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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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更新強化ということで早速のSSS
CPなり立てのウォルスコ 勇者がすこし意地悪い





 夕闇が過ぎようとする頃、ひとつのテントの中で、スコールは気まずい空気というものを味わっていた。
 テントの中ではスコールが勇者の手当を受けているのだが、気まずい空気の原因はこの二人の間にある。そして、スコールにはまさに自分に原因の心当たりがあった。
 それは、探索から戻ってきたときのこと。ベースに帰還したスコールから足をくじいたと聞かされるや否や、勇者はさっさとその体を抱き上げたのだ。一瞬は呆けたスコールだが、横抱きされたと気付けば黙っていられるはずもなく、下ろすようにと訴えて暴れた。その際に、勇者の頬をしたたかに殴ってしまったのだ。
 当然そのような意図はなかったのだが、叩いてしまったことには変わりない。はっとして謝罪を口にする前に、勇者はスコールを希望通りに下ろすと、見かねてやってきたバッツに預け、自身は先にテントへ入っていってしまったのだった。
 手当の用意をしてくれていたとはいえ、機嫌を損ねたのだろうかとスコールが危惧するには、勇者の態度は十分に思えた。いつも通りの無表情は欠片も色が変わっていないが、むしろだからこそ、不安になってしまって。
 それでさっさと謝ることができればよかったのだが、意地っ張りの気があるスコールのこと、結局ロクな会話もないままここまで引きずってしまったのだった。
(……確かに、方法としては間違っていない。でも、だって、バッツもオニオンもいたんだ。そんな前であんな風に抱き上げられたら、恥ずかしいだろ)
 足をくじいた者への負担を減らす意味では、勇者の判断は正解でもある。自分を思っての行動を、嬉しいと感じたことも嘘ではない。しかしそれが横抱きであった以上、あの場での羞恥は決しておかしくないはずだ、とスコールは自分に言い聞かせる。だから抵抗もやむなし……とはいえ、殴ってしまったのも確かで。
 余所へ泳がせていた視線を落とせば、足首に白い包帯が巻かれていくのが目に入る。無言のまま手当を始めた勇者に、気まずさのせいで拒否することができなかった。殴ってしまった頬が赤くなっていないか確認することも、未だできていない。
 自分を正当化したい気持ちと、勇者への罪悪感が入り混じり、スコールを逆に押し黙らせてしまう。しかしこのまま待っていても、勇者から口を開くことはないだろう。でなければ、包帯がきつくないか、痛くないか、あれこれと聞いてくるはずなのだ。想いを告げあってから、数日ほどしか経っていないのに、そう予想できるほど勇者を見ていたのに、どうしたらいいのか分からない。
 ぐるぐると考えているうちに、手当が終わったのか、勇者が道具を片付け始める。途端に、恐怖にも似たひどい不安がスコールを襲った。
――もう、触れてこないかもしれない。
 そう思い至ると同時に、立ち上がろうとした勇者の腕を掴んでいた。勇者の視線が落とされるのを感じるが、俯いているために、それが訝しむものか疎んでいるものなのか分からない。ただ、今はひたすら必死になっていて。
「違う、違うんだ」
「何が?」
「あんたに触られるのは、ああされるのも、嫌じゃないんだ。……あの時は、みんながいたから、恥ずかしかっただけで。だから、あれは、違うんだ」
 そう言い募るも、縋るように掴んでいた両手が勇者の手によって外されて、スコールはきちんと顔を上げられないまま唇を噛んだ。やはり駄目だったのかと、決められそうにない覚悟がちらつく。
 動くこともできず、一分にも満たない間をひたすら長く感じながらじっと待っていたが、いつまで経っても勇者が離れる様子はなく、両手も戻ってこない。気付けば、両手は勇者に取られたままで。
「――すまない、スコール」
 小さな謝罪が上から落ちてきて、スコールは思わず俯きっぱなしだった顔を上げた。そこでは、勇者が眸を細めて苦笑するような表情を浮かべていた。混乱する思考を抱えながらぱちぱちと瞬いていると、もう一度同じ謝罪が下りてきて、眉根を寄せる。
「……なんで、あんたが謝るんだ」
「少し、いじわるをしてしまった。どうやら、やりすぎてしまったようだな」
 勇者の片手が向けられ、手のひらが頬を、指が目じりを撫でた。まるで涙を拭うような仕草に、まさかと思うも視界は滲んでいない。それを確認してから、勇者の言葉を思い返し、結局呆気にとられて薄氷を見つめた。
 いじわる、と言わなかったか。やりすぎてしまった、とも言った。一体何がと思えば、当てはまるのはスコールが焦燥させられた態度しかなく。
「どう、いう」
「あの行為が、君に恥ずかしい思いをさせてしまうことくらいは分かっていたつもりだ。ただ、少々焦ってしまってな。だから、私に非があったのだが……あの時は、さびしく思いもした。だが、今は、君がそう言ってくれたから」
 なんだそれ、と途中で糾弾しそうになるも、続いた勇者の言葉に引っ込んだ。何より、静かな声音が“さびしい”と零した勇者の気持ちを証明していて、スコールから言葉を奪ったのだ。それでも、さらに続けてから言い終えた勇者の表情はやわらかくなっていて、そこでようやく、スコールはずっと詰めていた息を吐き出すことができた。
 罪悪感はわずかに残ったものの、苦しみと怒りが解けたおかげで、胸が軽くなる。安堵の色を表情に認めたのか、苦みの混ざっていた勇者も小さく微笑んだ。
「……そういえば、殴ったところ、大丈夫か?」
「ん? ああ……あれは正直、痛かったな。その仕返しのつもりも少しあったのだが、しかし、まさか泣かせてしまうとは思わなかった」
「そうか、悪かった……って、な、泣いてなんかない!」
「泣きそうな顔をしていたが」
「それ泣いたって言わないだろ」
「そうだろうか」
「そうだ」
 なぜか目じりを撫でられたのは、その所為だったのか。ずいぶん滅茶苦茶なことを言ってくれる、と呆れ半分ながら、気持ちだけは泣きそうになっていたことは事実であったため、強く否定することはできなかった。その代わりに、不安が払拭されて、こんな風に勇者と会話できることが、触れてくれるのが嬉しくて、頬の手に無意識にすり寄りながらスコールは自然と笑みを零していた。
 すると、一瞬勇者が固まったように動きを止めて、次に手が離れていった。それは不思議そうに勇者を見上げるスコールの肩に置かれ、軽く握る。
「ところで、皆がいないところでなら好きなように君を抱き上げてもいいと受け取ったのだが」
「え?」
 始めこそぽかんとしていたが、徐々に頬が熱くなり、スコールはふいと顔を逸らしてしまった。それでも、答えはもう決まっている。
「そ、そこまでは言ってない……けど……ふたりでいるときだったら、あんたの好きにすればいい」
 顔の赤みが増していることを自覚しつつも、勇者へ向き直って言い終えた途端、肩の手に引き寄せられて、そのまま抱き締められた。



「ねえ、バッツが手当しなくてよかったの? ちょっと気まずそうだったけど」
「んー、おれもそうしようと思ったんだけどさ。なんか手当したそうだったから」
「そうなの?」
「様子見てきた方がいっかな?」
「どっちも出てこないから大丈夫じゃない? むしろ夕食の用意でもしてた方がいいよ」
「それもそっか! なに作るかなあー」









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始めの頃はちょっとしたことでひどく不安になったりするかなと
姫抱き→おんぶにしようと思っていたのにおんぶをすっかり忘れていた
あとたまねぎは素で空気が読めるこ

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