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遅くなりましたがcats and cats続きの続き
いかんせんオチが思い付かず…というか、続きものの放置率がひどい件…
オニ→ティナ要素があってちょっとバッツとティーダの扱いが悪いです








「うわぁ、ホントに耳としっぽ生えてら!」
「ふ、ふかふか…っ」

バッツとティーダは目に抑えきれぬ好奇心を湛えながら笑い、その隣ではティナが目を輝かせる。お騒がせ組のふたりが、見ているだけでは当然収まるはずもなく、スコールとジタンを追いかけ回すのは時間の問題だった。
普段の性格が幸いして、触らせろと迫られずに済んだ勇者には、物珍しそうなオニオンとフリオニールが説明を求めていた。

「ケフカとクジャの策略だったそうだ」
「えっ! そ、それ、大丈夫なんですか…?」
「あと数時間ほどでなくなるらしい」

まったく困っていないような口ぶりではっきりとそう言った勇者に、なら良いのだけれど、とふたりは少々複雑ながらも安心することにしたらしい。そうして会話が途切れれば、どうしても耳と尻尾に視線がいってしまう。
歳若さゆえの幼顔で小柄なジタンと、細身で比較的中性的な容姿をしたスコールはともかく、長身でゴツい勇者にも耳と尻尾が意外と似合ってしまっているのが、どこかおかしい。目つきが悪いとはいえ相貌は整っているのだから、当然なのかもしれないが。そして敵の気配もない以上、目許が緩んでさえいれば、ウサギの耳すら似合ってしまうのかもしれない。
そう、勇者にウサギの耳と尻尾が着いている姿をうっかり想像して、その妙なかわいらしさに笑いだしてしまいそうなのをどうにか耐えつつ、オニオンは不意に勇者の背後に忍び寄る影を認めた。

「あ、あのっ! その耳としっぽ、触ってもいい…?」
「ティナっ!?」

自らを奮い立たせたのだと分かる、緊張した面持ちで勇者に問う影の正体ティナに、オニオンが思わず声を上げる。ジタンとスコールはバッツとティーダに絡まれていて、残るは勇者のみなのだが、バッツとティーダですら避けた勇者に頼むとは、問われた勇者自身も思っていなかったらしい。
少しだけ戸惑ったように瞬いてから、「…構わないが、尾は止めてくれるか」と条件付きで頷いた勇者に、ティナが喜色を浮かべる。その様子に慌てたのが一人、否、一匹。

「えーい放せっ!! てぃ、ティナちゃん、オレならしっぽも好きなだけ触っていいぜ!?」
「え?」
「…必死だな」

バッツとティーダを押しのけ、素早くティナに駆け寄ったジタンに、ぼそりと呟いたのはクラウド。そう申し出られても勇者に頼んだ手前、困ってしまったのか眉尻を下げてしまったティナを見かねてか、勇者が口を開く。

「そうだな、ジタンのものを触らせてもらったらいい。オニオンも、それでいいだろう?」
「えっ!? ぼ、僕は別に…」

先程から複雑な顔で勇者やジタンを見つめていたオニオンが、話を振られてあからさまに狼狽する。それに気付いているのかいないのか、勇者の言葉に安堵したように頷いたティナは、念願叶ったとばかりにジタンの耳をふかふかし始めた。触られているジタンも、相手が女の子だという理由だけでずいぶん至福そうで、オニオンを除いた仲間はその光景に頬を緩ませた。
一方で、スコールは未だバッツとティーダに絡まれたまま、ふたりの下でもがいていた。やっとそちらに向いた勇者の視線と、無意識か縋るようなスコールの視線がかち合う。スコールにそんな目をされて、勇者が動かないはずもなく。やや足早に塊へ向かい、問答無用でバッツとティーダをつまみ上げた。重しがなくなり、スコールが息を吐く。

「ふたりとも、そろそろ止めなさい」
「えー、まだ触り足りないっス! どうせウォルはたっくさん触ったんだろー!」
「なっ…!」
「ばっか、おれたちが触ってるのに嫉妬したんだよ、嫉妬!」

ティーダの文句に頬を赤らめてうろたえるスコールを見て、バッツがわざとらしく声を張り上げる。それはスコールのみならず勇者をも戸惑わせたようで、僅かに緩んだ手からふたりが抜け出した。ひたすら弄られ、その上からかわれて、さすがに腹が立ったのか尾を逆立たせるスコールに構わず、その両腕をそれぞれが捕まえる。何を、と抵抗するより先に、怒れる猫の体は銀髪の猫へと押し付けられた。

「まぁいっぱい触ったし、ウォルに消毒してもらえって! あ、腰のやつは捲ってないから安心しろよな」
「消毒って、お前……」
「怪我でもしたのか?」
「っ…!」

バッツの言に顔を顰めるスコールに、バッツとティーダはにやにやと笑うばかり。なのに、危なげなくスコールを受け止めたままの勇者といえば、心配の色を滲ませて覗き込んでくるものだから、見当違いにも程がある言葉も忘れて、スコールは頬を熱くしてしまう。
その様子に、更にからかうネタが出来たとバッツとティーダが身を乗り出した、その時。

「もうっ! いい加減にしたらどうなのさ!」

ファイガが一閃、調子に乗っていたふたりが見事に吹き飛ばされる。ふたりの傍にいながら無傷であった勇者とスコールが、呆気にとられたように瞬いたところで、ファイガを放った張本人であるオニオンが不機嫌そのものの顔でやってきた。

「ここにいたらまたあいつらに絡まれるし、耳としっぽが無くなるまで中にいた方がいいよ」
「…そのようだな。戻ろう、スコール」

不機嫌さはあくまで勇者とスコールに向けたものではないと、分かる声音で提案してくるオニオンに、勇者は生真面目に頷いてからスコールの腕を引いて屋敷へと歩き出した。弄られずに済むならば、と提案に異論こそなかったものの、どこか強引さを感じる力で腕を引かれることだけが、スコールには不思議だった。

「オニオンのあれって……」
「うん、八つ当たりだね」

苦笑したセシルの視線の先では、幸せそうなジタンとティナの姿がある。他の者には微笑ましくも、勇者にすらバレてしまうようなティナへの想いを抱えているオニオンにとっては、面白くない光景でしかないのだろう。しかし、子供らしくやきもちを焼くオニオン自身も、また微笑ましく思えてしまう。
八つ当たりされたバッツとティーダには悪いけどね、とセシルは柔らかな表情の裏で、そうふたりに詫びた。



「それで、怪我はしていないのか」

腕を引かれたまま勇者の部屋へと連れ込まれ、緩く抱き締められて、頬を撫でられながら聞かされたのは、そんな質問だった。強い力ではないのが、纏ったままの鎧のせいなのか質問をするためだったのか、怪我をしていると勘違いされているせいなのか、思い当たる理由はいくつもあるのに、なぜか面白くないと思ってしまう。
無意識に軽く頬を膨らませながら、スコールは首を振った。

「……してない。そもそもあいつらの言ってた消毒って、そんな意味じゃない」
「では、どういう意味なのだ?」

そう答えれば疑問が返ってくるのは当然だろうに、うっかり失念していた。そういうことには鈍いと称されているのに、今回は意味を分かってしまった自分を恨みつつ、スコールはどう答えようか視線を彷徨わせる。その間にも、薄氷の双眸はじっと見つめてくる。いつも強い光を孕んだ目は、今でもまっすぐ貫いてくるようで、スコールにとっては愛しくも怖くもある眼光なのに、そこで頭に着いた猫耳を見てしまうと、そのギャップの酷さに笑ってしまいそうになる。
まぁ、いいか。そんな諦めたような心地で、溜め息を小さく吐いてから、スコールは泳がせていた視線を勇者のものに合わせた。

「あいつらが触った分、耳もしっぽも、あんただったら好きなようにしてくれていい…から」

だから、もっとちゃんと抱き締めて欲しい。
そう胸元の角飾りに指を掛けながら身を寄せてきたスコールに、勇者は珍しく目を見開いてから、そっと細めて嬉しそうに微笑むと、懐いてくる猫の髪を撫でた。震える耳に口付けが落ちてから、やっと腕の力を強めてくれたのにおおよそ満足してから、スコールは冷たくて温かい首元に擦り寄った。
結局勇者の方が物足りないと鎧を外すのにあと数分、そして耳と尻尾が消えるまであと数時間……のはずが、夕食時になっても残っていたのは、今は知る由もないことだった。









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オチついたと思いたい 猫耳が生かしきれてるのかどうか
ちなみにジタティナじゃないですよ

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