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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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思い付きSSS
相変わらずのばかっぽーですよ






撫でても、ぴょこん。押さえ付けても、もさっ。
顔を洗う際に一緒に水で濡らしたりしたものの、結構強情らしい寝癖はなかなか取れてくれず、いい加減苛々しながらスコールはひたすら自身の髪を撫でつけていた。

「スコール」

鎧を纏い、兜のみを外した勇者がこちらへ寄ってきたと思えば、小さく首を傾げた。というのも、勇者とは既に朝の挨拶を交わしており、今までそれぞれの準備のために分かれていたのだ。その時にもいつもと勝手の違う自分の髪を弄っていたスコールが、今になっても弄り続けていれば、勇者にとっても不思議というものである。

「寝癖は、まだ取れないか」
「…いつもはこうじゃないのに」

若干不貞腐れたようなスコールの言葉に、勇者は普段のさらさらした手触りを思い出して、そして寝癖がここまで残るのは珍しいことであるのをすぐに悟る。変わらず寝癖と格闘するスコールに小さく苦笑しながら、寝癖直しのほんの手伝いと、不機嫌さを増していくのを宥めるつもりで、勇者はスコールのそこかしこに跳ねた髪を撫でた。
スコールとて、別段格好に気を遣っている訳でもない。いくら髪が跳ねてようが、戦闘にはなんの支障もない。ただ寝癖で浮いた髪が、動く度にふよふよと宙を泳ぐのが常には無い感覚で、とにかく気になって仕方がないだけなのだ。
それを分かってさえいれば、勇者にはスコールを叱る理由もなく。ひたすら自分の髪と格闘する様子が微笑ましく、撫でれば手を止めて気持ちよさそうに目を細めてくれるのを愛しく思うばかり。
スコールの方はといえばそんな仕草も無意識らしく、一方の意識のある部分で照れを感じているのか、手を毛先に置いたまま軽く俯いてしまうのだが。

「放っておけば直るんだろうけどな」

スコールは視線をわずかに泳がせつつ、呟いては溜め息を吐く。それまでこの違和感に付き纏われると思うと、なんとなく気分が重い。
いっそバッツあたりにフラッドでもかけられれば、と一瞬思い立ったもののすぐに撤回する。バッツのことだから調子に乗って容赦なくびしょ濡れにされるだろうし、風邪をひいたら洒落にならず、それこそ勇者様のお叱りを受けてしまうに違いない。

「…というか、いつまで触ってるんだよ」

髪といえば未だ触られっぱなしなのに気付いて上目に見上げれば、今気付きましたとでも言うような勇者の表情があった。そんなだから、照れくささに文句付けるより先に戸惑ってしまって。勇者の手が固まって、ぱちりと薄氷がひとつ瞬くのを、スコールは不思議そうに見つめる。
こちらとしては訝しむばかりだが、勇者の方はすぐに理由が分かったらしい。勇者にしては至極珍しい呆けたような表情も引っ込み、先程までの柔らかなそれに戻ると、ゆっくりと髪を梳く動きが再開した。

「いや、珍しくてな」
「寝癖がか」

確かに寝癖が付きにくい髪質ではあるから、珍しいからという勇者の理由はスコールにとっても納得のいくものだった。自分にとっては邪魔なだけの違和感も、勇者にとっては楽しめるものなのかもしれない。
そう思い至った途端、それまでの不愉快さが鳴りを潜めたのを現金だと自嘲するには、スコールには自覚が足りなかった。なにより自覚する前に、勇者の言葉が遮ってしまったから。

「正しくは“起きている時の君の寝癖”、だろうか」
「なんだ、そ…」

勇者の言葉を反芻して、意味をきちんと理解しようとして。
起きている時とは、覚醒している時のことだろうか。その時の寝癖が珍しいというのなら、そうじゃない時の寝癖は?珍しく、ない?
勇者は仲間たちの中でも一番に起床するが、二人で共に眠った翌朝は少しだけ長く毛布の中にいることが多い、と密かにスコールは勘付いている。断定できないのは、スコールがしっかりと目を覚ます頃には毛布を抜け出てしまっているからで、それでも推測するまでに至ったのは、寝起きの半覚醒状態ながらも近い体温を感じていたからに他ならない。
この勇者のこと、不安なことなど何もあるまい、と熟睡や半覚醒している無防備な状態でも平気でいられるだけの信頼で以て、今まで尋ねたことはなかったが。

「…そういえばあんた、俺が寝てる時とか何してるんだ?」
「眠っているが」
「じゃなくて!」

この天然が!と吐き捨てたくなるのを我慢して、心の中だけで毒づいた。以前、勇者に“天然とはなんだ”と訊かれてしまったことを思い出したので。

「冗談だ、半分ほど」
「半分…?」

あんたが冗談だなんて、それこそ冗談じゃないのか?とずいぶん失礼なことを考えながら、スコールはほんの少しだけ歪んだ勇者の口元を見ながら気になる部分を問い返す。
髪に触れていた手を止めて、軽く肩を竦めながら勇者が言う事には。

「眺めている、触れている。だから、君の寝癖も知っている。たとえば…この辺りは大抵外側に跳ねているな」

薄氷の目に不思議な色を浮かべた勇者の手が、外側に跳ねたひと房を摘んだ。この辺りは浮いて、この辺りは内側に巻かれる。そんなことを言いながら次々と寝癖に触れていく勇者の言葉を、スコールはどこか呆然とした心地で聞いていた。
目覚めてからスコールが起きるまでの短い時間と、そしてスコールが目覚めたばかりの短い時間を、愛おしむことに使っている内に、覚えてしまったのだと。
一応なんとなくの予測はしていたのだが、まさか寝癖を覚えられてしまっていたなど分かるはずもなく。その上、こうもはっきり告白されてしまうとそれがひどく恥ずかしくてどうしようもないことに、スコールは気付かされてしまう。更に言ってしまえば、勇者が自白したことは起きている時にされていることと何ら変わらない訳で。

「……恥ずかしいやつ」

ぼそりと、そんな勇者への文句を口にすることしか、今のスコールには出来ない。なのに、言われた勇者は戯れるように、あるいは愛おしそうに寝癖に触れてくるのだ。

「…今度からは、俺が先に起きるんだからな」
「そうか」
「そしたら、あんたの顔とか髪とか弄くり回してやる」

それは楽しみだ、と本当に楽しげな笑み付きで言われてしまっては、大人げない宣言をしてしまったことも忘れて見惚れてしまいそうになる。自失せずに済んだのは、ふと吹いた風に寝癖で跳ねた髪が揺れ、今や苛まれることのない違和感を再び得ることになったから。
それに内心感謝しつつ、スコールは勇者の髪に手を遣ると、ぐしゃぐしゃに掻きまわしてやった。









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ただの寝癖話のはずがどうしてこうなった いやまぁウォルスコだからこうなったんですが
寝顔ガン見してましたとか、そんなこと言わせるつもりは…いや今言わなくてもいつか言ってたか うちのウォルさんなら言うな


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