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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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5万HITフリリクその2は双沙カナエさまリクの『ウォルスコ&コヨコヨ&マンドラゴラのSSS』になります。ちなみにSSです。
一応以前書いたSSSの続きのようなものになっているので、そんなん知らねぇ読んでねぇ!って方は先にそちら読んで頂けると分かりやすい…かも。
とりあえずいつものばかっぷるです。コヨコヨとマンドラゴラが活かせてるか怪しいですがよろしければ受け取ってやってくださいませ!









あれからというもの、コヨコヨのみならずマンドラゴラまで抱っこを要求してくるようになった。
戦闘の後ばかりではなく休息の時間にも、片方または両方が不意に現れては、つぶらな瞳と小さな体で引きとめてくるのだ。それらを無視できるほど、冷血にはなれなかった。
そこはかとなくオニオンやティナが羨ましそうな目を向けてくるのには気付いているが、かといって自分にはどうしようもない。

(…そう、俺のせいじゃない、はずだ)

見張りであるオニオンとジタンの話し声がわずかに流れてくるだけの静かな木陰で、腕の中に収まったふたつの小さな体を見下ろし、小さく息を吐く。召喚獣でも眠るのかは定かではないが、二匹は眠っているかのようにひどく大人しい。
何が間違っていたのかとすれば、コヨコヨに請われるまま抱き上げてしまったことまで遡るだろう。しかしコヨコヨの黒い目を、小さな両手を向けられてしまったら、やはり無視することなどできなくて。たとえ自分でなくとも、クラウドやあの勇者ですらその手を伸ばしてしまうに違いない。
それにしても、とコヨコヨとマンドラゴラから顔を上げ、そっと辺りを見回す。先日バッツと組んで探索へ出かけた勇者は、それから一日経って、更にその翌日の今日になっても未だ帰ってきていなかった。心配など不要なふたりだと分かっているから、不安に駆られることはないはずなのだが、ただふたりの、特に勇者の帰りが待ち遠しかった。

「……遅いな」

小さく呟いてから、戸惑ってぱちりと瞬く。ほとんど無意識に零したそれは、静かな木の下ではよく聴こえて、自身でも分かるほど不満そうな響きだったことに驚いたのだ。
不満だなんて。まるで聞き分けのない子供か、あるいは片時も離れたくないと相手を詰る恋人か、どちらにせよロクなものではない。確かに自分は彼にとってはまだまだ子供で、そして彼の恋人ではあるが……それでも、コヨコヨやマンドラゴラが腕の中で落ちついてくれる程度には、大人であるつもりなのに。
こんな、いかにも子供じみた感情は、女々しい心は、少しでも切り捨ててしまいたいのに、どうして滲んでしまうのだろう。そんな自己嫌悪の思いで眉根を寄せるのを、知らず二匹に見られてしまったらしい。くい、と胸元のシャツが引っ張られた気がして、顔を下げれば四つのまるい目がじっと自分を見上げていた。
訝しげに首を傾げれば、コヨコヨがぺちぺちとシャツ越しの胸元を叩く。マンドラゴラはコヨコヨと比べて大きな頭を擦りつけてきた。一体何がしたいのか、意図が分からないまま見下ろす先で、二匹は時折ちらりとこちらを見上げては同じように首を傾げ、再び各々の行動に戻る。
コヨコヨの叩く力は痛みを感じる方が難しいほど弱く、そして鼓動に似たリズムを刻んでいる。マンドラゴラに擦り寄られた胸元では、やがてそうと分かるほどの温度を感じた。

(…ああ、そうか。……前言撤回だな)

二匹なりに、自分を慰めようとしてくれているらしい。少々怪しいところもあるとはいえ、召喚獣なのだから“想い”に敏感なのかもしれない。根拠の分からない理由を思い付いたことに戸惑うより、落ちつくどころか気を使わせてしまったらしい二匹への申し訳なさが募る。
自分で思うより、自分は子供だった。これがセシルやバッツ、クラウド、そしてあの勇者なら、きっと二匹はずっと安らいでいられただろう。

「なかなか、思い通りにはならないな」

こんな風に、召喚獣に懐かれて胸に抱く羽目になったことも。そう思いながらも、身じろぐふたつの小さな体を抱き締めるのを、止められなかった。
無事でいて欲しいと願うのは、もはや無意識にも近いのだから。望めば抱き締めてくれる腕を失いたくないと思うのは、いつだってそう。分かっていても、気丈でいても、胸のどこかでどうしても燻ってしまう。寂しい、だなんて。
つまるところ、一番思い通りにならないのは、自分の心だったのだ。

「……さっさと帰ってこい、ばか」





二日ぶりに戻ってきたキャンプ地は、変わりないようだった。

「やーっと帰ってこれたな! 変な世界が出てくるわ強いイミテーションが残ってるわでちょっとヒヤっとしたけど、お宝も手に入ったしあんまりケガも…」
「――バッツ」
「ん? なに……お、」

包帯を巻いた腕を擦りつつも、安堵の笑顔を浮かべて探索の成果を口にしていたバッツは、遮るかたちで割り込んできた勇者の言葉に瞬いた。一度は疑問の声を上げたものの、勇者の視線の先―――木にもたれて眠るスコールとその腕の中の小さな召喚獣たちを認めて、途端に声を潜めた。
ベースに定めた場所の近くに敵の気配は無く、新しく現れる様子もない。見張りもいる以上、今すぐ起こす必要もないだろうと判断したふたりは、踏み締める草が音を立てないよう、できるだけ静かに目的の木のもとへと歩み寄った。

「…ぐっすりだなぁ、スコール。それに、すっかり懐かれちゃってまぁ」

ふたりが覗き込むも、ひとりも二匹も起き出すこともなければ、スコールの眉間に皺が寄ることもなかった。

「召喚獣も眠るのだな」
「そうそう、あのチョコボも少しだけだけど、ちゃんと寝るんだぜ!」
「少し、声が大きい」

元の世界の相棒を思い出すのか、チョコボが関わるとやや暴走してしまうバッツの無邪気さは微笑ましくもあるが、騒音を避けたい今ではあまり歓迎できない。
声量を咎めた勇者の口ぶりは常のごとく淡々としているが、それを聞かされたバッツは「あ、」と声を出してから大げさに自身の口を覆ってみせた。静かにするという意思表示と、眠る少年を仲間として以上に大事にしたがる勇者の意思がちらりと見えて、つい笑ってしまったのを隠すために。
でも、本人はきっと無意識なんだろうなぁ。妙な確信はバッツに呆れにも似た微笑ましさしか与えず、手を離して口元を晒しても、その思いのせいで笑みが浮かんだままだった。

「ここあったかいし、眠くなっちゃっても仕方ないよな。でも木陰が完全に被ったら肌寒くなりそうだし、おれ、なんか掛けるもん持ってくるな」
「そうか、では私は」
「見付けた素材とかはついでに置いてくるから、あんたはここでスコール専用の見張りな」
「…バッツ?」

強引にも思える提案でさっさとお宝を入れた袋を奪われてしまい、勇者は不思議そうに呼びかけるも、返ってきたのは悪戯げな笑みばかり。

「その顔で戻ったら、セシル辺りに心配されちゃうぜ」
「顔? 何か、ついているのか」
「ついてるついてる。ここにスコールそっくりのシワがなー」

触れはしないものの眼前…正確には眉間をびしりと指差され、勇者は面食らった。
まるで自覚していないことを如実に示す表情にも、バッツは何も言及しないまま袋を手に立ち去ってしまう。そうすれば残るのは、勇者と眠るスコール、そしてその腕に収まる召喚獣たちだけ。
寝息すら聞こえてしまいそうな静寂の中、勇者はそっとスコールの隣に跪いた。言われればすぐ思い出せてしまえるほど、よく見せられる眉間の皺は、今は刻まれていない。しかしバッツが言うには、代わりのように自分の眉間に刻まれているらしい。
指摘された眉間に指で触れてみながら、その場所は兜に隠れていることに、今更ながらに気付く。見えていないものをなぜ指摘したのか、果たして予想なのか、もしくは自分をここに残すための嘘だったのか、バッツがいない今その真意は分からない。なんにせよ、仲間を心配させてしまうような顔はしていないだろう。なにより、そんな顔をする理由が思い当たらない。
そう判断した勇者は、兜を外すと傍らの草の上へ置いた。そしてスコールの顔に掛かる前髪を退けてやって、そのまま軽く梳く。すると、スコールがまるで勇者の手に寄り添うように顔の向きを変え、同時に胸に抱いた二体をわずかに抱き寄せた。
それを見た勇者は不意に手を止め、ついでわずかに目を見張った。

(……今。スコールから、彼らを取り上げたいと思った)

ぎゅう、とまではいかないまでも、しっかりと抱き寄せられたコヨコヨとマンドラゴラ。その慈しみは見る者の心を和ませるものだろうに、どうして、自分は。
眠りながらして甘えてくれるようなスコールは愛しいばかりなのに、それを差し置いてもこの場を壊してしまいたいような、そんな黒い考えが勇者の頭を過ぎる。それ自体は自覚しているのに、理由が勇者には分からない。
混乱は勇者を動揺させ、抑えていた気配が漏れる。それでも、それが勇者のものだというだけで、戦士としての性分に逆らえず瞼を上げてしまったスコールも、警戒することなく寝起きのぼんやりした表情を見せるだけだった。

「おはよう」
「…おかえり。……?」

起こしてしまった罪悪感を覚えつつ、とりあえずと挨拶をした勇者に、スコールは間違ってはいるがある意味正しい返事をしてから、勇者を見上げながら首を傾げた。

「どうした?」

じい、と見つめてくるスコールに、今度は勇者の方が首を傾げてみせると、不意にグローブに包まれた手がこちらに伸ばされる。長い指は、バッツは触れなかった場所…眉間をひと撫でした。

「寄ってる…何かあったのか?」

それは、先程バッツにも指摘されたことだ。その時は認めなかったが、眉間が兜に隠れていない今ではスコールから見えていて当然で、なによりそんな顔をしてしまう理由に心当たりがある。ただ、その心当たりをスコールに明かしていいものかは、迷いどころなのだが。
コヨコヨとマンドラゴラを、スコールから取り上げたい。その希望を口にしていいものか、何事もはっきりと言いきってしまう勇者が、ここにきて逡巡してしまうのは、二匹がスコールに懐いているからというより、スコールが二匹を気に入っているらしいからに他ならない。今も大事そうにスコールの片腕で抱かれている二匹を見ると、手を伸ばしてしまいそうになる。
無意識の内に動いてしまわないよう意識して拳を握り、思い悩んでいる内に返答を忘れてしまっていた勇者に、スコールは顔を歪めると、身を乗り出して勇者の首元へ抱きついた。押し倒すほどの勢いはないものの、跪いていた勇者は尻もちをつき、更にコヨコヨとマンドラゴラがころりと転げ落ちたが、スコールに気にする様子はない。

「っ、スコール?」

尻もちをついたまま勇者が問うも、しばらくは返答がなく、どうしたものかと迷いつつ背を撫でてようやくスコールが口を開いた。

「…何か言ってくれよ。あんただって、言わなきゃ分からないって言うくせに。言えないなら、そう言ってくれればいいのに……やっと帰ってきて、そんな顔で黙ってるだけなのは…嫌だ」

彼自身の感情を常よりも口にしているように思えるのは、寝起きであることも手伝っているだろうが、呟きにも近い言葉が掠れているのは、その理由だけではないだろう。言いきってから上げられたスコールの表情は、眉尻を下げた不安げなもので。はっとした勇者は、やや慌てて首を振った。

「すまない、君を不安にさせるつもりはなかった。…何かあった、というほどでもないのだが、言ってもいいものか、少し迷ったのだ」
「迷った? あんたが?」

スコールの戸惑いも尤もであると唯一知らずにいる勇者本人は、稚い仕草で見上げてくるその頬を撫でながら、ちらりと先程転げ落ちてしまった小さな召喚獣たちを見遣った。恨めしく思われているのか、単に見守られているのか、こちらを見つめてくる四つの目からは、彼らが何を思っているのかは分からない。
それでも、結果的に彼らがスコールから離れたこと、そしてスコールが抱き締めるものが自分であることに、勇者は優越感のようなものを得ているのを否めなかった。充たされてしまえば、もう迷う必要もなくなってしまって。

「彼らを抱いて眠る君を見て、取り上げたいと思ってしまった。しかし、君は彼らを気に入っているようだからな」
「な…」
「それでも、スコールは私のものだから」

最後の言葉は、不安も払拭して顔を真っ赤に染めた獅子にではなく、先程まで彼の腕をひとりじめしていた召喚獣たちへ向けて。それに気付いているのかいないのか、突然の勇者の宣言にスコールは眉根を寄せたが、文句は口にしなかった。
やっと帰ってきて“ただいま”の言葉もないのかとか、そんなことで迷うなとか、召喚獣に嫉妬するなとか、いきなり変なことを言うなとか、言いたいことは沢山あった。ただ、勇者がいつものように自身の思いを話してくれて、触れてくれることが嬉しくて、言う気も失せてしまったのだ。
諸々の文句は「バカ」という照れ隠しの一言に代えて、スコールは身体の力を抜いた。そこで、ようやく自分がコヨコヨとマンドラゴラを放ってそのままにしていたことに気付き、勇者から離れると転がったその場所で座り込んでいる二匹へと向いた。

「わ、悪かった…怪我してない、よな?」

慌てて二匹を抱き上げ様子を見ているスコールを、勇者は胡乱な眼差しで見る。せっかく眉間の皺が取れた相貌が、なんとも不服そうな顔をしてしまっていることに、背を向けているスコールは気付かない。

「…なかなか、思い通りにはならないものだな」
「え?」

ぼそ、と勇者の口から零れた呟きはどことなく不穏な響きだったが、あまり聞こえていなかったスコールは不思議そうに振り返るばかり。羞恥の名残で頬を染めたまま、小さな召喚獣を胸に瞬く彼はひどく愛らしい、けれど。勇者は小さく溜め息を吐くと、鎧を着たままであるのに構わず、つれない愛し人をその背後から抱き締めた。





一方、先に戻ったバッツ。

「ただいまー」
「あ、バッツだ。おかえり」
「遅かったじゃねーか。おかえり」
「さっきスコールにも会ったぜー。んでウォル置いてきたんだけどさ」
「“置いてきた”って…」
「おお、お前にしちゃナイス判断」
「おれにもウォルのことちょっと分かってきたんだ!」
「ふーん」
「へえ?」
「かくかくしかじかで…これって、ウォルもスコールが羨ましいってことだよな」
「うんうん、そう……は?」
「コヨコヨとマンドラゴラってかーわいいもんな! おれだってあんな風に懐かれたい!」
「分かる分かる、スコールずるいよね」
「バッツ」
「ん?」
「落第」
「ええっ!? なんでだよジタンせんせー!」
「まだまだだね、バッツくん」
「…ちょっと、僕も意味分からないんだけど」
「オニオンくんには早いぜ?」
「何だよそれ!」
(そういえば掛けるもん持ってくって言ったけど…もう少し後にしておくかなぁ)









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なんとなく嫌だって思いはあるものの、それが『嫉妬』という感情だとは分からないウォルさん…だといいな
スコールをとられてふてくされてたら可愛いと思います
というか、コヨコヨとマンドラゴラの扱いが…微妙に悪くて申し訳ないです

リクエストありがとうございました!

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