DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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ぎゅ、と薄黄のマントを掴む。先を歩いていた彼がつんのめってから、振り返った。
「どうした」
「別に。いいから、進んでろ」
そう返せば、不思議そうな表情を残しながらも勇者は再び前を向いた。マントは掴んだまま、彼の歩く速度よりも少しだけ遅く足を運ぶ。そうすれば、マントはぴんと張って、先を行く彼を引きとめる。
もう一度、今度ははじめから訝しげな顔で彼が振り返った。
「どうしたのだ、スコール」
「別に」
「しかし、」
「理由がなければ、触っちゃいけないのか?」
それは、と口籠る勇者にくすりと笑ってみせれば、わずかに眉根を寄せた彼の表情が目に入る。
体ごと振り向き、マントを掴む腕を捕まえようとする彼の手から、ぐるりと背に回るように逃げる。それを数回繰り返してから、やがて勇者は諦めたのか、己のマントに軽く触れながら溜め息混じりに口を開いた。
「君ばかりずるいとは、思わないのか」
彼の言葉に笑みが引っ込んで、ぱちりと瞬く。
少しの間を空けてから、首を傾げるように無表情の相貌を覗き込んだ。
「俺ばかりずるいって、思ってくれるのか」
「思ってはいけないのか?」
「まさか。……あんたがそういう風に思ってくれるのを、嬉しいんだと言ったら、怒るか?」
彼の表情から訝しむ色がなくなり、すぐに「まさか」とオウム返しのように同じ言葉が返ってきた。
「それだけのことを、君は嬉しく思ってくれるのだな」
目をすがめながらの言葉には何も返さず、マントを伝うようにして、彼の方へと近付いていく。
やっと触れられるとばかりにか、ぴくりと動いた勇者の逞しい腕を、今だけはそっと押さえ付ける。それが不興をこうむったのか、不満そうな色を薄氷の目に浮かべながらも、律儀に止まってくれるのにまた笑ってしまいそうになりながら、背伸びをして引き結ばれた唇に口付けた。
少し困らせたかっただけなのだという、意地悪な本音は隠したまま。
「―――なぁ、あれってさ、」
「どう見てもいちゃついてるだけです、本当にありがとうございました」
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最後は5と9あたり
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