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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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久しぶりになったSSSじゃなくてSS
お菓子作りという名のいちゃつきです いつものことです、いつものことなんです

※パロなので呼び名はライト
※ナチュラルに同棲中
※ライトさん甘いもの好き設定

ちなみに26日設定 あと自分はお菓子作れません つまりは察してくださいナニトゾ









かちゃかちゃとボウルが鳴るたび、その中で卵白が泡立ち膨らんでいく。泡立て器を片手にメレンゲを作るスコールの手付きを、ライトは手品でも見ているかのような目で眺めていた。

「こんなものか。じゃあ砂糖を…って、これ、砂糖じゃない! 塩だ!」
「…本当だ。よく分かるものだな」
「グラニュー糖じゃない、普通の砂糖だからな。ちょっと硬く見える…いや、そうじゃなくて」

塩と砂糖を間違えるとか、どこの漫画だよ。
そう呆れ口調で言われ、口元をわずかに引き攣らせながら珍しく視線を泳がせたライトに、スコールは溜め息を吐いてから、こっそり苦笑した。この男、洗濯掃除はしっかりこなすというのに、炊事だけはてんで駄目なのだから不思議である。
二人して色違いなだけでデザインの揃ったエプロンを着け、台所に並んでいるのは以前より約束していたクリスマスケーキ作りのため。実際にはバッツ宅のパーティに呼ばれていたおかげでクリスマスを過ぎてしまっていたのだが、もとよりイベント事に疎い二人の事、その辺りに頓着する様子はなかった。

「もし分からなくても舐めてみるとか、確かめる方法はあるだろ?」
「…そう、だったな」

失態を犯してしまったと口元を隠す様子と、目許の薄い赤らみを認めて、ついスコールまで気恥ずかしくなってしまう。ライトが学校の先輩から押し付けられた細いリボンで髪を結んでいるのを、見慣れていないせいも含めて、可愛らしいとまで思ってしまったとは、認めたくないが。
改めて砂糖を持ってきて、照れ隠しを兼ねてひたすらかき混ぜる。ある程度混ぜ終えた頃、卵黄をスコールに手渡したライトがふと口を開いた。

「他に何か手伝えることはあるだろうか」
「何か……そうだな。生クリーム、作っておくか?」

卵黄をボウルに入れて再びかき混ぜながらスコールがそう聞いたところで、ライトが口籠る。

「私は、構わないが…」
「ああ、いや…うん、作る。作っておこう」

いつ作ればいいかなんて、料理に疎いライトに分かるはずがなかったのだ。それこそ何と答えればいいのか分からない、と言わんばかりのライトの返答に、スコールは謝罪も込めてボウルに落としていた視線をライトへと向けた。

「生クリームは前作ったよな。俺がこっちやってる間、あんた作っておいてくれないか?」
「了解した」

軽く覗き込むようにして頼めば、どこかほっとしたように目を合わせて頷いてくれるのに、スコールは小さく噴き出してしまう。返答が生真面目すぎて、七歳も上のはずのライトが、まるで自分の生徒のようだと思えてしまって。料理をする自分の手付きを、尊敬にも似た眼差しで見てくるのを知っているだけに、その想像は思った以上に違和感がない。
くすくすと笑い声を上げるスコールに、ライトは少しの驚きと何がおかしいのかという疑問に目を丸くするはずが、珍しく苦味を含まないスコールの笑顔に呆けたように見惚れてしまう。我に返ってから誤魔化すようにボウルをもう一つ取り出したものの、そのどこか慌てたような様子に、今度はスコールが不思議そうに首を傾げた。


スコールが生地を流し入れた型をオーブンに入れて一息ついたところで、生クリームと格闘していたライトから声がかかった。泡立て器をひたすら回していた腕に疲れが見えないあたりさすがライトだと、妙な感心を感じながらスコールが寄れば、冷たいボウルを手渡された。

「これくらいでいいだろうか」

くるくると泡立て器を軽く回しながら感触を確かめているらしいスコールに、ほんの少し不安を滲ませた声が降ってくる。こうも自信のなさそうなライトなんて、そう見られるものでもないな。そんなことを思いながら、顔を上げたスコールは頷いてみせた。

「…こんなものだと思う。砂糖は入れたんだろ?」
「ああ」

顔を見たらまた笑ってしまいそうだ、と思いながらも既に頬を綻ばせているその表情が、ライトを安堵させているとはつゆ知らず。ふと思い立ったように、スコールは生クリームのついた泡立て器を持ち上げた。不思議そうに見遣ってくるライトの前に、泡立て器の生クリームが付いた部分を差し出す。

「舐めてみたらどうだ。甘さも分からないしな」

ライトは意外な甘いもの好きではあったが、その程度はスコールにとって甘すぎるという程でもなかった。スコールがライトに付き合って、甘いものを食すことが出来るのはそのおかげであり、この生クリームがライトの口に合うなら、スコールの口にも十分合う甘さであるということなのだ。
ライトは少し考えるそぶりを見せながらも、結局スコールの言葉に甘えることにしたらしい。白い生クリームが指先で掬われ口へ運ばれるのを、スコールはじっと見つめながら待つ。生クリームを舌で溶かしきって、ライトは僅かに首を傾げた。

「少し、甘さが足りないかもしれない。量が足るなら、君も舐めてみるか」
「そうか…そうだな」

こくりと頷き、スコールが生クリームを掬おうとしたところで、ライトの指に遮られる。ライトの指に掬われた生クリームを口元に差し出され、一度瞬いてからぱくりと指ごと生クリームを口に含んだ。
唇はすぐに離し、残った生クリームを舌先で転がせば独特の甘味が咥内に広がる。それでも溶かしきってから残ったのは物足りなさで、結局スコールも先程のライトと同じように首を傾げた。

「確かに、これだけならもう少し甘くてもいいかもな。でも、砂糖菓子とか苺とかも乗せるからむしろこれくらいの方が…?」

思案しつつ話していたスコールが、不意に言葉を途切れさせる。ライトはスコールの前に掲げた指先すらそのままで、固まっていたのだ。

「ライト?」
「…いや…」

名前を呼ばれたことで石化から戻ったライトは、頬を塩と砂糖を間違えた時よりも濃い朱に染めた。やっと引っ込めた指先とスコールを見比べるかのような薄氷の視線は、何かを訴えているようにも見える。
一体何なのか、とスコールは訝しげに眉を潜め、自分が何かしたかと最近の記憶を掘り返し―――真っ赤になった。
生クリームを差し出したのはライトの指で、自分はそれを舐め取ったのだ。それも、ごく自然に。

「君のことだから、すぐに突き返されるだろうと思ったのだが…まさか、素直に舐めるとは思わなかった」

耳まで赤くしながら絶句するスコールに却って落ちついたのか、ライトが先程の冗談を告白するが、付け加えられた言葉は驚愕を伝えてくる。相変わらずの率直な言葉で余計な羞恥に俯いてしまうスコールも、自分に対して同じ理由で驚いてしまった訳だが。
そんなスコールを見かねてか、先に冷静さを取り戻したライトが舐められていない方の手で、宥めるように暗褐色の頭を軽く撫でた。

「砂糖は、要らないんだな。冷蔵庫に入れておこう」
「…ああ」

ひょいと取られたボウルが、ライトによって冷蔵庫に入れられるのを最後まで見送ることなく、スコールはオーブンへと目を向けた。タイマーはあと数分、ガラス越しに見えるスポンジは膨らんでいる。
調理が予定通りに進んでいることに安堵し、それでどうにか落ちつこうとしても、ガラスにオーブンの中を覗き込むライトの顔が映っただけで、スコールの心臓は簡単に跳ねてしまう。スコール、と呼びかけられて、仕出かしたのは自分だと言うのに思わずライトを睨みつけてしまってから、はっとして顔を背けても、ライトに小さく苦笑させるだけだった。

「ほら、拗ねない。…私もずいぶん心臓に悪い思いをさせてもらったのだから」

お相子だろう、と冷たい指に熱い頬を冷やされながら耳元で囁かれて、思わず体を震わせるも、スコールは皺の寄った眉根を解かなかった。今の状態を拗ねていると称されたことより、その"心臓に悪い思い"を未だにさせられているのが自分だけということが、気に食わないのだ。
ぐるりと振り返って見た、ライトの目許の赤味がすっかり薄くなってしまっているのが、また無性に悔しい。白い頬を再び染めてやりたくて、ライトのエプロンの肩口を引っ張りながらスコールはぐいと顔を近付けた。

「そう言ったって、結局俺ばかりだ」
「なに…」

聞き返そうとした唇を、生クリームを舐め取った時のように舐め上げてやれば、飲み込まれる言葉。一拍開けてからライトが目許に朱を引いたのに、思った以上に満足したせいか、言葉のないままライトに腰を抱き寄せられても慌てることはなかった。
ライトのエプロンを引っ張っていたスコールの手は掴むのみになり、顔にかかる前髪が大きな手にそっとかき上げられ、薄氷と海色の視線が交わった時。

ピー ピー ピー

突然の機械音に二人して肩を跳ね上げて、出所であるオーブンを凝視する。タイマーは0,00を示しており、気付けば辺りにはスポンジの焼けた匂いも漂っている。
しばらく無言のまま呆然としたようにオーブンを眺めた後、ふと顔を見合わせたところで、二人は同時に噴き出していた。









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オーブン「はよケーキ作らんかい」


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