忍者ブログ
DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
<<   2024/05   1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31     >>
[568]  [567]  [566]  [565]  [564]  [563]  [562]  [561]  [560]  [559]  [558
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

非常にひさしぶりSSS
うそつき勇者とほだされているスコール

加えて小ネタにひとつ追加 スコールとラグナの一瞬の会話
未送信フォルダに眠ってたんですが、これだけだったのでどんなネタかもわからず
たぶんウォル←スコールな感じのウォルスコ前提8親子だったのだとは思いますが




「スコール」
 と差し出されたのは、籠手を纏った手。ぱちりと瞬いて、ほんの少し戸惑って、スコールは先に勇者を見上げることを選んだ。
「繋がないか」
 いつもの真面目な顔で、言葉少なに告げられた内容に、うっかり頬を熱くしかけて。あれ、と覚えたのは違和感。
 何がおかしいといえば、勇者がそう言ってきたことがだ。いつもなら、気付いたときには手をとられているばかりだったのに。
 勇者と今の関係になったばかりの頃は、さすがの勇者も緊張していたのだろう、『手を繋いでもいいだろうか』とわざわざお伺いを立ててきたものだった。それが無性に気恥ずかしくて、いちいち文句付けながらも(周りに人気がないときに限っては)スコールは断ることはしなかった。
 それが、たとえばふたり並んでの哨戒の時やテントを同じくした時などにはさほど珍しいことではなくなって、勇者も慣れたのか、スコールがあっと言う間もなく手をとられるようになっていた。
 いつの間に姿を見せたその強引さに呆れる一方で、それを存外気に入っている自分にスコールは気付いている。
 それは、どうせ断らないのだから伺う必要もないだろう、というような手間を考えてのことではなく。勇者の真っ直ぐな気性は、時には強引さや頑固さに類されるが、その向けられる先に自分がいると実感することで、胸中に燻る独占欲が満たされるからだ。まあ、小言ばかりになるのはさすがに勘弁願いたいが。
 堅物と揶揄される勇者は、気遣いができないわけでは決してない。仲間同士の枠を、はたまた子供扱いを超える触れあいを人前では恥ずかしい、とそれこそ恥ずかしそうに伝えたスコールの言葉を、勇者は忘れはしなかった。その上での強引さを、スコールが跳ね除けることなどできるはずがなかったのだ。
 ――なのに、今目の前にある勇者の手は、スコールの手を攫ってくれる気配を未だ見せない。
 一度差し出されたままの手を見、黙して反応を待つ勇者を再び見上げる。
「なぜ?」
 結局口をついて出たのは、非常に簡素な問いかけだった。どうしてこんなことでここまで戸惑っているのやら、と思わないでもないが、生憎自嘲する暇はスコールには与えられなかった。
「寒くてな」
「……え」
 たっぷり間を空けて、ひとつ前以上に簡素な戸惑いが漏れる。スコールを見つめる勇者の表情は相変わらず真面目くさったものだった。
 確かに、本日は寒い。雪こそ降っていないが、今朝などジタンやティーダといった薄着の仲間があまりの寒さに騒いでいたくらいだ。ジャケットを着た比較的暖かな恰好のスコールでさえ、肌寒さを覚えていた。
 だからといって、勇者が――重厚な鎧つきでも寒かろう雪の中ですら、身体を震わすことは決してなかった彼が――「寒い」と口にするとは。
「寒い、のか? あんたが? そんなことで?」
 手を繋ぎたいだなんて。
 そんな理由で求められたと知って、嬉しいようなさびしいようなない交ぜになった気持ちに、スコールは思わず眉を下げた。そうしながら、数割の嬉しさに任せて勇者に己の手を重ねると、ようやくとばかりにぎゅうと握られた。
 冷たいグローブと手を覆う籠手では温もりなど伝うはずがないのに、肌寒さを忘れられた心地にそっと息を吐く。うすらと白い吐息が昇って消えたころ、勇者はちらりと笑った。
「ありがとう、スコール」
 唐突の微笑みと礼が訝しく、下げていた眉を寄せてちいさく笑う男を見上げる。
「寒いなど、少しだけ本当で、あとは嘘だった。君から手をとってもらいたかったのだ」
(……そんなことで?)
 勇者らしいあっさりとした暴露を聞かされて、呆気にとられる。同じ言葉を内心で口にしていたことにも気付かず、目を丸くした幼い表情を晒すスコールに、勇者は表面ばかりは真面目に頷いた。冬にあれば溶け込みそうな、夏にあれば涼しげな薄氷の双眸に、いたずらな光が覗いているのを見つけて、スコールの頬が熱を帯びる。
 あくまで重ねただけ、のつもりなのに。確かにこちらから勇者の手をとることは、ほとんどなかったが。そんな目をされたら、『くだらない』という照れ隠しの一言も発せない。握られた手を振り払うことなど、到底できない。
「……別に。俺も、寒かったから」
 だからスコールにできたのは、そっと手を握り返してから、勇者のざれごとに付き合うことだけだったのだ。









--------------------
ふたりで見回り中

拍手

この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
->about blog
・個人が運営するDFF/DdFF中心非公式ファンブログ
・■e社等公式とは一切関係ありません
・学内PC等の公共PCからのアクセスはご遠慮ください
・女性向け/腐向け/BL等といった単語が理解できない/苦手な方はバックプリーズ
・キャラ崩壊や捏造が多分に含まれています
動作確認↓
IE9.0>IS21S>Firefox16.0.2

・基本的にリクエスト/キリ番は受け付けていません
・サイト内の作品に対し、無断転載などはNG
・リクエストものに関してはリクエスト主様のみ転載可
・何かあれば拍手コメントか記事コメントへどうぞ(メールは設置していません)
・返信不要の際は明記ください
・誹謗中傷はご遠慮ください


アバウトリンク/bkm/サーチ

ツイッター
※別ジャンルの呟きが中心です
忍者ブログ [PR]