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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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長編パロディ、設定はこちら

忘れてたわけじゃない、が書いてなかったのも事実ですオウフ
話は全然進んでませんが次の加筆で進…んだらいいなぁ

あ、あとらくがきカテゴリが100記事いきましたわぁい
ウォルスコSSSカテゴリも100まで@7か 会話文もあるから正式?な数じゃないですけどね
たぶん今までほど量は書けないと思うので、せめて質にシフトできたらなぁと思います
最近ブログの改装がしたくて仕方がないです









「…ただいま」
「おかえり、スコール」

日がほとんど沈んだ頃、買い求めた塩を手に帰ってきたスコールを出迎えたのはルーネスだった。それ自体はさして珍しいことではないのだが、結果的に望みを叶えられなかったスコールにとって、澄ました目にわずかに期待の色を見せるルーネスとは少し顔が合わせ辛い。

「フリオニールが塩はまだかって待ってるよ」
「ああ、持っていく。あと、刃は獲れなかった」

悪かった、と目を伏せたスコールに、ルーネスは驚いたように瞠目した。ルーネスのそれは、スコールの腕で獲り逃したのか? という戸惑いによるものだったが、スコールは気付いていない。

「何かあったの?」
「…大量発生だ。それのせいで、元々のモンスターが逃げ出していた」
「また、か。最近多いよね……まぁ、とりあえずご飯食べようよ」
「そうだな…」

オチューの大量発生は自分のせいではないが、純粋な驚愕だけを見せたルーネスに密かに安堵しながら、スコールはやっと家の中へ上がった。そこでふと、ライトのことを思い出した。
彼の、彼らのことだから掃討は間違いなく成功しているだろうが、心配くらいはしてもいいだろう。フリオニールに塩を渡し、礼をどこか遠くで聞きながらそんなことを考える。それに自分で疑問を覚えたのは、片付けのために自室に戻った時だった。

(…心配? 俺が、あいつらを?)

彼らは有翼人なのに。とはいえ、彼らが種族を越えた仲となって久しいので、思うのは偏見ではなく純粋な力量の差でしかない。G.Fなしには魔法も使えないただの人間である自分と、騎士団に所属する有翼人では、能力に差があって当然なのだ。だからスコールは、自分が彼らを心配など必要のないことだと思い直し、更に一種のおこがましさすら感じていた。
特に、ライトは物理攻撃隊の隊長である。有翼人でも魔力は非常に低いとのことだが、彼にはそれを補って余りある剣術がある。普通は防御用だろう盾ですらぶん回して攻撃に使ってしまうのだから、その力量たるや、戦闘の指南など受けたことのない自分と比べるべくもあるまい。
そんな、彼らにしてみれば矮小な人間である自分の何が気に入ったのか、ライトは自分を守ろうとすらするし、バッツとジタンも屈託なく接してくる。なにか裏にあるのかと疑うことも、いつの間にか止めていた。
いつの間にかと言えるほど、彼らとの接触は過去のことになる。シヴァを解放したペンダントを指先で撫でながら、スコールの思考はそこまで遡っていた。

―――記憶は、本当に唐突で。
仕事で向かった荒野で赤いドラゴンと対峙した際、バハムートを解放するか否かまで追いつめられた。その瀬戸際で、薄青い羽の有翼人が突如立ちはだかってはドラゴンを見事に討ち果たしたのだが、その時自分は、彼を確かに「ライト」と呼んでいた。その時点では彼と知り合っていたようだが、それより以前にライトと会った覚えはない。
あるとしたら、時折夢に見る白い羽くらいのものだろうが…それだけでは何の情報にもなりはしない。そもそも、夢にある羽に青味は見当たらないのだから、ライトのものかどうかも分からないのだ。かといって、他に思い当たるものもないのだが。
覚えている限りで最も古い接触から今までに経った月日は、半年ほどだろうか。半年前といえば、ちょうど魔物の異常発生が見られ始めた時期でもある。当時は予想もしていなかった妙な縁を、彼らと持ってしまった今更になって、忘れ去った記憶がもどかしくなってきた。過去の記憶などに拘りはないつもりだが、バッツとジタンはともかく、自分を守ろうとするライトの行動の理由は気になって仕方がない。力のためにと捨てた記憶が、ライトの語らぬ理由と繋がっているかもしれないと思えば、思い出したいと考えるのも当然だろう。
でも、どうやって?

「スコール、もうみんな食べてるぞ?」
「! 今行く」

ドアの向こうからかかったフリオニールの声にはっとする。うっかり思案に耽ってしまったが、まだ夕食も食べていなかったのだ。
スコールは慌ててフリオニールに返答してから、ずっとなぞっていたペンダントからようやく手を離した。G.Fを宿さぬ媒体は、黙って机に転がった。





「あーあ、日が沈んじゃうぜ」
「仕方ないさ。まさかオチューがこんなにいたなんてなぁ」

沈む太陽を眺めながら短剣をしまうジタンの苦々しいぼやきに、バッツが苦笑する。先に部下を撤収させたライトが、最後の見回りを終えて戻ってくるまでの時間は、ふたりにとって退屈なものであり、達成感に満たされた心地良いものでもあった。もちろん先に帰る選択肢もあるのだが、特別ライトを気に入っているふたりがそれを選ぶことは、最近ではほとんど無い。

「と、お、戻ってきたな。掃討終了?」
「ああ。もう残っていない」
「おつかれさん。よっしゃ帰るぜー!」

労いもそこそこに、ジタンは腰かけていた木の枝から飛び降り…はせず、そのまま宙に浮かび上がった。それに並ぶようにバッツと、水晶柱を手にしたライトが続き、三人は転送装置へ向けて森を後にする。

「…スコールは無事に帰っただろうか」

ぽつり、ライトの口から落ちた言葉にバッツとジタンは顔を見合わせ、ふたりして口元を抑えた。肩を震わせる様子からして、どうやら笑っているようだが、ライトには笑われる理由が思い当たらない。きょとん、とばかりに見つめてくる上司にもう一度噴き出してから、やっと口元から手を離したのはバッツで。

「スコールに会った日はいつもそう言うよな、ライト。何回聞いたか分かんないくらいだぞ」
「そうだろうか」
「そうそう! ほんとお熱だよな」
「いや、体調は問題ないと…」

はいはい、と呆れた表情を作ったジタンが騎士服に戻っていたライトの肩を叩く。いっそ本当に熱でも出した方が逆に自覚出来るのではないかとは、密かに思うところ。
同じ親愛の情でも、どこまでなのかはさすがのジタンでも推測の域を出ていないので、“お熱”なんて揶揄しつつも下手なことは言うまいとしているが。ライトがスコールを護るべき対象としていることは見ての通りだが、そこにどこまでの感情が介在しているのか、こればかりはライト自身から聞きでもしない限り断定はできない。
ジタンもバッツも、スコールを敵対する種族として見ることはとうに止めてしまったが、それにはライトの存在が大きな一因でもあった。ライトがいなければスコールもただの人間でしかなかったし、スコールにとっても自分たちはただの有翼人でしかなかっただろう。何かしらの要因がライトにあったのかは分からないが、無かったとしたら、一体どんな理由があってスコールを特別視しているのだろうか。
まぁ、理由を聞きだすのは出過ぎな気もするし、気になるのはどちらかといえば感情の方であるが。

(いや、本人でも分かってないってのも…十分あり得る、ライトならあり得る)

生真面目、堅物、そして鈍感と揃ってるもんなぁ。
ついつい呆れ混じりの視線をライトへ向けながら、ジタンがそんなことをしみじみと考えていたのを知ってから知らずか。ライトとバッツが辿り着いていた転送装置をさっさと起動させていたおかげで、危うくジタンは置いていかれそうになっていた。

一瞬の浮遊感の後には、見慣れた白い壁があった。宿舎に戻るというバッツとジタンと別れ、ライトはそのままの体でふたりとは別の方向へと足を進める。
廊下は数人が歩いているばかりで、オチューの大量発生を伝えにきた男のような、慌ただしく動く様子もないのを見れば、今のところは急を要する事態も無いようだ。後はいつも通り報告を終えるだけで、この件への関与は断たれる――はずだった。

「ルフェイン騎士団物理攻撃部隊第一隊隊長ライト、戻りました」
「相変わらず堅苦しいな」

入ってきたライトに早速と呆れたような苦笑を浮かべたのは、奇襲部隊第四隊の隊長を務めるカイン。大隊長を中心に他の隊の隊長があらかた揃っているのを見て、ライトは面に出さずに戸惑った。一同(よりは少ないが)が会す場面などそうそう無いこと、となれば、何かあったと考えるのが自然だろう。もしくは、何かしらの通達でもあるのか。
大隊長の視線が手にした紙面から上がり、ライトへ向けられた。

「対象はオチュー、トーシュの森全域に生息。個体数はおよそ五十、すべて掃討しました。被害は負傷が数名です」
「そうか。何か、変わったところはあったか?」
「変わったところ?」

一度反芻してから、これまでに対峙してきたものと比べて違いがあったか否かを問うているのだと気付き、すぐに「いいえ」と答えた。
オチューは特別生息地が多いわけでもなく群れる種族でもないため、大量発生が起こるという事態が既に異常なのだが、それでいて個体そのものは普通のオチューに変わりなかった。それは、今までに起きた大量発生で共通していたことだ。
なのに、そう訊ねられるということは。

「今日のことだ。パラボカの北の森でグールが発見された。手に負えんとかで、そこの人間どもがこちらに泣きついてきたのだ」
「グール? しかし、それなら人間でも十分…」
「どうやら、今までとは勝手が違うらしいな。斬っても突いても再生するのだと…所詮人間の弁だがな」

森林浴に出た人間の男が無惨に食い散らかされた状態で発見されたのは、今朝のことだった。グールの存在はすぐに判明し、早速とパラボカの自衛団が向かったところ、数こそ大量発生というには少ないものの、掃討を終える前に団の半数が屠られたらしい。
その森は人間の領分であり、本来有翼人が手出しすることはない。しかし、様子見に向かっていた有翼人が人間の劣勢と見るや、町長に交渉したのだ。
人間の首都でもあり、武力の集中したコーネリアに応援を頼むには、パラボカは遠すぎ、グールは近すぎた。近年の海賊被害ですっかり参っていた町長は、交換条件もロクに確認せず交渉を受けてしまった。
こちらの提示した交換条件とは、件の森の譲与。すぐ傍にグールを置くのも有翼人を潜ませるのも、人間にしてみれば等しく(あるいは余計に)危険だろうに、哀れなものだ。
経緯を嘲笑混じりに語った大隊長は口元を戻すと、一度隊長らを見回してから再び口を開いた。

「さて。この些か異様なグールの討伐、誰が向かう」

もう一度ぐるりと巡った大隊長の視線が、ひとり…ライトの上で一瞬止まった。意味有りげなそれを何の感慨も無く受けたライトが、「では、」と申し出ようとしたところで、カインに彼の声で以て遮られた。

「愚鈍(のろま)なグールが相手なら、私が行こう。すぐに出発する」
「…そうか。ああ、いくつか捕らえておくのを忘れるなよ。研究員に引き渡さねばならんからな」
「承知している」

カインの返答を最後に、とりあえずの解散の号令と共に集まった者は散り散りに部屋を出て行く。留まる理由のないライトも合わせて出たところで、追いついてきたカインが苦笑混じりに話し掛けてきた。

「相変わらず嫌われているな、お前は」
「そうなのか?」
「まぁ、下手に手を出せば返り討ちは必須だ。それが余計に腹立たしいのだろう」

もっとも、大隊長にとって“一番”腹立たしいのは、肝心のライトに嫌がらせがことごとく通じていないということなのだろうが、と苦笑のままカインは思う。ライトの場合、素で気付いていない可能性もある。実際、先程も帰還したばかりのライトに次の任務を押しつけようとしたところで、ライトといえば平気な顔で受諾しようとしていたのだ。
だからといってライトに自覚を促すにはものがものであるし、いくら無意識とはいえ、あまり上司の不興をこうむらせるのも良くないだろう。そう思ってのカインの行動だった。

「では、行ってくる。お前は休息でも取っておくんだな」

言うや否や風のように駆け抜けてしまった同僚を見送り、ライトは息を吐いた。それが予想外に重く聞こえて、数度瞬く。疲弊したつもりはなかったが、知らず溜めこんでいたのだろうか。カインの言葉はこれを見抜いてのものなのか、今となっては分からないが、今回は素直に受け取っておくべきだろう。
そう判断したライトは、一度は外へ向けていた歩みを宿舎へと変えた。
静かだった廊下には、今朝ライトが出て行ったばかりのものに似た喧騒が戻り始めていた。









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理由が気になるスコールと感情が気になるじたんぬ
というかバッツとジタン、思ったより出てくる…設定に追加すべきかもしれない
カインさんは012からしてウォルさんの戦友ってイメージがある あ、大隊長にはモデルいませんよ

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