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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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更新が振るわないのはネタがイベントで出す本用に向いて考えてしまうからです…ううむ
あと描き慣れてない漫画 コマ割だけでずいぶん時間を取られてしまいます
こればっかりは仕方ないが( ´_`)

というわけで久方ぶりのSSS-ウォルスコー
どうも眠いらしいですよ自分









「スコール、遅いっスよー!」

目を覚まして、すぐ目に入ってきたのはテントの隙間から入ってくる光。朝の光というには眩しすぎやしないか、と疑問に思いつつテントからもそもそと這い出れば、明るいティーダの声が飛んできて。寝起きながらその言葉を頭に入れたところで、スコールは少し目を丸くした。まさか、寝坊常習犯であるティーダに“遅い”と言われるとは。
しかしよくよく見てみれば、すべてのテントは既に幕を上げられていて、自分以外の仲間たちは皆目覚めていることを知る。つまり本日の一番の遅起きは自分だったというわけで、いつも目覚めるのは早い方なものだから、失態を犯したような妙な気恥かしさを覚えてしまう。
もうすぐ朝食だというオニオンとティナに従い、炎を囲う仲間たちの輪の中に入れば、自然と話題は珍しく寝坊をしてきたスコールへと向く。

「どしたー?夜更かしでもしたのか?」
「…してない。というか、あんたたちより先に寝たぞ」

それもそうだったな、と笑うのはバッツとジタンで、昨夜スコールとテントを同じくしていた二人は、スコールがそのテントの中では一番早く眠ったのを知っている。だからこそ、スコール自身この寝坊には納得がいかないのだが。

「まぁ、スコールはいつも早いからね」

そうセシルが微笑み、それに同意するフリオニールたちを見る限り、毎朝最後に起き出してはどつかれているティーダに比べて、今朝のスコールの寝坊はずいぶん許容してもらえているようだ。
「なんでスコールには優しいんだよ!」というティーダの文句も、クラウドの「普段を考えれば当然だろう」の言葉に引っ込んだ。
結局、スコールはからかわれたり珍しがられたりはしたものの、責められるようなことはなかったというのに、僅かな罪悪感をくすぶらせたままだった。

「スコール」

食事を終えてから、黙々と皿洗いをしている隣にやってきたのは勇者で、呼ばれた名前にちらりと視線を遣れば、ぽんと頭に手を置かれた。

「それが終わったら、少し付き合ってはくれないだろうか」
「え?」

思わず顔まで向けて、ぱちぱちと瞬く。勇者が自主的に課している見回りについていくことは多いが、ほとんど二人の(実は他の仲間内でも通っている)暗黙の了解のようになっていて、逆にそんな風に誘われたことがなかったのだ。
皿洗いを手伝うこともなく勇者は離れていってしまったが、もう少しで終わるのでそれは問題ない。それよりも、勇者に誘われたという事実に対する驚愕のせいで、スコールはぽかんとしながら勇者を見送ったのだった。



「ウォル…」
「では、行こうか」

我に帰ってから慌てて残りの皿洗いを終わらせ、これまた慌てて身支度を整えてやってきたスコールを出迎えた勇者は、一つ頷いてからさっさと歩きだしてしまった。その背中をまた慌てて追いかけながら、なぜこうも慌てる必要があるのかとスコールはふと思ったが、理由を考えるのは止めておくことにする。なんだか、下手すれば赤くなってしまいそうな、嫌な予感がしたのだ。

「遠いのか?」
「さほどは」
「…ティーダたちが、遊んでいそうだ」
「それはない。彼らは昨日見付けた湖の方へ向かうのだと、セシルが言っていた」

セシルという情報源を聞いて、普通に信じ込んでいるのを変だとは思わない。これが彼と同じ年のバッツとかであれば、真っ先に疑っていただろうが。
そしてこれから向かう先には、他の仲間たちはいないのだということに気付いて安心している自分に、スコールは恥ずかしさを覚えて言葉を詰まらせてしまう。高くなってきた陽が眩しいからと、そんな理由で俯いてしまえるのは好都合か。
木々の影を被りながら十数分、やがて小高い崖へと出ていた。崖下に広がるのは森の海で、それは遠く遠く、霞むほど先まで続いていて、振り返りさえしなければまるで今の場所だけが切り取られて、ここに落とされたかのような錯覚に陥りそうになる。一瞬呆然としたスコールの目に高くなった陽の光が射して、驚いたように肩を跳ねさせて瞼を閉じれば、おかしげに小さく微笑った勇者に腕を引かれた。

「こちらに、スコール」

ちかちかする目を庇いながら、ゆっくり引かれる方へと足を進めればそこは木の影で、暗くなった視界にほっと息を吐く。明度の変化に慣れさせるように瞬きを繰り返していると、隣の勇者が木を背に座り込んだので、スコールもそれにならって腰を下ろした。

「ここ、どうしたんだ?」
「昨日見回りしている時にな、偶然見付けたのだ」
「よくバッツたちに見付からなかったな…」

でなければこの場所は今頃遊び場か、そうではなくとも誰かしら訪れていそうなものなのに。時折強すぎない程度の風が木立に吹きこんできて、影で眩しい日光さえ遮ってしまえば、心地良い場所だったのだ。
ふわりと髪に触れてきた指先に向けば、普段は兜の中にしまいこまれている水の色の髪が、隙間から刺す日を受けて淡く光るのに目を奪われる。勇者がこんな場所で兜を外すなんて珍しい、そうとでも思わないと呆けてしまいそうだ。

「あると言わなかったからな」
「……」

言わなかった理由は期待したいような、それでも聞いてしまうのが恥ずかしいような。結局聞かないことにして視線を戻すも、その目許がほんのり朱くなっているのは、スコール自身だけが気付かない事実。
知らず籠った緊張を解すように完全に木の幹にもたれて、自然なようで不思議な森を望めば遠くに山も何もなく。一面深緑なものだから、比喩でもなく本当にその色をした海かと思ってしまいそうだ。
しばらく空と入り混じる景色を眺めていると、スコールの上に更に影が被った。微かなまどろみを振り払って見上げれば、その影は勇者のものだとすぐ分かる。

「眩しくはないか?」
「別に…って…」

覆い被されるような体勢に、「眩しいのはあんただ」なんて軽口も叩けず、せっかく解いたばかりの緊張で体が硬くなる。それをごまかすように視線を逸らしたところで、そっと掛けられたのは勇者のマントだった。何だよ、と再び見上げれば頬に大きな手のひらが触れてきて、親指に眦をなぞられた。

「…普段、あまり眠れていないのだろう」
「え?」
「眠りが浅く、時間も短い」

そう勇者に指摘されて、そういえばそうかもしれないな、と自分のことながらぼんやり思う。確かに、いざ眠るという時に毛布を被っても寝つけず、しばらくは瞼を閉じているだけというのも少なくはない。それでも、よほど疲れでもしていないと何かあれば深夜でも目覚めてしまうし、起床時間にはやはりきっちり目覚めてしまうから、これまでも早起きという位置づけのままだった。
スコール自身こうして自覚も納得も出来るものの、それが勇者にばれてしまっているのは予想外だった。見上げる先の勇者が、気遣うような表情を浮かべているのもそれが理由だと思うと、いつもの口癖で切り捨てることも出来ない。かといって、習慣のような体質のようなものはどうしようもなく。

「君の起床が遅かったのも、それが原因だろう?だから、ここで休んでいくといい」

そんな表情付きでそう言われてしまっては、反抗する気も起きそうにない。渋々という風を装って頷けば、勇者はさも安心したように目を細めてくれるのだから、それを間近で見せられたスコールは赤くなった頬を隠すように俯く他なかった。どうせ、グローブ越しの手のひらに伝わってしまっているのだろうが。
頬の手が前髪をかき上げて、露わにされた額に軽く口付けてくれるのに、ひどく安堵する。今朝は寝坊するほど眠ったというのに、いつの間にか瞼が重くなっているのは、どこまでも広がる崖下の森よりも不思議だった。

「おやすみ」

眠るとも限らないのに、と就寝の挨拶に反抗を向けるには睡魔は重すぎた。だから、スコールは再び隣に座った勇者の肩にもたれることで、返事の代わりにすることにした。









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二人がいる場所は5910とか36あたりに教えてないってだけで、他の247(つまり出張亀しない大人組)にはちゃんと教えてます


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