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DFF中心の女性向け・腐注意ブログ
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なんとなくウォルスコSSS テーマはおはようのキス 更新してるの夜だけど
っ砂糖

それとまとめページのパロディの項目を削除してSSSとSSに混ぜました パロと明記してあるし
そして『1*8といっしょ』と『2→(1*8)もとい1←2→8』をシリーズものにしました
もしも前の方がよかったーとかあれば戻しますのでお知らせくだされば幸いですん








覚醒したものの、すぐには毛布を手放したくなかったのだ。
二度寝にだけは気を付けながら、目を閉じたままぼんやりしていると、ふと肩に風を感じた。目を開けていないため確認はしていないが、そこだけ毛布が肌蹴ているのだろう。引き寄せようか、あるいはいい加減起き上がるべきか迷っていると、テントの幕が上がる音がして、よく知った気配が近付いてきた。
それが誰のものなのかは、見なくても分かる。

「――スコール?」

予想通りのその人の潜められた声を耳に入れつつ、今更になってテントの中が静かであることに気付く。今回テントを同じくしたのはセシルとクラウドだったが、 二人とも仲間の中では早起きな上、他の者が寝こけていてもセシルは気を遣って、クラウドは我関せずとばかりに放ってくれてしまうのだ。
実際に、こうして起こしに来たのは別のテントであったはずの勇者だった。クラウド以上には早起きである自分のこと、未だ起きてこないのは珍しいと思われているのだろう。

目は閉じたまま、寝息を装って息を吐く。果たして勇者は、狸寝入りしていることに気付いているのだろうか。
おそらく太陽はそれなり高くに昇っているだろうが、テントの外は静かで、賑やかし組は未だ夢の中だろう。勇者が叩き起こそうとしないのがその証拠で、まだ寝坊の範囲ではないのならと内心ほくそ笑む。

目許に掛かっていた前髪が除けられて、はじめて中途半端に掛かった一束を煩わしく思っていたことに気付いた。寝起きであるだけに感覚が鈍いのだろうか。
その割に、一束を除けた指先がそのまま髪を撫でてくるのはすぐに分かった。眠っていると思っているせいか、まるで羽根にでも触れるかのような所作が、ひどくくすぐったい。
しばらくして指先が離れたと思うと、肌蹴ていた毛布に肩を覆われた。その途中で一度迷うように手が止まったのは、起こしにきたはずなのに毛布を掛け直すという矛盾に気付いてしまったからだろう。それでも結局掛け直しているのだから、気恥かしさよりもおかしくて仕方がない。

そうして笑いだしそうになるのを耐えていると、不意に糸のようでそれよりも硬いものが頬に触れて、次に吐息を感じた。
―――待て、これ、は…
したくないのに予測してしまって、吸ったままの息が固まる。誘われていた笑いもすっかり引っ込んでしまった。
そうこうしている内に、知っていながら未だに慣れない唇の感触に襲われて、内心の動揺に今際の覚醒も装えないまま瞼を開けた。

「おはよう」

見下ろしてくる薄氷がおかしげに細められているのが、妙に悔しい。

「なにが“おはよう”だ。…あんた、気付いてたんだろ」
「何のことだ?」

嘘吐くなとじっと睨めつけても、とぼけたような言葉と表情で首を傾げられてしまった。それがまた悔しくて、だけれど起こしに来た勇者に気付きながら狸寝入りをしていたのも自分であるために、あまり強くは言えなくて。
それでも何か文句付けたくて、あれやこれやと考える内にぱくぱくと開閉していた口は、動揺の残る自分を黙って眺めていた勇者のそれで以てやがて塞がれていた。

―――実のところ、勇者はキスを仕掛ける直前までは、こちらの狸寝入りを確信していなかった。触れた時、毛布を掛け直した時、無意識ながら和らげた表情に仄かに朱を昇らせても、覚醒していようがいまいがそれと同じ反応をしてしまうものだから、勇者も逆に判断しかねていたのだ。はっきりとばれてしまったのは、顔が近付いた際に呼吸を止めてしまったためだった。
あまり長くはない口付けの最中、それを言うべきかどうか密かに勇者が考えていたなどとは、知らぬは自分ばかり。










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