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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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色々立て込んでましたがいくつか片付いてちょっと心的余裕が出てきました なんとかなるもんだ…社会じゃ通用しないんだろうけど

閑話休題、5万打フリリクその3はパームさまリクの『WOLスコで眠れない夜の話』になります
もっと早く完成させたかったですが…でもなんとか5月中に書き上がって一安心、かと思えばスコールの乙女度が数割増しになりましてもう本当すいませんオウフ いやまぁ乙男なのはいつものことですg
ちなみに恋人になって間も無い頃です あ、あと似たテーマのSSS(coincidence time at night)がありますが繋がってませんです
よろしければ受け取ってやってくださいませ!









テントの下の真暗闇の中、目を閉じては開き、開いては閉じて、をひたすら繰り返す。目は夜闇に慣れてしまって、瞼を上げれば少し離した自分の手すら見えてしまう。一体何刻経ったのやら、それだけの時間を横たわったまま過ごしていた。
眠れない理由は分かっている。先程から、それこそテントのランプが消される前から、落ちつかない鼓動のせいだった。
―――光の戦士、ウォーリア・オブ・ライトに想いを告げられたのは、昨晩のこと。水面に張られた薄氷のような眸をまっすぐ向けてきて、“愛している”と告げられた時、まるで白昼夢でも見ているかのような心地だったことは、今のことのように思い出せる。それにどんな返事をしたのかも、容易に思い出せてしまう。
そう、あれから一日しか経っていないのだ。

(…眠れない)

よりにもよって、こんな時に限って、告白してきたその人と同じテントになってしまうなんて。他にもティーダがいるはずだったが、バッツとジタンのいるテントへ遊びに行って、未だ帰ってきていなかった。向こうで眠ってしまったのだろうと考えられるが、騒音の基がいないのは夜にはありがたくも、今に限っては非常に困る。

(運が良いのか悪いのか……いや、良いはずないだろ! どう考えても悪い、ティーダが悪い)

ティーダに八つ当たりしながら、いっそ自分もそちらに行ってしまえば良かったかと後悔してみる。いや、それでは勇者を避けていると思われてしまうかもしれない。それは本意ではないのだと、すぐに自覚できる。かといってひとつテントの下、勇者とふたりきりになってしまっては落ちついていられるはずもない。
こんな、世界で。終わらぬ闘争と先の見えない不安以外で、眠れなくなる夜があるとは思わなかった。ただひとりの静かな寝息に容易く心乱されるとは、少し離れた体温が恋しくて恐ろしいものになるとは。
自嘲の思いで小さく溜め息を吐いて、ごろりと寝返りをうつ。おおよそ無意識だったそれのために、視界に入ったのは。

「やはり、起きていたのだな」

声と紛わぬわずかに苦笑を浮かべた顔が暗がりの先にあって、思わず肩が強張る。

「別に……たまたまだ」

“やはり”という物言いに、間近の存在の所為で眠れないというこちらの心境をすべて見透かされていたと思い、口を吐いて出た言い訳はそれを前提にしたものだった。しかし、本当は勇者がさほど把握していなかった場合、付け加えた言い訳は彼に変な疑問を与えるだけのものになる。それに気付いたのは言ってしまってからで、一瞬空いた間に、勇者を戸惑わせたことにも気付いてしまった。

「眠れない理由でもあるのか? あるいは、体調が優れないならば、」
「ち、違う!」

心配を双眸に浮かべて、上体だけ起こした勇者の腕を慌てて掴む。余計な心配をかけたくない以上、眠れない理由はあっても体調は関与していないのだとはっきり言っておかねば。

「なんとなく、眠れなかっただけだ」
「なるほど。つまり、私と同じというわけだな」
「え?」

納得したような勇者の言葉に頷こうとして、戸惑いの声が漏れる。どういうことなのか考えようとしている間に、彼の腕を掴んでいた腕を逆に掴まれて、中途半端に支えていた上体が起こされた。
訝しみながら見上げる先で、彼がこちらを窺い見るように小首を傾げた。

「眠れないのなら、少し歩こうか」

え、と再度戸惑う間もなく、立ち上がった彼に引き摺られるかたちで腕を引かれ、尻が浮く。有無を言わせぬ強引さで立ち上がらせておきながらも、引っ張られた腕が痛むことはなく、こちらを見る双眸は細められ、わずかに口端を上げているようにも見えた。
引かれるままにテントを出たのは、流されたでもなく、絆されたでもなく、後になって思えば自分がそうしたかったからに他ならない。ただし、拒否を口にしなければ、頷くこともできていなかったのだが。



星が瞬く空の下は、テントの中よりもずっと明るかった。
見張りであったフリオニールとセシルに声を掛けると、敵の気配もないからと快く散歩の了承は得られたものの、彼らから離れる背中に不思議そうな視線が刺さった。無理もない、と思う。勇者と連れ立って歩くなど、自分にとっても奇妙なのだから。
黙したまま歩いて辿り着いた、ベースから少し離れた場所は変わらず森の中だが、白い瓦礫が位置も大きさもまばらに鎮座していた。崩壊し野晒しにされながらも、遺跡だったのだろうとは容易に見当がつく。ただ、残骸はまた別の場所(世界)でも何度か見かけたが、どれもこれも同じように風化していたものだから、どんな遺跡だったのか、誰の世界のものだったのかは分からずじまいだった。

「いつ見ても、不思議な場所だな」
「…そうだな」

己の胸辺りで砕けている柱に手を掛け、呟く勇者に同意する。廃墟に対して退廃的な美を感じるような性質ではないが、この場所がどこか神秘的に思えるのは、遺跡の元の姿が神殿や祠であったのかもしれない、と推測できるためばかりでもない。少し顔を上げれば星の海があること、そして勇者とふたりきりで歩いているという状況が、現実味を失わせているのだ。
勇者が手を掛けているものとは別の瓦礫に触れ、その冷たさに自分がグローブはおろか、ジャケットも身に着けていなかったことを今更思い出した。改めて見れば、勇者も見慣れたものは白い腰布ばかりで、籠手なども着けていない。その割に武器だけはきちんと持ち出しているのが、この静寂にはどこまでも不似合いなのに、この世界では当たり前なのが少しだけ残念に思えた。
眠る間ですら警戒を怠れないような世界で、果たして少しでも武器を手放せる時が来るのだろうか。そうぼんやりと考えたところで、不意に髪が揺れた。一気に現実に引き戻され、鮮明に戻った視界の端に離れていく勇者の手が映った。その指は触れられたのかも曖昧なほど密やかで、勇者の表情はそれに見合う気遣わしげなものに見えた。

「眠くなったか? 強引に連れ出してしまったようなものだからな」

未だ見慣れない表情を見せられて、その上「すまない」と謝罪までされてしまったものだから、やや慌てて首を振った。

「別に…まだ、眠れそうにないから」
「…そうか。しかし、眠いのなら眠っても構わない。その時は、私が責任を持って君を連れて帰ろう」
「眠らない。だからその必要もない」

一体どんな方法で“連れて帰って”くれるのかが不安で、心なしか早口で勇者の申し出を切り捨てた。この男、真面目なのは周知の通りだが、天然の気でもあるのか時折予想だにしないことをやらかしてくれるのだ。まだ想いを交わしていない頃、足を負傷した自分を運ぶのに、有無言わさず横抱きしてきたこともあった。その時に思わず昇ってしまった頬の熱はあまり思い出したくないが、あの涼しげな顔はもう一度見上げたい気もする――もっと別の状況であれば、だが。
一度瞬いてから頷いた勇者は納得した風ではあったが、その表情がどこか不服そうな色を浮かべているのには、気付かない振りをした。その不満が生真面目さに因るものだけと思うには、昨夜告げられた勇者の想いはどこまでも真摯だった。原因を考えれば、こちらの方が恥ずかしくなってしまう。

「……あんたは余裕なんだな」
「ん?」
「いや…それより、散歩はここで終わりか?」

もたれるでもなく、残骸に手を掛けたままで足を止めている勇者に問えば、今更思い出したように「ああ」と声を漏らした。

「君がもう少し歩きたいのなら進んでもいいが、あまり離れても危険だろう。もとより、私はどこでも良かったからな。散歩というのも、眠れないのをいいことに君を連れ出すための建前のようなものだ」

夜の閑散とした静寂によく似合う無表情で、細い風に乗る涼やかな声で、しかし饒舌に語られた顛末に呆気に取られる。悪びれる様子もなく、いっそ清々しいほどあっさりと思惑を明かされては、詰る気にもなれない。

「いや、連れ出すというよりは、私が君とふたりきりになりたかっただけなのだが」
「…っ、だったら、別にあのテントでも」
「あそこでは暗過ぎて君がよく見えないだろう」

うぐ、と言葉に詰まる。とはいっても反論に困ったからではなく、勇者があまりにはっきりと己の心の内を口にするものだから、呆れとそれ以上の羞恥が容赦なく喉を詰まらせたのだ。
胸に留めることを知らないのか、思うことを言葉にするリスクを考えはしないのか。恐れはないのだろうか。敢えて明け透けな言葉でこちらを戸惑わせて愉しむ趣味はないだろうから、まさしくそれが彼の気性なのだろう。ただ、無神経というわけではないとは、自分がよく分かっている。
空が紺碧に染まっていても、星がいくら眩しく輝いていても、風に揺れた前髪が目に掛かっても、薄氷の双眸は自分を射抜いて放さない。つい視線を逸らして蒼色の白い瓦礫へ逃がしてしまうのは、まっすぐすぎる視線が痛くて、そして鼓動が跳ねるのを悟られたくなかったから。
勇者が黙しているのは、言葉を待っているからなのだろうか。しかし、今の自分ではとても言葉を返せそうにない。この先勇者と共に過ごす時間が増えたなら、もう少しは余裕が生まれるのかもしれない。それでも勇者は今のまま、己ばかり平気な顔で振り回してくれるのだろう。自分には、勇者を上回るどころか並ぶほどの余裕すら、手に入れられそうにない。
それにやりきれなさを感じて、ぎゅ、とシャツの上から片腕を掴む。無意識だった仕草は、夜にあっては勇者を勘違いさせたらしい。

「寒いのか」

はっとして視線を戻す間に、違うと否定する前に、一歩分だけ開いていた勇者との距離が縮められていた。あ、と思った時には白磁の面が目の前にあって、大きな手が片方は肩を掴み、もう片方は頬に触れてくる寸前だった。労わるように撫でてくる手に知らず冷えていた頬が温められて、その手よりも熱くなるのを自覚する。
思わず体を引いてしまい、しまったと思うも勇者に気にした風はない。それどころか、顔を熱くしたのをどんな勘違いをしたのか、

「少し、熱があるか?」

などと呟きながら覗き込んでくる始末。今度こそは違うと首を振って、頬の手を離させる。それでも肩はそのままなものだから、平静を取り戻すのに十分な距離は取れそうにない。そうこうしている内に額の指に熱を測られて、体調を崩したわけではないらしいと勝手に納得されていた。
本当に、彼ばかりが。こちらは口すらまともに利けなくて、いちいち鼓動を跳ねさせて、体を強張らせて、それなのに彼ばかりがいつも通りでいる。
それに苛立ちを覚え、かといって彼を責められるはずもなく、とすれば、自己嫌悪に陥るほかない。
勇者のように平静でいられれば、向けてくれる慈しみにも応えられるだろうに。頬の手を離させることもなかった。返すどころか心配ばかりさせているのだから。考えれば考えるほど自虐へ向かい、それに従って俯いていく視界は、勇者の白い腰布の先を映すまでに至った。

「スコール…?」

心配をより濃く滲ませた声音が耳に入り、呼吸が一瞬止まった。面を上げれば、声音と紛うことのない色を滲ませた薄氷があった。
俺のせいだ。知らず息を止めながら、頭の中の声を聞いた。何も言えないから、何も返せないから。
“ふたりきりになりたかった”と言われて、自分は何を思ったか。率直な物言いに呆れはしたが、照れもした、ということは、嬉しかったのではないか? それを、何らかのかたちで示したか?
わずかに戦慄く唇で、やっと出した声は掠れていた。

「…俺はとんだ臆病者だったらしい」
「臆病者?」

怪訝そうに小首を傾けた勇者に、頷く代わりに一度視線を外してから、ゆっくりと戻した。
向けられる想いに、素直に喜びたかった。こんな、妬みや自己嫌悪など一切抱えずに、笑顔のひとつでも浮かべてみせたかった。そうであったら、彼にそんな顔をさせなかったろうに。
想いを告げられて腕の中へ飛び込んだ、昨日の衝動が残ったままならどれほどよかったか。さりとて、一夜越えていざ向き合えば、その光は真直すぎたのだ。それを今更思い知ったところで、どうして後に引けようか。昨日よりずっと前からとっくに腕は掴まれていたし、なによりその光に焦がれていたのも事実だった。
それでも。
温かいと、身を以て知ったけれど。まだ今は、ほんの少しだけ怖い。

「……あんたみたいな、余裕があればな。俺には…無理だ」
「余裕? …私が?」

訊き返すような確認してくるような表情は呆気に取られたようにも見えて、頷くこともできずに瞬いていれば、勇者はゆるく首を振ってから、予想だにしないことを口にしてきた。

「まさか、余裕など。君を前に、そんなものを持っていられるはずがない」
「え…?」
「どうしたら君が心安らかでいてくれるか、私と同じように、君もそうあっていてくれるのか、いつも気が気でないのだから」
「な、」
「君が臆病だと言うなら、私も似たようなものだと思うが」

「まさか」と返してやりたいものだが、この男が己を卑下するようなことを敢えて言ったとしたら、それこそまさかものだろう。
当惑しながらも、細めた目と弧を描いていた唇にうっかり見惚れている間に、手が差し出された。目の前にいるというのに、おいで、とまで囁かれて、眉根を寄せるのも忘れ手と顔を交互に見遣る。しばらく目を泳がせてから、おずおずとようやく手を掴むと、柔らかく引かれて抱き込まれた。
またも強張りそうになった背中を撫でられて、詰まっていた息が零れる。腰に留まった手に優しく退路を断たれて、それでもあまり恐ろしく思っていないのは、戸惑いが残っている所為なのだろうか。
夜風が冷たく感じる耳腔に、声が吹き込まれてくる。

「…放したくないが、君を怖がらせたくはない。だから…少しずつでは、駄目か?」
「少しずつ?」
「ああ。臆病者同士では仕方あるまい」

軽口めいていながら、柔らかく告げられる言葉に、胸で引き攣れていたものが解けていく気がした。
臆病者同士。彼も自分も同じなのだと言った。それを嘘やただの慰めだと疑う気は起きなかった。自分自身よりも、勇者が嘘を吐かないということの方が、ずっと信じるに値するのだから。彼の言葉は彼にとっての真実なのだと知っている、だからこそ恐れもしたのだ。
未だ見慣れない微笑みに絆されただけなのかもしれないが、今は、それでもいい。
そういえば、勇者は自分と同じように眠れないと言っていたが……。

「…そうだな」

少しずつ、近付いていって。いつか、眠れない夜には、その温かい腕が求められるようになれますように。その頃には、きっともう少し素直になれるだろう。
ひとつ埋まった予感に知らず安堵しながら、肩口に頬を寄せて目を閉じた。

しばらくしてからテントに帰った際、フリオニールを赤くさせてセシルを嬉しそうに微笑ませた理由が、無意識に触れ合っていた手のことだったとは、少なくとも今は知る由もなかった。そしてその夜の残りは、ふたつの毛布を少しだけ近付けて眠ったのだった。









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早い話が緊張しまくってたと…これがいつも書いてるばかっぷるになるのかと思うと、我ながらしみじみしてしまいます
スコールが臆病になった分を埋めるかの如くウォルさんがこれでもかと口説いてますが気のせいじゃないです 気付いたらこうなってました さすが光の戦士

リクエストありがとうございました!


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