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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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梅雨なのでタイトル通りいつもどおりの甘いばかっぷる @ウォルスコSSSカテゴリ100コめヒャッフー!
それとすごくどうでもいいこだわりなんですが ウォルさんの目を『薄氷』と称するのはスコール視点(と準じた第三者視点)だけだったりします スコールの『海色』もウォル視点+αだけのはず…だがこっちはちょっと怪しい
ちなみに『薄氷(うすらい)』そのものはあ○きの雫という曲の歌詞にあってすごく気に入ってたという経緯

そしてリアルがだいぶ落ちつきまして、解放感にあふれております
そんな折にあるアンソロさまへのお誘いを頂いてしまったのです、が じ、自分なんかでいいんですか…!
テンション落ちついたら返信しようそうしよう というか漫画描く練習しないとまじで








不意に冷えた空気と湿気に気付いて、雨が降りそうだと思った。
それは隣にいる勇者も同じだったようで、そちらに視線を寄越した時には、既に彼は空を見上げていた。倣うように空を見上げれば、なるほど、夜だというのに闇は蒼く薄く、灰色の雲にすっかり覆われている。
最後の見回りで互いに軽装の身、傘代わりになるものは持ち合わせておらず、辺りに雨を防げるようなものもなかった。

「戻るか?」
「そうだな。雨もすぐに降り出すだろう」

見回りもほとんど終わっていて、どちらにせよ戻ろうとしていたところでもあったのだ。同意を受け、それではと踵を返すが、隣の勇者は空を見上げたまま動かない。
戻るんだろ、と声を掛ければ、やっと空から視線を外したかと思えばこちらをじっと見つめて、再び空を見上げてしまった。意図が分からずにもう一度声を掛けようとしたところで、勇者その人によって遮られた。

「君の目の色に、似ていると思って」
「は? ……何が?」
「空の…いや、雨の色が」

意味が分からないと眉根を寄せる間にも、じわりと空気に水のにおいが混じっていく。ほら、と籠手のない指で指された先を見れば、雲に透かしたような少し明るい夜の色があった。
それは雲か空の色だろうに、どうして“雨の色”と称したのか疑問であり、なにより自分の目の色などよく分からない。こいつが意味不明なのはいつものことか、と少々失礼なことを考えていると、顔に手が伸びてきて勇者の方を見上げさせられた。またもや見つめられて、なるほど色を確かめていたのかと今になって納得する。そうでもしないと、近すぎる薄氷に熱を孕んでしまいそうで。

「…お、い。雨が降るぞ」
「そうだったな」

やっと解放されて知らず安堵の息をついている内に、勇者はさっさと歩きだしていた。置いていくつもりはないことを示す速さに、それでも慌ててしまいながら駆け足で隣に並び直す。
ぽつり、と鼻先に雫が落ちた気がした。

「以前、君は私の髪が水の色で、目が氷だと言っただろう?」
「…あんたは、俺の目が海の色だって言ったな」
「ああ。ただ、このように雨で薄暗いと、あのように海と同じ色になるのだな。それが、君とのつながりが増えたようで嬉しく思ったのだ」
「……そうか」

そんなことで喜ぶなと言ってやりたいところだが、実のところこちらも嬉しく思ってしまっているので、相槌を打つのがやっとだった。
水から始まった、氷、海、雨。ほんとうにそれらの色であるかどうかはどうでも良くて、そうと称したのが、称してくれたのが自分たちには重要だった。それらを見る度に、想う度に思い出せるというのは、勇者の言う“つながり”に違いないのだから。
勇者曰くの雨の色を見ておこうと空を見上げると、瞼に、頬に雫が落ちてきた。あ、と思う間もなく雨粒は増えていく。勇者と目配せ合って足を速め、雨の波紋を刻む池を通りがかったところで、視界の端に入り込んだものがあった。

「あれ、使えるんじゃないか」
「ん?」

走り寄って間近で見れば、それは頭をすっぽり覆ってしまえるほどの大きさだった。直径五十センチはあるだろう蓮の葉が何枚も並ぶ様は、些か壮観でもある。
ほんの少しの罪悪感を飲み込んで、茎をぼきりと折った。

「傘代わり」

呆気に取られている勇者にひとつを押しつけ、もうひとつ折った茎を持ち、頭の上に掲げてみる。狙い通り葉の陰には入ったが、本物のようにはとてもいかず、肩のあたりに雫が垂れてくる。まぁ当然だろうな、と納得とわずかに落胆しつつ勇者を見れば、そっぽを向いて肩を震わせているではないか。
泣くはずがないので笑っているとしか思えないが、あの勇者がと訝しむよりも驚きながら覗き込めば、耐え切れない笑う声が聞こえてきた。

「なんだよ。そんなに変か?」
「ふ、いや…あまりに、可愛くて」
「…は!?」
「君は、時々、予想を過ぎるな」

子供じみていると笑われているのなら自覚している分まだ良いが、可愛いという言い分はよろしくない。その上、意味不明な言動でこちらを振り回してくれる勇者にそんな風に言われるのは、それこそ納得いかない。さらに、勇者が切れ切れにしか話せないほど笑い、そんな笑顔なんて希少なものを見せられては、呼吸どころか心臓まで止めてしまいそうになる。
結局文句を言えるようになったのは、ひとしきり笑わせた後だった。その頃には、大雨ではないが水たまりが出来始めるほどに雨足が強まっていた。

「……意味不明なのはそっちの方だろ。というか、あんたすっかり濡れてるぞ」
「…本当だ。すまない、君を冷やしてしまったな。急いで戻ろう」

冷えるのもそっちの方だろうと思いつつも、言えなかったのは勇者が足早に歩き始めたため、だけではなく。律儀に蓮の傘を頭の上に掲げた勇者を見て、噴き出しそうになったのを耐えたためでもあった。
先程の彼のように肩を震わせていると、急いでいるはずなのにしっかり気付かれたのか、隣から訝しげな目を向けられた。

「あんた、それ、似合わないな」

からかいの意図を込めて視線を合わせ、途切れ途切れながらも言ってやれば、薄氷の双眸が見開かれてその足が止まった。からかったところで勇者のこと、軽く流されてしまうかと思っていただけに、その反応が意外すぎてこちらまで足を止めてしまう。
勇者はすぐに歩くのを再開したが、待つことを忘れたようにどんどんと進んでしまい、置いていかれてしまいそうになる。笑いも収まり、文句を言おうと追いついたところで、勇者の頬が赤く染まっているのを目にして、また飲み込む羽目になった。









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スキンシップ控え目なのにいちゃいちゃ ばかっぷるめ


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