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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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1万HITフリリクの最後、夜さまリク「スコール総愛され前提、カオス側の誰かに絡まれる」になります。遅くなってしまってすみませんでした…!
更に言うと妙に長くなってしまったので、前後に分けてます。
あくまで総愛されなので、総受けにはなってないはず…です。ただ、秩序勢はもちろんとしてミシアさまからの愛され描写もあるので、ちょっとご注意……ってご注意するくらいなら入れるなって話ですが!
ちなみにカオス側の誰かはタイトル通りの方となりました。思いっきり自分の好みです、すいませ…!









「退屈じゃな…」

そう溜め息混じりにぼやくのは暗闇の雲。ふわふわ、と主が不在のアルティミシア城の中で浮かびつつ、くるりと回ってみたり触手を弄ってみたりするものの、退屈は紛れるどころか余計に存在を主張してくる。
最近、コスモスとカオスの両軍共に動きがない。というのも、秩序の戦士たちは全員クリスタルを手に入れたようだが、コスモス自身は消耗が著しいようで姿を現わせないらしく、結果カオスへの手がかりを求めるにも、コスモスの戦士たちは手探りで進軍と探索をしなければならず、明らかな情報不足も祟ってか足踏みしている状態だった。一方の暗闇の雲が属するカオス側も、戦闘での負傷を癒す者や裏で画作する者など個々では動いているものの、カオスが静観しているのもあってか、コスモス側に軽いちょっかいを出す程度のことしかしようとしない。
いわゆる、停戦状態。

「…何をしているのです」
「退屈なのだ」

戻ってきたアルティミシアをちらりと一瞥したものの、すぐにつまらなそうに視線を宙へ彷徨わせた。何か変わったところでもあれば退屈しのぎになるだろうか、と期待するも、訝しげに見遣ってくるアルティミシアは常通りなのだ。
そんな暗闇の雲を前に、人の城に勝手に居ついておきながら何を、とアルティミシアは彼女を睨みつけるが、ふと何事か思い至ったように表情を変えた。

「なら、“あの子”の話でも…」
「それはさすがのわしも聞き飽きたわ」
「やはり、貴方にはあの子の魅力は分からないのですね…」

ああ、と大仰に嘆いてみせるアルティミシアを、暗闇の雲は胡乱げに見遣る。
この時間を操れるほどの魔力を持つ魔女様は、獅子の二つ名を持つ自身の宿敵をずいぶんと気に入っているらしい。獅子の魅力とやらを一体何度語られたか、数えようと思うとつい遠い目をしてしまいそうになる。
魔女と獅子は対立する立場であり、本来殺し合ってしかるべきなのだが、魔女にはさっさと獅子を殺してしまうつもりはないらしい。時間を止めて矢を心の臓に突き立てる、たったそれだけのことも実行しようとしない。
一体、惑わせたいのか見守りたいのか傷つけたいのか。魔女と同軍に属する暗闇の雲には、獅子に愛情にも似た感情を向ける魔女を理解は出来なくても、責めるつもりも毛頭なかった。観察していて面白ければそれでいい、という傍観者ともいえる位置にあろうとしていることを、暗闇の雲は自覚している。
そこまで溺愛するのなら誘拐でもしてこればいいのではないか、と物騒なアドバイスをしたこともあったが、魔女はそれを拒否した。曰く、連れてきたら連れてきたで自分が暴走しかねないとのことだが、その暴走が具体的にどういったことを指すのかは、よく分からなかった。

「魅力、か…」

ぽつりと呟いた暗闇の雲に、アルティミシアはどこか表情を輝かせたように見えた。そうしていればもう少し若く見える気もするのだが、とは胸の内にしまっておく。

「アルティミシア、お主はよく獅子が可愛い可愛いと言っておるが」
「ええ、ええ! あの子を見ていると色々とくすぐられるのですよ」

くすぐったい箇所でもあるのか、と問えば母性本能だと返されたのは前の話。

「獅子のどこが可愛いと感じるのだ?」
「…! 分かりませんか…?」

そうですか、と肩を落としてあからさまに落胆されると、なんとなく罪悪感を覚えてしまうのは、話し相手を務めてもらっているよしみだろうか。獅子への惚気(という言い方が正しいかは分からない)で耳にタコが出来ているとはいえ。

「ならば、観察でもしてきたら如何です」
「観察? …おぉ!」

そういえばそうだった、なぜ忘れていたのか。疑問に思うくらいなら自分の目で確かめればいいのだ、百聞は一見に如かずともよく言うし。
そう手を叩いて、思い立ったが吉日とばかりに消えて行ってしまった暗闇の雲を見送り、アルティミシアはやれやれと溜め息を吐いた。一方で、その艶やかな唇に溜め息には似つかわしくない歪んだ笑みが浮かんでいるのは、暗闇の雲が愛しい宿敵に何をしでかしてくれるのかが、楽しみであるから。さて、どんな風に困らせてくれるやら。
本人が主張しようが何だろうが、他の者から見ればアルティミシアのそれは、母性とはとても言い難いものなのだが、どちらにせよ彼女の宿敵からすれば迷惑極まりないものなのだった。





ふよふよと空を泳ぎながら、暗闇の雲が見付けたのは強すぎるほどの光の気配。ただ、ある一定の世界からはかの女神の加護によって侵入を拒まれ、それと同時に戦士たちが聖域に集っていることを悟った。
どうしたものか、と考える。カオス自身によって、その玉座が自分たちの記憶から生まれた世界に護り隠されているように、聖域もまた護られているのだ。
お目当てが出てくるまで待つか、今回は諦めるか。とはいえ、ここまで来たのは退屈を紛らわすためでもあり、また戻って暇を持て余すよりは、いわゆる出待ちでもしていた方がましかもしれない。
そう思い至った暗闇の雲は、先日の観察対象だった少年と少女が木の実を採取していった世界で、腰を落ちつけることにした。

暗闇の雲が誰にも知られることのないまま行動を起こしている間、秩序の聖域では彼女曰くのお目当てが仲間の輪から離れようとしていた。

「スコール、どこへ行く?」

呼びとめられて、スコールは苦い顔をしながらも足を止めた。かけられた声を聞きつけてか、他の仲間たちの視線までが一挙に集められたのを感じる。また面倒なやつに見咎められたものだ。そう口には出さなかったものの溜め息は禁じえず、仕方なしに振り返ろうとしたところで、突然襲ってきた衝撃につんのめった。こんなことをしてくるのは、と見当をつけながら振り返れば、肩と腰に取り付いてきていたのは予想通りかついつもの二人で。圧し掛かってきたバッツの肩越しには、声をかけてきた張本人の勇者が見える。
この二人からのスキンシップには慣れてきたものの、だからといって二人の重さが変わるはずもない。許容外の衝撃と重量に息を詰まらせたスコールは、勇者に呼びとめられた時以上の苦い顔で、妙に楽しげな二人を睨みつけた。

「っ、重い!」
「おれも連れてってくれるなら退く!」
「オレもオレも!」

なんだよそれ、と文句付けても加減してくれる様子はない。
じたばたと二人の下でもがくスコールを見かねてか、相変わらずの無表情で勇者がバッツを、呆れたような表情でクラウドがジタンを掴み上げた。その、掴んだ場所が首根っこだったために、首の締まった二人の喉から“ぐえ”とカエルの潰れたような声が漏れる。第二陣として飛びかかるつもりだったティーダが、実行しなくてよかったと引き攣った顔で呟いたのを聞いて、セシルは思わず苦笑した。

「それで、どこに行くつもりだったんだ?」

解放されて服の土埃を払っていたスコールに、フリオニールからの疑問が投げられる。それで逸れかけていた話題が自分に戻されてしまったのを悟り、スコールは再び苦い顔をした。

「別に…素材を集めに行くだけだ」
「一人で、かい?」

普段温厚なセシルに咎めを含めた声音で言い当てられ、黙りこくってしまう。ここでの沈黙は肯定に等しく、そうでなくてもスコールがひとりで離れるつもりだったのは、仲間全員が分かっていたことだった。
一斉に反対の視線が向けられた先で、スコールは困ったように目を泳がせた。
素材集めというのは建前で、その実ただ単に少しひとりでいたくなっただけなのだ。以前のように仲間を疎んでのことではないのだが、やたらと気に掛けられるのが、少しだけ息苦しかった。
賑やかし組の少々度を超えたスキンシップ、勇者の過保護気味な小言、打ち解けようと話しかけてくるフリオニール、親近感でも持たれているのかちらちらと向けられるクラウドの視線。眠る時や夜の見張り時以外の四六時中、この内のどれかに遭わせられていては、元々静けさを好むスコールの息も詰まると言うもの。果たして“秩序”の戦士であるだけに仲間意識の強すぎる者ばかりが集まってしまったのか、元の世界の記憶が曖昧なスコールには分からないが。もしくは、問題児ほど可愛いというやつだろうか。
しかし、それを窮屈に思うことこそありながら、口にしてしまうつもりはスコールにはもう無かった。だからこそ、こうして言葉に詰まってしまっている訳で。

「…それなら、最低でも二人で行って欲しい。敵方に大きな動きはないが、警戒を怠るべきではない。そうだろう?」

勇者から心配を滲ませた正論を言われてしまえば、何も言えなくなる。
それが苦しいというのに、どうして気付いてくれないのか。八つ当たりするような心地のまま、泳がせていた視線を地面へと落として俯いてしまったスコールの耳には、勇者のそれと似た声音の同意が入ってくる。

「んじゃあオレ、ついてくっスよ!」
「あっティーダずりぃ! 先に誘ったのはおれだぞ!」

ふてくされかけるスコールの心境に反して、はいはいと明るく挙手したティーダに続き、バッツとジタンが改めて同行を申し出てくる。お前ら遊びたいだけだろ、とスコールは内心でつっこむが、あくまで内心でのため当然伝わるはずもなく三人は盛り上がっていく。このまま放っておけば、“四人で行こう”くらいは言い出しそうだ。
フリオニールは止めようか迷っているように見え、クラウドは無言で視線を遣ってくる。考え込んでいる勇者やセシルは、誰を同行させるべきか考えているといったところだろうか。いっそこちらが指定してしまえばいいのだろうが、そもそも誰かの同行自体が希望の範囲外であって、そんなスコールに同行者の指定など出来るはずもなかった。とりあえず騒がしいそこの三人は勘弁して欲しいとは思いつつ、口にすれば猛反発されそうなので止めておく。
大げさなことになってしまった気がする。こんなことなら、抜け出そうなどと思わなければよかったかもしれない。やれやれと諦めの溜め息を吐いたところで、服を遠慮がちに引かれた。

「…あのさ、僕とティナが一緒じゃダメかな?」
「え?」

オニオンからの意外な申し出に、スコールは訝しむことも忘れて聞き返す。不思議に思ったのは他の仲間も同じようで、言葉の続きを待ってオニオンとティナへ視線が集まった。

「昨日僕たちが食べ物採りに行った世界なんだけど、もっと先に行ってみようってティナと話してたんだ」
「うん。でも知らない世界みたいだったから、二人だけじゃ危ないかもって…」
「素材集めなら探索がてら出来るよね?」

だから、どう? とこの二人に揃って期待の目を向けられては、さすがのスコールも無下には出来ない。
とはいえ、他の仲間たちに比べて遠慮があるのか過干渉まではしてこない二人は、この場合はスコールにとって一番の妥協点でもある。単独行動のみに反対していた勇者やセシルにとって問題は解消され、賑やか組もオニオンやティナが相手ならば諦めるだろうし、よく分からないフリオニールやクラウドも何も言わないと思われる。
これは受けておいた方が得策だろうか、なにより、この話を引っ張るのも面倒くさい。逡巡していたスコールがようやく頷けば、二人は安堵したように笑顔を浮かべた。

「ほんと? ありがとう!」
「足引っ張っちゃうかもしれないけど、よろしくね」
「…ああ」

頼もしいとばかりに笑ってくれた二人を見て、打算的な考えで受けたのが途端に申し訳なくなったスコールは内心で詫びた。









続きます




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