ごすのは、決して苦痛ではないが心が騒がしい。
手が離れていくのを少々惜しく思いつつ、立ち上がって勇者と共にテントを出れば、駆けてきた二人と一匹がちょうど辿り着いたところだった。
ぱぁ、と表情を輝かせた二人…予想通りのバッツとジタンが手を広げ抱きついてくる、と思いきや。それより先に胸に飛び込んできたのは、白いふかふかした生き物、モーグリだった。
「うわぁん助けてくれクポーっ!」
開口一番そんなことを叫んだモーグリに瞬いて、再びバッツとジタンへ目を向けた途端に、襲ってきた二人分の重み。モーグリに先を越されたことで一瞬足を止めるも、結局構わず飛び付くことにしたらしい。
「あああ良かった!ほんと良かった!」
「全然見つかんねぇんだもん、無事で良かったぜー!」
「分かった、分かったから離れろ!重い!!」
良かったという気持ちも再会の喜びも分かるしなにより自分も同じではあるが、だからといって二人の体重が変わるわけではない。必死に押しのけながら叫ぶように訴えたところで二人はようやく離れてくれたが、胸にはモーグリが残っていた。その様子は、どこか怯えたようにも見える。原因と思われる二人へ説明を求めようとしたところで、隣の勇者がひょいとモーグリを抱き上げた、というより、取り上げた。
どことなく雑に見える手付きが不思議で、二人へ向けるはずだった視線を勇者へ向けるも、そこにあるのは常以上に見える無表情で。更に見せられるのが横顔では、その思うところにも見当つかず、内心首を傾げる他ない。
一方で当のモーグリの方は特に気にしていない、というより、あの二人から逃げるのに必死で気にする余裕もない、といったところだろうか。
「君たちは、もしや別の世界にいたのか?」
「そうそう。リーダーと別れた後、スコールを探してる内に別の世界に入っちまってさー…そこも森だったから最初気付けなかったんだよ」
探し始めた時に、運悪くスコールのいる場所とは逆の方向に進んでしまったことで、気配を見失ったまま入り込んでしまった世界は、植物の種類や雰囲気から元の森とは別の世界だと分かったものの、境目が見付けられず戻ってくるのに一苦労したらしい。
「あの量のイミテーションと戦った後だったからさ、まぁオレたちもちょっと慌ててたっていうか…」
「でもリーダーが見付けてくれてたんなら大丈夫だったんだな」
スコールも結構危なっかしいし心配したんだぜ、と言うバッツに、お前に言われたくないと返せば二人に笑われた。どうやらずいぶんと身を案じてくれていたらしい二人に、憎まれ口を叩きつつも、ほんの少しだけ頬が熱くなる。共にいた時間が長い分、勇者にそうされるよりは慣れてきたものの、まだ照れくさいような気分にさせられてしまうのだ。
二人へ向ける感情と勇者へ向けるそれが違うことは自覚済みだが、嬉しいことには変わりないのだと、いい加減二人に対しても認めるべきだろう。落ちつきがあるとは到底言えない、そしてどう考えても調子に乗るだろう二人のこと、絶対に口に出してはやらないが。
そんな自分たちを目を細めて見ていた勇者が、ふとモーグリへ視線を移した。
「ところで、このモーグリは?」
「ああ、こんな森だから見通し悪いじゃん?だから空から見ようと思って!」
昨日再会した際、勇者からモーグリが捕まったと聞いたときに、なんとなく浮かんだ嫌な予感は当たってしまったらしい。びく、と勇者に抱えられたモーグリが体を跳ねさせる様子は、少々哀れだ。おそらくその小さな体にしがみついて一緒に浮かぼうとした…そんなところだろうか。冗談と考えるには、モーグリの様子が否定する。
「ボクは無理だって言ったクポ!」
「だからー何度も謝ったじゃんか!ほら、お詫びにアイテムも結構買ったし!」
「アイテム?」
単語を取り出して問えば、これこれ!とジタンが道具袋を取りだした。開いて見せてくれる中には、なるほど、見覚えのないアクセサリや素材が詰まっている。つまり、このモーグリは商人でもあったらしい。
袋が一杯に詰まっているところを見るとずいぶん買い込んだようだが、そんなに手持ちがあっただろうか、と怪訝に思ったところで、勇者の手の中のモーグリが恨めしそうに口を開いた。
「丸一日付き合わされたし…おまけに割引だの値引きだのってうるさかったクポ」
「……」
「ま、まぁまぁ細かいことはいいとして!」
あっははは!
二人分の笑い声に、哀れなモーグリ共々脱力してしまったのは言うまでもなく。思わず額に手をやってしまったところで、隣の勇者を見上げれば、呆れたようでありながら僅かに口の端が上がっているように見えて、小さく心臓が跳ねた。
慌てて視線を外して無意識に両手で宝石を握りしめたところで、ふとモーグリが声を上げた。
「あ、そのムーンストーン!」
「?」
勇者の手から解放されたモーグリがふわふわと前にやってきて、宝石をまじまじと見つめてくる。よく見せて欲しい、という言外の要求を悟って差し出せば、細い…というより線にも見える目で検分し始めた。イミテーションを倒した後に、素材になる宝石を拾ったことは今までにも数回あったが、それらと何が違うのかは、疎い自分にはよく分からない。それは勇者も同じようで、モーグリの様子を不思議そうに見つめている。一方で、なになに、と覗き込んできたバッツとジタンは、おおっと感嘆してみせた。
「拾ったのか?すげーな、それかなりイイモンだろ!」
「うん、ボクもこんなに透明度が高いのは初めて見たクポ」
「ムーンストーンってもっと白っぽかったもんな」
商人であるモーグリはもちろん、旅人として様々なものを知見してきたバッツ、盗賊であるジタンも同様に、宝石の価値を正しく認識出来るらしい。この部分がああでこうで、この色がどうのこうの、そんな会話もいまいち理解出来ない。勇者に至っては、異国語を聞いているかのような表情をしている。
勇者と唖然とした顔を見合わせていると、宝石談義を終えたらしい二人と一匹は顔を上げた。モーグリの表情はよく分からないが、二人の顔が輝いているのが気になって仕方がない。
「なぁなぁ!スコール!」
少々警戒しながら首を傾げると、バッツが宝石を指差してとんでもないことを言った。なぜか分からないが、その言葉は確かに"とんでもない"と思えた。
「この宝石、すっげー高く売れるって!」
「…え?」
売る?何を?
簡潔な言葉が宝石談義以上に理解出来なくて、思わず聞き返せば、続いてジタンとモーグリが説明を付け加えた。
ムーンストーンの中でも特に良い部類に入る種類で、素材にしても素直に装飾品にしても相当な価値の出る代物ということ。今までの宝石と同様に、そのままでは効果はほとんど得られないこと。装飾品は要らない世界なので、つまり、素材にしてしまうのが良い、という見解。
「なんかいい武器出来る?髪飾りとかでもいいな!」
「ばっか、スコールが見付けたもんなんだからスコールが装備できなきゃ意味無いだろ!」
「あ、そっか。それじゃどんなのにしてもらうんだ?」
そう無邪気にバッツが聞いてくるのを無視して、手は勝手にモーグリから宝石を取り返していた。ジタンとモーグリの説明も頭に入っていない、ただこの宝石が無くなるのが、許せなくて。
バッツとジタンが目を丸くして見つめてくるのが、どこか気まずくて、視線を宝石へと落とす。何と言ったらいいのか、唇を数回開閉してから、ちらりと勇者を見遣れば、彼はまっすぐ自分へ目を向けていた。
彼が覗いた、水面を映した、彩を重ねた、あの時の証明、あかし。それを、手放す?そんなこと、出来るはずがない。
もう一度宝石を見つめてから、決意して口を開いた。
「売らない、このままでいい」
「えっ?」
バッツとジタンが更に驚いた顔を見合わせる前で、モーグリはそう?と首を傾げてくる。しばらく二人はいいのか?やらもったいないやら、スコールがそう言うなんて意外だやら、色々と言い募ってきたが、こちらの意思が変わらないのを悟ると、肩を竦めて苦笑した。曰く、スコールが見付けたものだからスコールの好きにすればいい、とのことで、わがままとも言えそうな、理性的ではないだろう判断に思ったよりはあっさり頷いてくれたことに密かに安堵し、感謝する。
途端に自分が子供じみたことを言ってしまったような気がして、勇者からどう見えていたのかが気になったところで。
「良かったな、スコール」
ぽふ、と頭に置かれたというには優しい手付きで触れられて、弾かれたように見上げた先で、あまりに綺麗な微笑を見せられてしまったものだから。それが、どこか嬉しそうに見えてしまったものだから。
バッツとジタンと、ついでにモーグリもいる前で何してくれるんだ!と。文句付けることで自失しなかっただけマシか、それでも頬に熱が集まるのを、どうしても止められなかった。
「…ふうん。あのさ、ムーンストーンの宝石言葉って知ってるか?」
顎に手を当てたジタンに唐突に問われて、我ながら間抜けな顔で返してしまってから、質問の内容を理解して慌てて首を振った。妙な笑みを浮かべている表情が気になるが、この際気にしてはいられない、というか、気にしたら墓穴を掘ってしまうだけのような気がする。
隣の勇者はもちろん知るはずもなく、バッツもそこまでは知らなかったようで、ジタンが答えを口にするのを待っている。モーグリはジタンの表情に不穏なものを感じたようで、知っているのか知らないのか、どちらにせよ口出しする気はないらしい。
寄ってきたジタンに覗き込まれて、思わず後ずさりそうになるのを、すんでのところで耐える。
「こいつの宝石言葉は、」
―――"純粋な恋"。
…ジタンの言葉を反芻し、この場から逃げ出す言い訳を考えることも出来ず、結局テントの中に逃げ込んでしまうまで、あと十数秒。思わず勇者のマントをそれと認識しないまま頭から被ってしまって、ジタンを苦笑させてしまうのは、その更に数十秒後だった。
勇者とバッツはよく分からないような顔をしていたらしいが、それはまた別の話。
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やっと終わったー
ひとつ不安なのは、普通のムーンストーンは『純粋な恋』と『恋の予感』なんですが、ロイヤルブルームーンストーンみたいな特殊なやつはまさか違ってたりするのかな…ということ
もしそうだったとしても自分の勉強不足ということで多めに見てくださると嬉しいで…す…げふ
妙に長くなってしまいましたが、ここまでお付き合い下さった方ありがとございましたー!
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・個人が運営するDFF/DdFF中心非公式ファンブログ
・■e社等公式とは一切関係ありません
・学内PC等の公共PCからのアクセスはご遠慮ください
・女性向け/腐向け/BL等といった単語が理解できない/苦手な方はバックプリーズ
・キャラ崩壊や捏造が多分に含まれています
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