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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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1万HITとは別のSSSです、すいません
最初は昼夜の概念がない世界での時間感覚ってどうしてるのかなー体内時計だけじゃ辛いよなーどうにか外部から時間を知る方法ってないのかなー→何か一日一回というのがあれば目安にはなるかなー→モグネット!
という思考から出来たんですが、時間間隔の話はどっかに行って、ただのモグネット利用の話になりました

ところで、最近ウォル視点の話が多いのは気のせいだろうか たぶん当初のウォルさんの印象がだいぶ変わったからなのかもしれないなぁ
当初→まったくブレない無機質レベルの感情が見えない生真面目さんだったのに最近そんなウォルさんを崩してしまいたい衝動に駆られる スコールには結構感情だだ漏れなんだぜ!みたいな?

何が言いたいかっていうと、ウォルスコ大好きってことです








「モグネット?」

首を傾げた勇者の前で、触ればふわふわしそうな小さな白い生き物、モーグリは独特の鳴き声でそうだと答えた。

「いわゆる手紙なんだけどな。基本的にはモーグリ同士で送り合うんだが、中にはあんたたちに興味を持って文通してみたいって奴もいるんだクポ」

これはあんた宛の、と言われて受け取れば、硬めの小さな紙にかわいらしい文字で何事かが書かれていた。とりあえずまだ読むことはせずに顔を上げれば、待っていたらしいモーグリが言葉を続けた。

「まぁ無理にとは言わないが、よかったら返信してやってくれクポ。あんたたちの状況も分かってるし、みんな数回で満足するだろうしな」
「分かった」

なるべく協力しよう、と言えば、モーグリは感謝の言葉を口にして笑ったようだった。
しかし、協力すなわち返信しようと言ったものの、色々と疑問が湧いて出る。手紙というものが何かは分かるものの、送られる仕組みがよく分からない。記憶が無い勇者には、元の世界ではどうだったか、を参考に出来ないのだ。
返信はどうすればいいのか、そもそも紙など持っていない。そう言うと、モーグリは傍らのポーチをがさごそと漁っていたと思うと、何かを差し出してきた。それは先程勇者宛だと渡された紙と、色違いの同じものだった。

「ハガキはサービス。短い文なら代筆もするクポ」

妙に至れりつくせりな気がするのは、こちらに付き合わせているという認識がモーグリ側にあるためだろうか。
確かに、手紙自体は疎ましくは思わないが、頻繁に送り合っていられる状況か、といえば否である。モーグリ側がそれを分かっているというのは嘘ではないだろう、ならば協力するという意思を変える必要も無いと勇者は判断した。

「とりあえずハガキは渡しとくな。返信は明日貰いにくるから」
「待ってくれ。これは、こちらから指定する相手に送ることは出来るのか?」

要件を言って飛び去ろうとするのを引きとめた勇者の問い掛けに、モーグリは不思議そうに首を傾げた。

「出来ないことはないが、あくまで“ついで”扱いだから頻繁には出来ないクポ」

送りたいやつがいるのか、と逆に問われて、勇者は押し黙った。
送りたい人物といえば、一人を置いて他にない。
―――彼は、クリスタルを手に入れられたのだろうか。仲間と合流したのだろうか。無事、だろうか。
剣を交えて別れてから、互いの状況を知る手段は皆無だった。彼なら大丈夫だろうという信頼はあるが、それでも心配してしまうのは、それだけ想ってしまっているからで。同時に、自分が未だ無事であることを伝えたいという気持ちもあった。その願望を叶えるに、手紙という手段はひどく有効で魅力的に思えたのだ。
しかし、状況が状況であるため、手紙を送ることで返信を押しつけるだけになってしまわないかが不安なのだ。彼のことは知りたいが、それを彼に求めるのは身勝手すぎる、と理性が押しとどめる。
伝えたい、しかし…と逡巡するも、結局答えは出ない。

「なぁ、迷ってるところ悪いが、俺そろそろ行っていいか?」

苛々した、というよりは単純に困ったような声音に、慌てて勇者は思考を切り替えた。このまま引きとめ続けるのは、さすがに申し訳ない。
と、そこで、ふと勇者に閃いたものがあった。

「紙は、選べるだろうか」
「あー、色違いしかないけど結構あるクポ」

再びポーチから数枚の紙が取り出されて並べられるのを待てば、途端に勇者の視界はカラフルになった。薄氷の目が、字を書くに適した淡い色の紙たちを眺める。
しばらく悩む素振りを見せてから、勇者の手は一枚の紙を指した。

「これを…額に傷のある少年に」
「了解クポ。なんて書くんだ?」
「いや、このままでいい」

代筆かとペンを取り出していたモーグリが、勇者の言葉に先程とは逆方向に首を傾げる。
このままということは、文章もなく無地の紙のままということなのか。そう確認するように問われても、勇者は頷くだけだった。加えて、差出人が勇者であることを明かさなくていい、とまで言われて、更に不思議そうなモーグリだったが、言及することはなかった。

何も書かれていない紙を受け取って、飛んでいったモーグリを見送りながら、勇者は内心苦笑した。
選んだ紙は、淡い水色。返信を強要しないように、と文章は書かず差出人不明で送ったというのに、結局彼に自分のことを知らせたいという魂胆が見え見えだったので。
不気味とでも思ってすぐに拒否してくれれば、負担にはならないのだろうが。そう思いながら、心のどこかで、彼が差出人を察してくれること、そして彼からの返信が届くのを期待してしまっていることを、勇者は否定できなかった。



「まいどありーっと。ところで、額に傷があるのはあんただけ、だよな」
「それがどうした」
「あんた宛に手紙貰ってるんだクポ」
「…手紙?」

こんな世界で?とスコールが訝しめば、モグネットと呼ばれる仕組みの説明がなされて、納得した。
しかし、モーグリ以外に手紙をわざわざ送ってくるような奴がいるのか。そう思いながら、渡されたハガキを見て見れば、何も書かれていない。どういうことだと思いながらモーグリに差出人を尋ねるが、秘密にしてくれと頼まれた、と言われて、言及は諦めた。
眺めど裏返せど、やはり文章は見えてこない。まさかあぶり出しか、下手したら魔法の類なのだろうか、と思いながら、なぜかこの妙な手紙の差出人が気になって仕方がないのが、またスコールには不思議だった。
薄い水色の紙、この色が何かと被るんだが、と悩みつつも、ふと太陽にかざしてみて。

「……あ」

そう、いうことか。

スコールは手紙からモーグリへ視線を移すと、ハガキは無いかと尋ねた。まるで予想していたかのように、妙に手際よく並べられたハガキの中から、スコールは一枚を指した。
選んだ色は、彼に貰ったハガキよりも少し深い青色。
代筆を申し出たモーグリに、要らないと答えればあっさりと承諾される訳が、何となく悟られて気恥ずかしい。
飛び去るモーグリを見送って、スコールはもう一度空を仰ぎながらハガキを眺めた。背後の太陽が、眩しい。

「…変な気は効くんだな、あんた」

真向かった薄氷を思い出しながら、スコールはほんのりと頬に朱を昇らせた。









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たぶんウォルさんにはハガキの概念がないので、ウォル視点では“紙”なのです


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