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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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そんな思い付きSSS しかしまたひどい時間に起きたもんだ

ここしばらく忙しいので今まで以上の落書き+殴り書きブログと相成るかもしれません…申し訳ない
CPU3つ積んでるパソ子でもかっくかくってやばいと思うんです先生









太陽が沈みかけるその時、空は大地は赤く染め上げられる。
けして珍しいものでもなかったはずのそれは、理をかき乱されたようなつぎはぎの世界では、ひどく貴重だった。沈むというのに真っ直ぐに伸ばしてくる光に雲は影を帯びて黒く、目に痛くすらある色彩も、ただ美しい。

聖域へ向かう夕染めの道を、スコールと勇者はふたりで歩いていた。見事な夕焼けに感傷を落としてからというもの、口数を減らして夕焼けに背を向け、地面にふたつの長い影を作っていた。
ふとスコールの影が伸びた。少し足を速めて、勇者よりも前に出ただけで、スコールの影は勇者より頭一つ分高くなる。さすがに角までは、抜かせないが。
並んでいたのに距離を離され、そして影の自分の背を越されてしまった勇者は一瞬だけ不思議そうな顔をしてから、スコールが地面を向いていることに気付くと倣って影へ目を向けた。その先で、ふたつの影は身長の高低を逆にして並んでいる。
スコールが足を進める速さを元通りにした辺り、これ以上離す気はないらしい、が。

影の自分たちの頭が並んだのに気付き、スコールが顔を上げて隣を見れば、追い抜いたはずの勇者が素知らぬ顔で追いついてきていた。さきほどのスコールのように足を速めたらしい、そうして隣に並ばれてしまえば、影の高低も元通りになってしまった。
少しだけ眉をしかめてスコールがもう一度距離を開ければ、勇者も同様にして追いかけてくる。抜いたり抜かれたり、影は忙しなくふたりの身長を変えていく。

しばらく無言のまま半ば意地になって足を動かしていた内に、いたちごっこか、あるいは競歩でもやっているような気になってきて、それに気付くと同時にスコールの頬が夕染めとは別の朱をわずかに浮かべた。
一体自分はなにをしていたのか。勇者もなぜいちいち真面目に追いかけてくるのか。足を速めた理由が、自分に似つかわしくない童心からのことだったことを思い出せば、自己嫌悪すら得てしまいそうになる。
そう考えている内に、スコールが足を進める速度を一般的に歩行と呼ばれるだろう程度まで緩めれば、勇者も速度を落としてきた。位置としては、未だ影のスコールの頭が勇者のものより少し高くいられるほどの距離。
自棄から冷めれば、今の位置取りよりも妙な追いかけっこをする前のふたり並んでいた時の方が普通で、それを思えば不思議な勇者との距離感に、やっとスコールは勇者の方を向いた。
と、腕が引かれて次に得たのは、鎧の硬い感触。
一瞬で距離を詰めた勇者に、スコールは抱き寄せられていた。

「ウォルっ?」

驚きに目を見開きながらスコールが顔を上げた先で、勇者はくすりと微笑った。突然の行動の説明はしてくれないまま、ほら、と勇者の指が影を指し示す。その先をスコールが見遣れば、ふたつあった影はひとつになっていた。すっかり重なってしまっていて、今では勇者の兜の角飾りが長いということくらいしか分からない。

「これでは駄目か?」

慌てたようにスコールがもう一度顔を上げても、そう笑みながら勇者に問われてしまう始末。
どうしていきなり歩く速度を上げたのか勇者にばれてしまっていたこと、そして勇者の行動の理由を理解すれば、スコールには絶句して頬に更なる熱を昇らせる他ない。思わず視線から逃げるように顔を俯かせてしまっても、そんな反応すら勇者に微笑ましく思わせるばかりなのにスコールは気付かない。
駄目か、の問いに肯定が返ってくるとは、勇者は当然のように思っていなかった。くしゃり、と赤味を増した暗褐色の髪を一度だけ撫ぜてから勇者が歩くのを再開するのと、肩に置かれた手に軽く押されるのに合わせて、スコールは何も返せないまま勇者と同じように歩き始めた。

結局、仲間たちのいる聖域が近くなるまで肩の手もふたりの距離も変わらないままで、夕暮れも短いものだったが、ふたりの身長差も分からないほど重なってしまった影が妙に嬉しくて、最後までスコールが抵抗することはなかった。
それどころか、スコールの手が背に回って薄黄の外套をそっと掴んでいたことに、勇者が気付くこともなかったのだった。









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影でなら身長追い抜いた!みたいなことやってたらかわいい
でも追いかけっこするふたりは考えてみるとえらいシュールだな

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